診療内容 呼吸器内科

百日咳

激しい咳が長期間にわたって続く――百日咳はその名のとおり、長引く咳発作を特徴とする急性の気道感染症です。乳幼児の病気というイメージがありますが、ワクチンの効果が時間とともに弱まることで、近年は成人の感染も増加傾向にあります。特に生後6か月未満の乳児では重症化のリスクが高く、周囲の大人からの感染を防ぐ意識が重要です。ここでは百日咳の原因、症状の経過、検査・診断、治療と予防について分かりやすく解説します。

百日咳とは

百日咳は、百日咳菌(Bordetella pertussis)の感染によって引き起こされる急性の気道感染症です。風邪に似た初期症状からはじまり、その後けいれん性の激しい咳発作が特徴的にあらわれます。国立感染症研究所によると、2024年の国内における百日咳患者数は4054例と報告されており、子どもだけでなく成人の感染も確認されています。百日咳は飛沫感染や接触感染によって広がるため、感染力が非常に強い点も特徴です。一度かかっても免疫は永続せず、再感染する可能性があります。また、ワクチンの予防効果は接種後およそ10年で低下するとされているため、成人でも油断はできません。

百日咳の原因

百日咳の原因は、百日咳菌が鼻やのどの粘膜に感染することです。感染経路はおもに2つあり、患者が咳やくしゃみをした際に排出される飛沫を吸い込むことで感染する「飛沫感染」と、菌が付着した手や食器などを介して感染する「接触感染」があります。感染初期(カタル期)はとくに感染力が強く、風邪と区別がつきにくい時期に知らず知らずのうちに周囲へ広げてしまうことがあります。家庭内感染が起こりやすいため、家族の一人が百日咳と診断された場合には、同居する方も医療機関で相談することが望ましいでしょう。

百日咳の症状

百日咳は3つの時期に分けて症状が進行します。以下の表で経過をまとめます。

また症状が出現する前に潜伏期という無症状機関が存在します。

時期期間の目安おもな症状
カタル期約2〜3週間軽い風邪症状(くしゃみ・鼻水・微熱)。感染力が最も強い時期
痙咳期(けいがいき)約2〜3週間短く激しい連続咳の後「ヒュー」という吸気音。顔面紅潮、嘔吐、無呼吸発作も
回復期2〜3週間以上咳の頻度・強さが徐々に減少。完全回復まで数か月かかることも

痙咳期にみられるけいれん性の咳発作は百日咳に特徴的な症状で、咳込みのあまり顔が真っ赤になったり、嘔吐したりすることがあります。1歳未満の乳児では無呼吸発作を起こすリスクがあるほか、肺炎や脳症、中耳炎などを合併することもあるため、とくに注意が必要です。成人では典型的な発作が出ないこともあり、長引く咳として見過ごされがちです。

百日咳の検査・診断

百日咳の検査方法は大きく3つあります。

  • 菌培養検査:鼻やのどの分泌物を採取し、百日咳菌の有無を培養で確認します。判定に7日間かかり、菌が少量の場合は陽性にならないこともあります。咳が出始めてから2週間以内が検査可能な時期です。
  • 遺伝子検査(LAMP法・PCR法):培養検査と同様に鼻やのどの検体を使います。LAMP法は検出感度が高く、結果も早くわかるのが利点です。咳が出始めてから3〜4週間以内であれば検査可能です。
  • 血清学的検査:血液中の抗体を調べる検査です。抗PT-IgG測定法と抗百日咳菌IgA-IgM測定法があり、後者はワクチンの影響を受けません。抗体が上昇するまでに2週間ほどかかるため、症状出現から2週間後以降に実施します。

いずれの検査も、時期や患者の状態によって結果が左右されるため、臨床症状やワクチン接種歴なども総合的に考慮して診断します。

百日咳の治療

百日咳の治療にはマクロライド系の抗菌薬(アジスロマイシン、クラリスロマイシンなど)を使用します。とくにカタル期に抗菌薬を開始すると、菌の排出が抑えられて感染拡大を防ぐ効果が期待できます。痙咳期に入ってからでも、周囲への感染を抑えるために抗菌薬の投与は有効です。呼吸が苦しい場合には、痰や鼻水の吸引、酸素投与、気管支拡張剤の使用などを行います。咳が激しいときには鎮咳薬を補助的に使うこともあります。早期に治療を開始することで症状の軽減と感染拡大の抑制が見込めるため、咳が長引くときは速やかに受診することが大切です。

百日咳にかかったら仕事や学校は?

百日咳は学校保健安全法において第2種の感染症に指定されています。特有の咳が消失するまで、または5日間の適切な抗菌薬治療が終了するまで出席停止とされており、職場でも同様に感染拡大を防ぐ配慮が求められます。

百日咳の予防・ワクチン

百日咳の予防の柱はワクチン接種です。乳幼児期には、百日咳・破傷風・ジフテリア・ポリオに対する4種混合ワクチン(もしくはHibを加えた5種混合ワクチン)を接種し、早期から免疫を獲得します。11歳以上13歳未満では、3種混合ワクチン(百日咳・破傷風・ジフテリア)の追加接種が可能です。ワクチンの効果は接種後約10年で低下するため、成人も追加接種も検討されます。とくに乳児のいるご家庭では、家族全員がワクチンの追加接種を受けることで赤ちゃんへの感染リスクを下げることができます。日常の予防としては、手洗い・咳エチケットの徹底も大切です。

クリニックプラスでの診療の流れ

①問診:いつからどのような咳が出ているかを医師がお伺いします。LINEの事前問診に回答いただくと、診察がスムーズになります。

②身体診察:呼吸音の聴取やリンパ節の確認を丁寧に行います。百日咳は診断が難しい疾患ですが、咳の仕方に特徴があるため身体診察が重要な手がかりとなります。

③検査:百日咳が疑われる場合、LAMP法などの当日結果がわかる検査もある他、胸部レントゲンで肺炎などの除外や採血検査を行います。抗体検査の経過をみるために、1か月後に再検査を行うこともあります。

④処方:マクロライド系の抗菌薬を中心に、症状に合わせて必要な薬を処方します。重症の場合は提携する専門医療機関へ紹介いたします。

百日咳はけいれん性の咳発作と長引く咳が特徴の感染症です。大人でも感染しうる病気であり、乳児への感染は命に関わることもあります。長く続く咳が気になる方は、ぜひ早めに受診してください。クリニックプラスは24時間LINEで予約が可能で、平日は夜20時まで、土日祝日も毎日診療しています。お気軽にご相談ください。

※胸部レントゲン検査、LAMP法や培養検査、ワクチンなど、実施可能な検査および治療項目は医療機関によって異なります。詳しくは各院へお問い合わせください。

対応可能なクリニック

一覧へ戻る