副鼻腔炎
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診療内容 呼吸器内科
病気の治療のために毎日薬を服用している方は多いですが、その薬が原因で咳が出ることがあると聞いたら驚かれるかもしれません。薬剤性咳嗽(やくざいせいがいそう)とは、服用している薬の副作用によって引き起こされる咳症状のことです。処方薬だけでなく、市販薬やサプリメント、漢方薬でも起こりうるため、原因に気づきにくいのが特徴です。ここでは、薬剤性咳嗽の原因となる薬、症状、検査と診断、治療法まで詳しく解説します。
薬剤性咳嗽とは、服用した薬が原因で生じる咳の症状を指します。副作用として咳を引き起こすことで最もよく知られているのが、高血圧治療に用いられるACE阻害薬(エースそがいやく)です。ACE阻害薬による咳は服用者のうち5〜20%程度にみられるとされ、比較的頻度の高い副作用として認識されています。そのほか、アスピリン喘息の患者がロキソプロフェンなどに代表されるNSAIDs(解熱鎮痛薬)を服用した際に喘息発作を引き起こして咳が出るケース、また薬の副作用で薬剤性間質性肺炎という肺の病気が生じて咳が出るケースなども薬剤性咳嗽に含まれます。
薬剤性咳嗽の直接的な原因は、服用している薬です。医師が処方した薬だけでなく、ドラッグストアで購入した市販薬や、サプリメント、漢方薬、健康食品なども原因となりえます。薬が気道の粘膜を直接刺激したり、アレルギー反応を引き起こしたりすることで咳が生じます。また、薬が間接的に薬剤性間質性肺炎などの呼吸器疾患を引き起こし、その結果として咳が出る場合もあります。
以下の表に、咳の副作用が報告されている代表的な薬をまとめます。
| 薬の分類 | 代表的な薬剤名 |
| ACE阻害薬(高血圧治療薬) | エナラプリル、カプトプリルなど |
| NSAIDs(解熱鎮痛薬) | アスピリン、ロキソプロフェン、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウムなど |
| 漢方薬 | 小柴胡湯、小青竜湯、柴苓湯など |
| 抗悪性腫瘍薬 | ゲフィチニブ、パクリタキセルなど |
| 抗不整脈薬 | アミオダロンなど |
| 抗リウマチ薬 | メトトレキサートなど |
| 抗菌薬 | セフトリアキソン、セフェピムなど |
このように多種多様な薬が原因となりうるため、咳の症状があるときにはお薬手帳を持参して医師に相談することが重要です。
薬剤性咳嗽を起こしやすい方の特徴として、高齢、男性、栄養状態の低下、喫煙歴、もともと間質性肺炎や喘息などの呼吸器疾患がある場合が挙げられます。ただし、ACE阻害薬による咳については、高齢・女性・アジア人・非喫煙者・心不全患者に多いという報告もあり、リスク因子は薬剤によって異なります。
薬が肺の細胞を直接傷害するタイプでは、服用開始から数週間〜数年で症状が出ることがあります。一方、アレルギー反応によるものは、服用開始後1〜2週間で症状があらわれやすい傾向があります。数年経ってから発症する場合もあるため、以前から飲んでいる薬であっても原因となりえます。過去の服用歴も含めて医師に伝えることが大切です。
薬剤性咳嗽の咳は、痰を伴わない乾いた咳(乾性咳嗽)であることが多い点が特徴です。咳以外にも、息切れ、呼吸困難、発熱、倦怠感、皮疹(ひしん)といった症状があらわれることがあります。ACE阻害薬による咳はのどのイガイガ感を伴うことが多く、就寝時に悪化しやすいのも特徴です。症状だけでは風邪や喘息との区別がつきにくいため、薬の服用歴を確認することが診断の鍵となります。
薬剤性咳嗽の診断では、まず詳しい問診が最も重要です。現在服用中の薬だけでなく、最近中止した薬や以前から継続している薬についても、お薬手帳を見ながら確認します。身体診察では聴診器で肺の異常音を確認し、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)を測定して呼吸機能の低下がないかを調べます。
画像検査として胸部レントゲンやCT撮影を行い、薬剤性間質性肺炎のパターンがないかを評価します。血液検査では、間質性肺炎のマーカーであるKL-6、SP-A、SP-Dの値のほか、白血球数やCRPなどの炎症指標、肝機能も併せて確認します。
最終的な診断は、原因として疑われる薬を服用していること、ほかに原因となる病気がないこと、そして原因薬を中止した後に症状が改善したことの3点を総合的に評価して行います。他の肺炎との鑑別が難しい場合もあるため、服用歴の正確な把握が極めて重要です。
薬剤性咳嗽の治療の基本は、原因と考えられる薬の中止です。ACE阻害薬が原因の場合、中止後1〜4週間程度で咳が改善することが多く、代替薬としてARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)への変更が一般的に行われます。原因薬を中止する際は、自己判断で行わず必ず担当医に相談してください。
アスピリン喘息の方がNSAIDsを服用して喘息発作を起こした場合は、急激に症状が悪化する可能性があるため、酸素投与やアドレナリンの投与などの救急対応が必要になります。アスピリン喘息の診断を受けている方は、湿布や市販の総合かぜ薬にもロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDsが含まれている場合があるため、服用前に必ず成分を確認するよう注意してください。
原因薬を中止しても症状が改善しない場合や、呼吸不全を伴っている場合には、画像評価や気管支鏡検査など薬剤性間質性肺炎の存在を念頭においた精査を行うこと、治療として副腎皮質ステロイドを使用して炎症を抑える治療など専門医療機関での精密検査と治療が必要になります。
①問診:いつからどのような症状があるかを医師がお伺いします。LINEの事前問診にご回答いただくと、よりスムーズに診療できます。とくに3か月以内に飲みはじめた薬やサプリメント・漢方薬がある場合は、事前に確認しておいてください。
②身体診察:呼吸音の異常やリンパ節の腫れなどを丁寧に診察します。
③検査:胸部レントゲンを撮影し、異常な陰影がないかを確認します。薬剤性肺障害が疑われる場合は、CT撮影や詳しい検査のために専門医療機関をご紹介することもあります。ACE阻害薬のように咳の副作用がよく知られた薬を知らず知らず飲んでいることもあるため、しっかりとお話を伺って診断いたします。
④処方:原因薬の中止・変更を検討し、必要に応じて咳を和らげる薬を処方します。重症の場合は速やかに専門医療機関をご紹介します。
薬剤性咳嗽は、薬を飲みはじめて数年後に初めて症状が出ることもあり、原因に気づきにくい病気です。長引く咳にお悩みの方は、まず服用中の薬との関連を確認することが大切です。クリニックプラスは24時間LINEで予約が可能で、平日は夜20時まで、土日祝日も毎日診療しています。お薬手帳をお持ちのうえ、どうぞお気軽にご相談ください。
※クリニックプラスではCT、気管支鏡検査などの検査は行っておりません。必要時には検査が受けられる連携医療機関をご紹介させていただいております。
※胸部レントゲン検査など、実施可能な検査項目は医療機関によって異なります。詳しくは各院へお問い合わせください。