診療内容 呼吸器内科

肺炎

肺は体内に酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を排出する重要な臓器です。この肺に炎症が起きる病気が肺炎であり、日本人の死因の上位に位置しています。風邪と症状が似ているために受診が遅れることもありますが、特に高齢者や免疫力が低下している方では重症化しやすく、早期の診断と治療が欠かせません。ここでは、肺炎の分類・原因・症状・検査と診断・治療法・予防策について詳しく解説します。

肺炎とは

肺炎とは、細菌やウイルスなどの病原体が肺に感染することで、急性の炎症が起こる病気です。厚生労働省の人口動態統計によると、2024年の日本人の死因では肺炎は第5位に位置しており、決して軽視できない疾患です。若年層では軽症で治ることが多い一方、高齢者や免疫機能が低下している方では入院や人工呼吸器管理が必要になるケースもあり、命に関わることもあります。また、細菌やウイルスの感染を原因としない「間質性肺炎」と呼ばれるタイプもあり、膠原病や薬の副作用、鳥糞や羽毛布団、加湿器からなどの吸入抗原の影響、放射線治療の影響などで肺に炎症が生じて肺の壁が厚くなるものですが原因不明であることも多い難治性疾患です。

感染による肺炎の分類と原因

感染による肺炎は、発症の場所や状況によって主に以下の5つに分類されます。分類ごとに原因となる病原体が異なるため、適切な治療につなげるうえで重要な区分です。

分類特徴・おもな原因
市中肺炎病院の外で感染。肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマ、各種ウイルスなどが原因
院内肺炎入院48時間以降に発症。グラム陰性桿菌、黄色ブドウ球菌などが原因
人工呼吸器関連肺炎気管挿管48時間以降に発症。耐性菌が原因となりやすい
易感染性患者の肺炎免疫抑制剤・ステロイド使用者やHIV患者に発症。ニューモシスチス肺炎が代表的
誤嚥性肺炎嚥下機能の低下した高齢者や脳梗塞後など神経疾患のある方に多い。食べ物や唾液が気管支に入ることで発症

一般的に「肺炎」というと市中肺炎を指すことが多く、肺炎球菌は高齢者の市中肺炎の原因菌として特に多く報告されています。誤嚥性肺炎は高齢者や脳梗塞後など神経疾患のある方に多くみられ、繰り返す場合には口からの食事を見直す必要が出てくることもあります。

肺炎の症状

肺炎の代表的な症状は、咳・痰・発熱・呼吸困難です。このほか倦怠感や胸の痛みがあらわれることもあります。痰は黄色や緑色の膿性であることが多く、38℃以上の高熱が続くのが風邪との大きな違いです。風邪は通常、自然に回復しますが、肺炎では抗菌薬(抗生剤)などの治療が必要になる点も異なります。

高齢者の肺炎に注意

高齢者の肺炎では、発熱や咳といった典型的な症状が出にくいことがあります。「元気がない」「食欲がない」「ぼんやりしている」といった非特異的な変化だけが唯一のサインという場合も少なくありません。気づかないうちに酸素の状態が悪化し、命に関わる状況に陥ることもあるため、普段と様子が違うと感じたら早めに医療機関を受診してください。入院をきっかけに認知症が進んだり、歩行機能が低下したりするリスクもあるため、予防がとても重要です。

肺炎の検査・診断

肺炎が疑われる場合、まず胸部レントゲンや胸部CTの画像検査を行い、肺に炎症の所見(浸潤影)があるかを確認します。同時に血液検査で白血球数やCRP(炎症マーカー)の値を調べ、炎症の程度を評価します。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)を測定し、酸素が十分に取り込めているかも確認します。必要に応じて喀痰検査や尿中抗原検査を実施し、原因菌の特定を進めます。これらの結果を総合して、重症度の判定と入院の必要性を判断します。

間質性肺炎とは

間質性肺炎は、感染ではなく、肺の壁(間質)に炎症が起こる疾患です。膠原病の合併症、薬の副作用、鳥糞や加湿器からなどの吸入抗原の影響による過敏性肺炎、放射線治療の影響などが原因として知られていますが、原因が特定できない「特発性間質性肺炎」もあります。感染性肺炎と異なり、痰を伴わない乾いた咳が特徴で、慢性的に経過することが多い疾患です。感染をきっかけに急激な呼吸状態の悪化を起こすこともあり「急性増悪」と呼ばれ致死的経過を辿る重篤な疾患です。間質性肺炎の診断は血液検査、画像検査、呼吸機能検査や気管支鏡による組織検査、抗原回避試験など複数の検査を通じて呼吸器内科医、放射線科医、病理医によるびまん性肺疾患の集学的合議(MDD)を経て診断します。

