不整脈
- 循環器内科
診療内容 循環器内科
急性心筋炎は、主にウイルス感染をきっかけとして心臓の筋肉(心筋)に炎症が起きる病気です。かぜのような症状で始まり、数日のうちに息切れや胸痛、脈の異常など心臓に関わる症状が出現します。年齢や性別を問わず、普段健康な方であっても誰でもかかる可能性があるのが特徴です。
症状の重さは軽症から重症まで幅広く、軽症であれば数週間で自然に回復することもあります。しかし、急激に心臓の機能が低下する「劇症型心筋炎」に進行した場合は、命に関わる極めて危険な状態に陥ります。初期症状がかぜと非常に似ているため見逃されやすい病気ですが、早期発見と適切な対応が予後を大きく左右します。
急性心筋炎の最も多い原因はウイルス感染です。風邪を引き起こすウイルス(コクサッキーウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルスなど)が代表的ですが、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染後に心筋炎を発症した例も多数報告されています。ウイルスが心筋を直接傷つけるだけでなく、ウイルスに対する免疫反応が過剰になることで心筋にダメージを与えるケースもあります。
ウイルス以外の原因としては、以下のようなものがあります。
ウイルスが原因の急性心筋炎は、発熱、寒気、頭痛、筋肉痛、のどの痛み、全身の倦怠感といったかぜ症状で始まるのが一般的です。下痢や食欲不振などの消化器症状を伴うケースもあります。「いつものかぜとは違って異常にだるい」「かぜにしては体のしんどさが強すぎる」と感じた場合には要注意です。子どもの場合は自分の症状をうまく言葉で伝えられないことが多いため、保護者の方がかぜ症状後のお子さんの様子を注意深く観察することが大切です。
かぜ症状が出てから数日以内に、以下のような心臓に関連する症状が出現します。
かぜ症状の後に上記の症状が出た場合は、単なるかぜではない可能性があります。早めに医療機関を受診しましょう。
急性心筋炎のなかでも特に危険なのが「劇症型心筋炎」です。心臓の機能が急激かつ著明に低下し、全身に血液を送り出す循環が維持できなくなります。意識障害やショック状態に陥り、心停止に至るおそれもある極めて重篤な病態です。薬だけでは心臓の機能を維持できない場合は、人工心肺装置(ECMO=体外式膜型人工肺)やIABP(大動脈内バルーンパンピング)などの機械的補助循環装置を用いた集中治療が必要となります。心臓の回復が長期間にわたって見られない場合には、心臓移植が検討されることもあります。
急性心筋炎が疑われた場合、複数の検査を組み合わせて総合的に診断を行います。急性心筋梗塞との鑑別も重要なポイントです。
| 検査 | 確認する内容 |
| 血液検査 | 白血球やCRP(炎症マーカー)の上昇で炎症の有無を確認。トロポニンやCK-MBなどの心筋逸脱酵素の上昇で心筋障害の程度を評価 |
| 心電図検査 | 心筋障害に特徴的なST変化やT波異常の有無、不整脈の有無を確認 |
| 胸部レントゲン | 心臓の拡大(心拡大)、肺に水がたまっていないか(肺うっ血)を確認 |
| 心エコー検査 | 心筋の収縮力の低下、心筋のむくみ(壁の肥厚)、心嚢液(心臓の周りの水)の貯留を評価 |
| 心臓MRI検査 | 心筋の浮腫や障害の範囲を画像で詳細に評価。非侵襲的な確定診断に最も有用な検査の一つ |
| 心臓カテーテル検査 | 冠動脈に異常がないか確認し急性心筋梗塞を除外。心筋生検で心筋の組織を採取し顕微鏡で炎症細胞の浸潤を確認 |
クリニックなどの外来で実施できる検査としては、血液検査、心電図、胸部レントゲン、心エコー検査が中心です。これらの検査で異常が見つかった場合は、より高度な検査ができる専門病院への紹介が必要です。
※胸部レントゲン検査や心エコー検査など、実施可能な検査項目は医療機関によって異なります。詳しくは各院へお問い合わせください。
軽症で心臓の機能が比較的保たれている場合は、安静を保ちながら経過を観察します。多くの場合は自然に炎症が収まり回復しますが、経過中に急に悪化する可能性もあるため、入院してモニタリングを行うことが推奨されます。心不全の症状が認められる場合には、利尿薬(体内の余分な水分を排出する薬)や血管拡張薬(血管を広げて心臓の負担を軽くする薬)を用いて症状をコントロールします。
心臓のポンプ機能が著しく低下した場合は、まず強心薬(心臓の収縮力を増強する薬)を投与して心臓を支えます。それでも全身の循環が維持できない場合には、ECMO(体外式膜型人工肺)やIABP(大動脈内バルーンパンピング)といった機械的補助循環装置を使用し、心臓が回復するまでの間、全身の血液循環を機械的にサポートします。これらの治療は集中治療室(ICU/CCU)で行われます。
急性心筋炎に伴って生じる不整脈には、その種類に応じた抗不整脈薬を使用します。脈が著しく遅くなる高度徐脈の場合には、一時的にペースメーカーを装着して心臓のリズムをサポートすることもあります。致死的な不整脈(心室頻拍、心室細動など)が出現した場合には、電気ショック(除細動)による緊急対応が行われます。
急性心筋炎は初期症状がかぜと酷似しているため見逃されやすい病気です。しかし、まれに急激に悪化して命に関わることもある油断できない疾患です。かぜ症状の後に胸の痛み、動悸、普段とは明らかに異なるレベルの倦怠感を感じた場合は、「たかがかぜ」と放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。
クリニックプラスでは、心電図検査・血液検査・胸部レントゲン・心エコー検査を外来で速やかに実施可能です(院によっては受けられない検査もあります。詳しくは各院へお問い合わせください)。急性心筋炎が疑われ、入院での精密検査や治療が必要と判断した場合には、連携する大学病院や総合病院へ迅速にご紹介いたします。24時間LINEでの予約が可能で、平日は夜20時まで、土日祝日も毎日診療しております。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。