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頻脈性心房細動
コラム
心室性期外収縮(しんしつせいきがいしゅうしゅく)は、心臓の下側にある「心室」から異常な電気信号が発せられ、正常なリズムよりも早いタイミングで心臓が余分に収縮する不整脈です。「期外収縮」という名前は「正しい時期(タイミング)ではないときに心臓が収縮する」という意味で、脈の乱れとして自覚されたり、心電図検査で発見されたりします。心臓は上側の「心房」と下側の「心室」に分かれており、脈の乱れの発生源が心房にある場合は「上室性期外収縮」、心室にある場合は「心室性期外収縮」と呼ばれます。
ホルター心電図で調べると、健康な方でも多くの方に心室性期外収縮が認められます。特に高齢になるほど頻度が増加します。1日に数百回程度の出現であれば正常な範囲内と考えられることが多く、健診で指摘されても過度に不安になる必要はありません。ただし、1日に何千回も出現したり、連続して起こったりする場合には、心室頻拍や心室細動といった命に関わる不整脈に移行する可能性があるため注意が必要です。
心室性期外収縮の原因は大きく2つに分けられます。
以下のような要因で自律神経のバランスが崩れると、心室性期外収縮が起こりやすくなります。
このタイプの心室性期外収縮は命に関わることはほとんどなく、生活習慣を整えることで改善が期待できます。
心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜症、心不全などの心臓の病気が原因で心室性期外収縮が出現することがあります。基礎疾患がある方が心室性期外収縮を頻繁に起こすようになると、「心室頻拍」や「心室細動」といった致死的な不整脈に移行するリスクがあるため、適切な診断と治療が欠かせません。
健診で指摘される場合、自覚症状がないことがほとんどです。意識して脈を取ると脈が飛んでいることに気づく方もいます。症状がある場合には以下のようなものが挙げられます。
心室性期外収縮が連続して複数回起こると、一時的に血圧が低下したり、めまいがより強く感じられたりすることがあります。
心室性期外収縮が見つかった場合、最も重要なのは心臓に基礎疾患がないかを確認することです。以下の精密検査を行います。
安静時の12誘導心電図で心室性期外収縮の有無や波形の特徴(右心室由来か左心室由来かなど)を確認します。健診で指摘された方は結果を持参のうえ受診してください。
数日間心電図を装着して日常生活中の心室性期外収縮の出現頻度を記録します。総心拍数のうち心室性期外収縮が占める割合(%PVC)が重要な指標で、20%を超えるような高頻度の場合は積極的な治療が検討されます。連発(2連発や3連発以上)の有無も確認します。
超音波で心臓の大きさや壁の動き、弁の状態を評価します。心筋症、弁膜症、心不全など基礎疾患の有無を確認する最も重要な検査の一つです。心室性期外収縮が高頻度の場合、心臓の機能(ポンプ能力)が低下していないかも評価します。(※心エコー検査は、医療機関によって受けられない場合があります。詳しくは各院のお問い合わせよりご相談ください。)
甲状腺機能の異常、電解質(カリウムなど)のバランスの乱れ、心不全マーカー(BNP)などを調べ、心室性期外収縮の原因や心臓への影響を評価します。
心臓に基礎疾患がなく、心室性期外収縮の頻度も多くなく、自覚症状が日常生活に支障をきたさない場合には、特別な治療は不要です。過度の飲酒やカフェイン摂取を控え、十分な睡眠を確保し、ストレスの軽減を心がけてください。運動などの日常生活に制限もありませんが、定期的な検診は忘れずに受けましょう。
心筋梗塞、心筋症、弁膜症、心不全などの基礎疾患が見つかった場合は、その治療が最優先となります。基礎疾患を適切に管理することで心室性期外収縮の頻度が減少し、危険な不整脈への移行リスクも下がります。基礎疾患を放置した場合、最悪のケースでは突然死を招く可能性があるため、速やかな治療介入が求められます。
ホルター心電図で心室性期外収縮が総心拍数の20%を超えるような高頻度で認められる場合や、自覚症状が強く日常生活に支障がある場合には、カテーテルアブレーションが検討されます。カテーテルを心臓に挿入し、異常な電気信号の発生源を高周波で焼灼する治療です。治療時間は2〜3時間程度で、動悸などの不快な症状が消失するだけでなく、心臓の機能が低下していた場合には回復が見込めます。クリニックプラスでは、カテーテル治療において実績のある専門医療機関と連携体制を構築しております。高度な治療が必要な場合には、適切な医療機関へ迅速にご紹介いたします。
心臓に基礎疾患がなく、心室性期外収縮の頻度も多くない方は、基本的に運動の制限は不要です。適度な運動はむしろ心身の健康維持に有益で、自律神経のバランスを整える効果も期待できます。ただし、運動中に心室性期外収縮が増加する方や、めまいや失神などの症状を伴う方は、運動強度について担当医に相談してください。心臓に基礎疾患がある場合は、運動負荷試験などで安全な運動範囲を確認してから運動プログラムを組むことが推奨されます。
心室性期外収縮が1日の総心拍数の10〜20%以上を占めるような高頻度の場合は、それ自体が心臓のポンプ機能を低下させる「頻発性心室性期外収縮誘発性心筋症」を引き起こすことがあります。この状態はカテーテルアブレーションで心室性期外収縮を消失させることで、心機能の回復が見込めます。定期的なホルター心電図と心エコー検査による経過観察が重要です。
心室性期外収縮は健康な方にもよく見られる不整脈ですが、頻度が極端に多い場合や心臓の基礎疾患を伴う場合は注意が必要です。特に心筋梗塞や心筋症がある方では、心室性期外収縮が心室頻拍や心室細動に進展するリスクがあるため、定期的な専門医の診察を受けることが大切です。健診での指摘をきっかけに、ご自身の心臓の状態を正確に把握しておきましょう。
心室性期外収縮は多くの場合、治療を必要としない良性の不整脈ですが、まれに心室頻拍や心室細動といった危険な不整脈の前段階となることもあります。健診で指摘された方は、一度精密検査を受けて安心しておくことが大切です。
クリニックプラスの循環器専門外来では、循環器内科の専門医がホルター心電図や心エコーなどの精密検査を行い、心室性期外収縮のリスクを評価します。基礎疾患が見つかった場合やカテーテル治療が必要な場合は、大学病院や総合病院への紹介も速やかに行います。24時間LINEでご予約いただけるほか、平日は夜20時まで、土日祝日も診察しておりますので、お仕事帰りや休日にもお気軽にご相談ください。