肺炎の治療法

感染性肺炎の治療

細菌性肺炎の治療の柱は抗菌薬(抗生剤)の投与です。原因菌に適した抗菌薬を選択し、去痰剤や鎮咳薬による対症療法も並行して行います。一般細菌感染による肺炎、マイコプラズマやクラミドフィラなどによる非定型肺炎により抗菌薬が異なること、耐性菌などの存在もあるため複数抗菌薬の治療を行う場合もあります。適切な治療を行えば、多くの場合1週間前後で改善が見込まれます。ウイルスが原因の肺炎では、対症療法に加えてステロイドが投与されることもあり、コロナウイルスの場合は抗ウイルス薬の併用が必要です。重症で酸素が不足している場合は酸素吸入が必要となります。

間質性肺炎の治療

間質性肺炎の治療は原因により大きく異なります。膠原病や薬剤の副作用による間質性肺炎では内服ステロイドを中心とした免疫抑制治療が治療の中心です。一方、過敏性肺炎の場合には抗原回避(鳥糞や羽毛布団などへの曝露を回避する、加湿器の破棄をする、徹底した自宅の清掃を行う)、特発性間質性肺炎の慢性化による肺線維化に対しては抗線維化薬の治療を行うなど治療方法は多岐にわたるため専門的加療が必要となります。感染性肺炎と異なり、肺機能に後遺症が残りやすく、ステロイドや免疫抑制薬の減量、再曝露や急性増悪など再発、悪化するケースも多いため、長期的な管理が求められます。原因が明確な場合は、原因の除去や薬の変更も同時に行います。

肺炎の予防

肺炎球菌ワクチン

65歳以上の方には、肺炎球菌ワクチン(プレベナー20、キャップバックス)の接種が強く推奨されています。肺炎球菌は高齢者の肺炎の原因菌として上位を占めるため、ワクチン接種が重症化の予防につながります。接種後、抗体が産生されて効果が発揮されるまでにはおよそ3週間ほどかかります。自治体によっては接種費用の助成を行っている場合がありますので、お住まいの自治体にご確認ください。

日常でできる感染対策

病原体を体内に入れないための基本は手洗い・うがいです。人混みではマスクの着用を心がけ、口腔内を清潔に保つことで誤嚥性肺炎のリスクも減らせます。規則正しい生活で免疫力を維持し、持病がある場合は服薬をきちんと続けることが大切です。喫煙は呼吸器に大きな悪影響を与えるため、禁煙を強くおすすめします。

クリニックプラスでの診療の流れ

①問診:いつからどのような症状があるかを医師がお伺いします。LINEの事前問診にご回答いただくと、当日の診療がよりスムーズです。

②身体診察:のどの所見、リンパ節の腫れ、肺の聴診、SpO₂の測定などを丁寧に行います。

③検査:胸部レントゲン撮影のほか、場合によっては喀痰検査で原因菌を調べますが検査結果がでるまでに2週間程度を要します。必要に応じてコロナやインフルエンザの抗原検査を追加します。

④処方:細菌性肺炎であれば抗菌薬(抗生物質)、ウイルス性であれば抗ウイルス薬を処方します。間質性肺炎が疑われる場合や、重症の場合には速やかに提携の専門医療機関をご紹介します。

肺炎は特に高齢者において命に関わる病気です。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。クリニックプラスは24時間LINEで予約ができ、平日は夜20時まで、土日祝日も毎日診療しています。入院が必要と判断した場合は、提携する専門医療機関への迅速なご紹介も可能です。ご不安な方は、どうぞお気軽にお越しください。

※クリニックプラスではCT、気管支鏡検査、呼吸機能検査(スパイロメトリー)などの検査は行っておりません。必要時には検査が受けられる連携医療機関をご紹介させていただいております。

※胸部レントゲン検査など、実施可能な検査項目は医療機関によって異なります。詳しくは各院へお問い合わせください。

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