診療内容 循環器内科

不整脈

心臓は、1日に約10万回にわたって拍動を繰り返し、全身に血液を送り出しています。この拍動のリズムは、心臓の右上にある「洞結節(どうけっせつ)」という部位が司令塔となり、規則正しい電気信号を発することでコントロールされています。不整脈とは、この電気信号の発生や伝達に何らかの異常が生じ、心臓のリズムが乱れた状態の総称です。脈が速くなる「頻脈(ひんみゃく)」、脈が遅くなる「徐脈(じょみゃく)」、そして脈が飛んだり余分に打ったりする「期外収縮(きがいしゅうしゅく)」に大きく分けられます。不整脈は非常にありふれた疾患であり、軽度なものを含めれば誰にでも起こりえます。一方で、種類によっては脳梗塞や心不全、さらには突然死につながる危険性もあるため、正確な診断に基づく適切な対応が重要です。

不整脈の種類

不整脈は発生する場所やメカニズムによって多数の種類に分類されます。以下は代表的な不整脈をまとめた表です。

分類代表的な不整脈特徴
頻脈性不整脈(上室性)心房細動心房粗動心房頻拍脈が速くなる、または不規則になる。脳梗塞のリスクあり
発作性上室性頻拍突然始まり突然止まる動悸が特徴
頻脈性不整脈(心室性)心室頻拍・心室細動重症化すると命に関わる不整脈
徐脈性不整脈洞不全症候群・房室ブロック脈が遅くなり、めまいや失神のリスクがある
期外収縮上室性期外収縮心室性期外収縮脈が飛ぶ感覚、ほとんどが良性

不整脈の種類によって治療方針はまったく異なります。自己判断で放置せず、循環器内科の専門医に正しい診断を受けることが大切です。

不整脈の原因

不整脈の原因は多岐にわたります。以下に主な原因を解説します。

加齢による変化

年齢を重ねると、心臓の電気系統(刺激伝導系)が徐々に変性します。これにより、電気信号の発生や伝達に乱れが生じやすくなります。心房細動をはじめとする多くの不整脈は60歳以降に発症率が上昇し、高齢になるほど頻度が高まります。日本は超高齢社会であり、今後も不整脈の患者数は増加が見込まれます。

心臓の疾患

高血圧性心疾患、心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋症、心不全などの心臓の病気が不整脈の原因となることがあります。これらの疾患では心臓の構造や機能が変化しているため、電気信号の流れに異常が起きやすくなります。心臓の病気がある方は、不整脈が出現した場合に重症化するリスクも高く、定期的な検査と治療の継続が欠かせません。

全身の疾患や生活習慣

甲状腺機能亢進症は心拍数を増加させ、不整脈を誘発する代表的な全身疾患です。貧血、脱水、発熱なども心臓に負担をかけ、不整脈の引き金となります。生活習慣では、過度のアルコール摂取、カフェインの大量摂取、喫煙、慢性的な睡眠不足、精神的ストレスなどが不整脈を起こしやすくすることがわかっています。遺伝的な体質が関与しているケースもあり、家族に不整脈を持つ方がいる場合は注意が必要です。

不整脈の症状

不整脈の症状は種類やタイプによって大きく異なります。代表的な症状は以下のとおりです。

  • 動悸(胸がドキドキする、心臓がバクバクする)
  • 脈が飛ぶ・抜ける感覚(一瞬ドクンとなる)
  • めまい・ふらつき
  • 息切れ(特に動いたときに強く感じる)
  • 胸の不快感・圧迫感
  • だるさ・疲れやすさ
  • 失神(一時的に意識を失う)

一方で、不整脈があっても自覚症状がまったくない方も少なくありません。心房細動のように症状がなくても脳梗塞のリスクを高める不整脈も存在するため、健康診断などで指摘された場合は、症状の有無にかかわらず精密検査を受けることが望ましいです。スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスで脈の異常を検知して受診される方も増えています。

不整脈の診断・検査

不整脈を正しく診断するためには、不整脈が出ている最中に心電図で記録することが基本です。しかし、不整脈の頻度が少ないと、検査の時に症状が出ないこともあります。そのため、複数の検査を組み合わせて評価します。

