- 循環器専門外来
- 不整脈
頻脈性心房細動
コラム
上室性期外収縮は、心臓の上側にある「心房」から異常な電気信号が発生し、通常のタイミングよりも早いタイミングで心臓が余分に収縮する不整脈です。不整脈と聞くと重大な病気を想像して不安になるかもしれませんが、上室性期外収縮はもっとも身近な不整脈の一つであり、軽微なものも含めると成人の約99%に認められるといわれています。健康診断の心電図検査で「上室性期外収縮の疑い」「要精密検査」と指摘されることが多いですが、短時間の心電図で見つからなかっただけで、長時間記録すればほとんどの方に確認されるほどありふれたものです。
通常、心臓の拍動は洞結節という部位が規則正しく電気信号を発することでコントロールされています。ところが何らかの原因で洞結節以外の心房の部位から電気信号が作られることがあり、これにより通常とは異なるタイミングで心臓の収縮が起きます。これが上室性期外収縮のメカニズムです。心臓にほかの問題がなければ、基本的に緊急性はなく、運動や日常生活の制限も不要です。
上室性期外収縮の誘因には以下のようなものがあります。
これらの生活習慣に心当たりがある場合は、見直すことで上室性期外収縮の頻度が減少する可能性があります。また、心筋症、心不全、心臓弁膜症などの心臓の基礎疾患が背景にあるケースもあるため、健診で指摘された場合には精密検査を受けて原因を確認しておくことが大切です。
ほとんどの方は自覚症状を感じずに過ごしています。症状がある場合も軽微であることが多く、以下のようなものが代表的です。
これらの症状があっても、日常生活に支障をきたしていなければ治療が必要ないことがほとんどです。ただし、症状が非常に気になる場合や、動悸が頻繁に感じられる場合は、他の不整脈との鑑別が必要なこともありますので、循環器内科を受診してください。
安静時の心電図で上室性期外収縮の有無や出現パターンを確認します。健診で指摘されて受診する方は、健診の結果(心電図のコピーなど)を持参されると診察がスムーズです。
超音波で心臓の動きや形状、弁の機能を評価します。心筋症や弁膜症、心不全など、期外収縮の原因となりうる基礎疾患の有無を確認する重要な検査です。検査時間は15〜30分程度です。(※心エコー検査は、医療機関によって受けられない場合があります。詳しくは各院のお問い合わせよりご相談ください。)
数日間にわたって心電図を記録し、上室性期外収縮の頻度や出現パターン、他の不整脈(心房細動や発作性上室性頻拍など)が合併していないかを評価します。日常生活を送りながら検査できるため、普段の状態を正確に把握できます。
心臓に基礎疾患がなく、自覚症状も日常生活に支障がない場合は、特別な治療をせずに定期的な検査のみでフォローアップします。これが最も多い対応パターンです。
自覚症状が気になる場合は、上室性期外収縮を誘発しうる生活習慣の改善に取り組みましょう。カフェインやアルコールの摂取量を減らし、禁煙し、十分な睡眠をとり、ストレスを軽減する工夫をしてみてください。生活習慣の見直しだけで症状が改善するケースも少なくありません。
症状が強く気になる場合や、精神的な不安が大きい場合は、症状を緩和するための薬(β遮断薬など)を処方することがあります。基礎疾患が見つかった場合は、その疾患に対する治療が優先されます。
上室性期外収縮は基本的に良性の不整脈ですが、以下のようなより重要な不整脈を引き起こすきっかけになることがあります。
上室性期外収縮が連発すると、心房細動に移行することがあります。心房細動は心房内で血栓が形成されやすくなり、脳梗塞のリスクを高める不整脈です。動悸が以前よりも長く続くようになった、脈のリズムが不規則に感じるようになった、といった変化を感じた場合は早めに受診してください。
上室性期外収縮が引き金となり、突然の強い動悸を伴う発作性上室性頻拍が起こることがあります。発作の持続時間が長い場合や頻回に繰り返す場合は、カテーテルアブレーションによる治療が検討されます。
上室性期外収縮の出現頻度は個人差が大きく、1日に数回程度の方から数千回に及ぶ方までさまざまです。一般的に、頻度が少なく心臓に基礎疾患がない方は、重症度は低いと評価されます。一方で、上室性期外収縮が非常に多く出現する場合(たとえば総心拍数の10〜15%以上を占めるような場合)は、心臓の機能に影響を及ぼす可能性が指摘されており、定期的な心エコー検査で心機能を評価することが推奨されます。
上室性期外収縮は、精神的なストレスや不安によって自律神経のバランスが乱れると出現しやすくなります。心電図で異常が出たという指摘自体がストレスとなり、余計に動悸を意識してしまう悪循環に陥る方もいます。多くの場合は良性であることを理解し、リラックスして過ごすことが大切です。症状がどうしても気になる場合は、ためらわずに循環器専門医に相談してください。不安を解消することも治療の一環です。
上室性期外収縮はほとんどの方に見られるありふれた不整脈であり、多くの場合は治療を必要としません。しかし、まれに心房細動や発作性上室性頻拍など、より注意が必要な不整脈への移行がみられることがあるため、健診で指摘された場合は一度精密検査を受けておくことが安心につながります。自覚症状の変化にも注意し、動悸が以前よりも長く続くようになった場合や、脈のリズムが不規則に感じるようになった場合には、早めに受診してください。
上室性期外収縮は加齢に伴い増加する傾向があるため、年齢を重ねるごとに健診で指摘される機会も多くなります。30代や40代で初めて指摘されて驚く方もいますが、若い世代でも決して珍しいことではありません。年齢に関係なく、指摘された場合は一度精密検査を受け、心臓に異常がないことを確認しておくことをおすすめします。
健康診断で上室性期外収縮を指摘されて不安に感じている方は多いと思いますが、多くの場合は治療を必要としない良性の不整脈です。ただし、背景に隠れた心疾患がないかを確認しておくことは安心につながりますので、一度精密検査を受けることをおすすめします。
クリニックプラスの循環器専門外来では循環器内科の専門医が心エコーやホルター心電図などの精密検査を丁寧に行い、結果をわかりやすくご説明します。LINEで24時間ご予約が可能で、平日は夜20時まで、土日祝日も診察を実施しておりますので、お仕事帰りやお休みの日にも気軽にお越しください。「健診で引っかかったけれど、どこを受診すればいいかわからない」という方も、お気軽にご相談ください。