コラム

発作性上室性頻拍

  • 循環器専門外来
  • 不整脈

発作性上室性頻拍(ほっさせいじょうしつせいひんぱく)は、心臓の上側部にある心房が関与する不整脈で、何の前触れもなく突然脈が速くなり、しばらく続いた後にまた突然おさまるのが特徴です。発作中の脈拍は1分間に150〜200回程度に達しますが、脈のリズム自体は規則的であることが多いです。子どものころから発作がある方も珍しくなく、年齢を問わず発症する可能性のある不整脈です。発作が直接命に関わることはまれですが、動悸症状が非常に強く出るため、頻繁に起こると日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。長時間にわたり発作が持続すると、ごくまれに心臓の機能が低下して心不全を起こすこともあります。

発作性上室性頻拍の原因

通常、心臓は洞結節から発せられる電気信号によって規則正しく拍動するよう制御されています。この電気信号には正常な通り道が決まっていますが、発作性上室性頻拍では、正常な通り道とは別のルートが存在し、電気信号がそこを旋回(リエントリー)することで頻脈が発生します。この異常な電気回路は先天的に存在するケースが多く、何かのきっかけで電気信号がその回路に入り込むと、一気に脈が速くなります。

発作性上室性頻拍の3つの種類

発作性上室性頻拍はメカニズムによって大きく3つの種類に分けられます。

房室結節リエントリー性頻拍

発作性上室性頻拍の中で最も多いタイプです。房室結節(心房と心室の間の中継地点)の付近に、速度の異なる2つの通り道ができ、電気信号がこれらの間をぐるぐると旋回することで頻脈が起こります。中年の女性に多く見られる傾向があります。

房室リエントリー性頻拍(WPW症候群)

生まれつき、正常な伝導路とは別に「副伝導路(ケント束)」と呼ばれるもう1本の電気の通り道が存在し、正常な通り道と副伝導路の間を電気信号が旋回することで頻脈を生じます。若い方に比較的多く見られます。

心房頻拍

心房の一部に異常な速さで興奮する心筋が存在し、そこから速い頻度で電気信号が発せられることで頻脈を起こします。

発作性上室性頻拍の症状

最も代表的な症状は、前触れなく突然始まる動悸です。脈が速くなるのに伴い、以下のような症状も現れることがあります。

  • 胸の不快感・圧迫感
  • 息切れ
  • めまい・ふらつき
  • 血圧の低下
  • 失神(重症の場合)

動悸は突然始まり、突然おさまるのが発作性上室性頻拍の大きな特徴です。おさまった後はケロッと普段通りに戻ることが多いですが、発作のたびに強い不安やストレスを感じる方は少なくありません。発作が繰り返されることで、日常生活への支障が大きくなっていく場合もあります。

発作性上室性頻拍の診断・検査

発作性上室性頻拍の診断の決め手は、発作中の心電図を記録することです。発作が起きていないときの心電図は正常であることが多いため、発作時に受診して心電図を撮ることが理想です。しかし発作はいつ起こるかわからないため、以下の検査を組み合わせます。

  • 心電図検査:発作時に記録できれば確定診断が可能
  • ホルター心電図:日常生活中の不整脈の有無を数日間にわたり記録
  • 電気生理学的検査(EPS):発作時の心電図がなかなか得られない場合、カテーテルを用いて不整脈を誘発し、診断する検査
    ※当院では、電気生理学的検査(EPS)は行っておりません。

発作性上室性頻拍の治療法

迷走神経刺激法(自分でできる対処法)

発作が起こった直後に迷走神経を刺激することで、頻脈がおさまることがあります。具体的には以下の方法が知られています。

  • 横になり、強くいきむ(バルサルバ手技)
  • 氷水を入れた洗面器に顔をつける
  • 冷たい水を飲む

これらは発作が始まってすぐに行うほど効果的です。

薬物療法

迷走神経刺激で改善しない場合は、薬剤を使用して頻脈を停止させます。代表的な薬にはベラパミルとATPがあります。ATPは注射後に全身がカッと熱くなるような感覚がありますが、即効性が高く頻脈はすぐにおさまります。喘息のある方には使用できないため、事前に既往歴をお伝えください。発作の予防にはβ遮断薬やカルシウム拮抗薬が用いられることもあります。

カテーテルアブレーション

薬でのコントロールが難しい場合や、発作が頻回で日常生活に大きな支障が出ている場合には、カテーテルアブレーションによる根治治療が推奨されます。心臓に電極付きカテーテルを挿入し、高周波で異常な電気信号の通り道を焼灼します。クリニックプラスでは、カテーテル治療において実績のある専門医療機関と連携体制を構築しております。高度な治療が必要な場合には、適切な医療機関へ迅速にご紹介いたします。

発作性上室性頻拍と日常生活

発作性上室性頻拍は突然起こるため、いつ発作が来るのか予測できないことが患者さんにとって大きなストレスとなります。発作自体は多くの場合、数分から数十分でおさまりますが、まれに数時間以上持続する場合もあります。発作の頻度は人によりさまざまで、年に1〜2回程度の方もいれば、月に何度も繰り返す方もいます。発作中は安静にし、前述の迷走神経刺激法を試してみてください。それでもおさまらない場合や、意識がもうろうとする場合は、救急外来を受診することをおすすめします。

発作性上室性頻拍の予防

発作を誘発しやすい要因として、カフェインの過剰摂取、アルコール、睡眠不足、過度のストレスなどが報告されています。これらの誘因を避けることで発作の頻度が減少する場合があります。また、定期的に循環器内科を受診し、心電図やホルター心電図で経過を確認することも重要です。薬物での予防治療やカテーテルアブレーションによる根治治療など、患者さんの状態に合わせた治療法を専門医と一緒に検討していきましょう。

発作性上室性頻拍は、カテーテルアブレーションにより良好な治療成績が得られる不整脈の一つです。一般的に高い成功率が報告されており、多くの患者さんで症状の改善が期待できます。

治療はカテーテルを用いて原因となる異常な電気回路や興奮部位を焼灼することで行います。再発率は比較的低いとされていますが、病態によっては追加治療が必要となる場合もあります。

お一人で悩まず、まずは循環器専門医にご相談ください。

発作性上室性頻拍が気になる方へ

突然始まるドキドキに悩まされている方は、発作性上室性頻拍の可能性があります。発作中に心電図を記録できることが診断の鍵となりますので、症状が出ているときにできるだけ早く受診してください。おさまってからでも構いませんので、症状があった旨をお伝えいただければ、ホルター心電図など次のステップの検査をご提案します。

クリニックプラスの循環器専門外来では循環器内科の専門医がスピーディに診察・検査を行い、必要に応じて大学病院や総合病院を速やかにご紹介いたします。事前LINE問診や事前クレジットカード決済により、待ち時間の短縮にも努めています。24時間LINEで予約でき、平日は夜20時まで、土日祝日も診察を行っておりますので、急な症状にもご対応可能です。動悸でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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