心電図検査

もっとも基本的な検査で、胸や手足に電極を貼り心臓の電気的な活動を記録します。検査時間は数分程度で痛みもなく、手軽に受けることができます。検査中に不整脈が出ていれば、その場で種類を特定することが可能です。ただし、発作的に起こる不整脈では1回の検査では捉えられないこともあり、繰り返し検査を行う必要があることもあります。

ホルター心電図

携帯型の小さな記録装置を胸に装着し、数日間にわたって心電図を連続記録する検査です。普段通りの生活を送りながら検査ができます。日常生活の中で起こる不整脈を記録することができるため、発作の頻度やタイミング、症状との関連を詳しく評価することができます。

心エコー検査(心臓超音波検査)

超音波を用いて心臓の動きや構造をリアルタイムで観察する検査です。心臓弁膜症や心筋症、心不全など、不整脈の原因となりうる心疾患の有無を確認します。痛みのない検査で、15〜30分程度で終了します。(※心エコー検査は、医療機関によって受けられない場合があります。詳しくは各院のお問い合わせよりご相談ください。)

血液検査

甲状腺機能異常、電解質(ナトリウム・カリウムなど)のバランスの乱れ、貧血、心不全マーカー(BNP)など、不整脈の背景にある全身の状態を調べるために行います。

不整脈の治療法

不整脈の治療は、種類や重症度、患者さんの全身状態を考慮して総合的に決定されます。以下に主な治療法を解説します。

薬物療法

抗不整脈薬を使って脈のリズムや速さをコントロールします。不整脈の種類に応じてさまざまな薬が使い分けられます。心房細動など血栓ができやすい不整脈では、脳梗塞を予防するための抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)が処方されます。また、高血圧や糖尿病、心不全など、不整脈を悪化させる併存疾患のコントロールも治療の重要な柱です。

カテーテルアブレーション

不整脈の原因となっている心臓内の異常部位をカテーテル(細い管)で焼灼し、根治を目指す治療です。足の付け根の血管からカテーテルを挿入して心臓まで到達させ、高周波で原因部位を焼きます。心房細動、発作性上室性頻拍、心房粗動、WPW症候群など、多くの不整脈に対して高い治療効果が報告されており、近年では第一選択として検討されるケースも増えています。治療時間は2〜4時間程度で、数日間の入院が必要となります。

ペースメーカー

脈が遅くなる徐脈性不整脈(洞不全症候群や房室ブロック)に対して用いられます。ペースメーカーには、鎖骨の下付近に本体を植え込み、リードと呼ばれる細い電線を心臓内に留置する従来型のタイプに加え、近年ではカテーテルで心臓内に直接留置するリードレスペースメーカーも使用されています。いずれも心拍が一定以下になったときに電気信号を送り、心拍数を適切に保ちます。ペースメーカーを入れた後も定期的なチェックが必要ですが、日常生活はほぼ通常通り送ることができます。

クリニックプラスでは、ペースメーカーの植え込みやカテーテル治療において実績のある専門医療機関と連携体制を構築しております。高度な治療が必要な場合には、適切な医療機関へ迅速にご紹介いたします。

生活習慣の改善

不整脈の誘因となる飲酒・喫煙・カフェインの過剰摂取を控え、十分な睡眠を確保し、ストレスの軽減を心がけることが大切です。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を適切にコントロールすることも、不整脈の予防や再発防止に寄与します。

不整脈が気になったら早めの受診を

不整脈は種類によって対応がまったく異なります。動悸やめまいなどの自覚症状がある方はもちろんのこと、健康診断やスマートウォッチで異常を指摘された方も、放置せず循環器内科を受診しましょう。早期に正確な診断を受けることで、必要な治療を速やかに開始できます。

クリニックプラスの循環器専門外来では循環器内科の専門医が在籍しており、心電図検査やホルター心電図、心エコー検査などの精密検査にスピーディに対応しています。カテーテル治療やペースメーカーの治療が必要と判断された場合には、提携している大学病院や総合病院へ速やかにご紹介いたします。24時間LINEからご予約いただけるほか、平日は夜20時まで、土日祝日も診察を行っておりますので、お仕事帰りや休日にもお気軽にご相談ください。

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