電解質異常
- 腎臓内科
診療内容 腎臓内科
「最近、朝起きると顔や瞼がむくんでいる」「靴下の跡がなかなか消えない」「尿にたくさん泡が立つ」—こうした変化に気づいて検索している方もいらっしゃるかもしれません。これらは、ネフローゼ症候群と呼ばれる腎臓の病気のサインである可能性があります。今回は、ネフローゼ症候群の原因やしくみ、症状、治療法について解説します。
ネフローゼ症候群とは、腎臓の糸球体(しきゅうたい/血液をろ過するフィルターの役割を持つ組織)に障害が起こり、本来漏れ出ないはずのタンパク質(アルブミン)が大量に尿中へ排出されてしまう状態の総称です。診断には、①1日あたりの尿タンパクが3.5g以上(小児では体重や年齢により基準が異なります)、②血液中のアルブミン濃度が3.0g/dL以下、という2つの基準を同時に満たすことが必要とされています。加えて、全身のむくみ(浮腫/ふしゅ)や、コレステロール・中性脂肪が上昇する脂質異常症(ししついじょうしょう)を伴うことが多くみられます。
「ネフローゼ症候群」は特定の一つの病名ではなく、こうした状態を示す症候群(症状の集まり)の名称です。原因となる病気は多岐にわたり、それぞれ治療方針が異なるため、正確な診断が重要です。
ネフローゼ症候群を起こす原因のうち、全身性疾患によってネフローゼ症候群をきたすものを二次性ネフローゼ症候群といい、他に明らかな原因がないものを一次性ネフローゼ症候群といいます。
一次性には、微小変化型(びしょうへんかがた)ネフローゼ症候群、巣状分節性糸球体硬化症(そうじょうぶんせつせいしきゅうたいこうかしょう)、膜性腎症(まくせいじんしょう)、増殖性糸球体腎炎(ぞうしょくせいしきゅうたいじんえん)などがあります。
二次性は、糖尿病性腎症(とうにょうびょうせいじんしょう)などの代謝性疾患や、ループス腎炎や紫斑病性腎炎(しはんびょうせいじんえん)などの自己免疫性疾患、感染症(溶連菌、ブドウ球菌、B型・C型肝炎ウィルス、HIV、パルボウィルスB19、梅毒など)、アレルギー、悪性腫瘍、薬剤、遺伝性など、原因が多岐にわたります。
どのタイプかによって治療法や見通しが大きく異なるため、原因の特定が診療の第一歩となります。
最も分かりやすい症状は、むくみ(浮腫)です。朝は瞼(まぶた)や顔がむくみ、夕方になると下肢(すね・足首)のむくみが目立つといった変化が典型的で、靴下の跡がくっきり残る、指で押すとへこみがしばらく戻らない、といった特徴があります。むくみが進むと、数日で体重が2〜3kg、時には5kg以上増えることもあります。ほかにも、尿に含まれるタンパクの影響で尿が泡立ち、その泡がなかなか消えない、全身のだるさ(倦怠感)、食欲低下などがみられます。重症化すると、お腹に水が溜まる腹水(ふくすい)や、肺の周りに水が溜まる胸水(きょうすい)によって息苦しさを感じることもあります。男性であれば陰嚢に水がたまる(陰嚢水腫、いんのうすいしゅ)こともあります。
むくみは心臓や肝臓の病気でも起こるため自己判断はせず、症状が続く場合は早めに医療機関で尿検査・血液検査を受けることをおすすめします。
診断ではまず、尿検査で1日あたりの尿タンパク量を調べます(随時尿では尿タンパク/尿クレアチニン比で代用することもあります)。あわせて血液検査で血清アルブミン値や総タンパク、コレステロールなどの脂質の値を確認し、腎機能を示すクレアチニン値、原因検索のための自己抗体、感染症の有無なども調べます。これらの結果からネフローゼ症候群と診断された場合、原因となっている病気を特定するために、多くのケースで腎生検(じんせいけん)が検討されます。腎生検は、背中から針を刺して腎臓の組織をごく少量採取し、顕微鏡で観察する検査で、通常は入院のうえ実施されます。当院のような外来クリニックでは腎生検は実施できないため、検査結果からネフローゼ症候群が疑われる場合には、腎生検に対応できる高次医療機関へご紹介し、精密検査と確定診断を行っていただく流れになります。
病型によって治療が異なります。むくみを軽減するため利尿薬を使用したり、腎臓の保護のために、ACE阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬を使用します。高LDLコレステロール血症に対してはスタチン系の薬を使用します。積極的治療としては、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬(シクロスポリン、ミゾリビンなど)を使用した治療が行われます。糖尿病性腎症など二次性の場合は、原因疾患の治療も行います。
薬物療法とあわせて、食事療法も治療の柱です。特に塩分制限(目安として1日6g未満)は、むくみや血圧のコントロールに直結するため重要です。むくみが強い時期は、タンパク質やカリウム、水分の摂取量についても医師の指示に従う必要があります。ステロイドや免疫抑制薬を使用している間は感染症にかかりやすい状態(易感染性/いかんせんせい)になるため、手洗い・うがいの徹底や人混みを避けるなどの配慮も大切です。また、長期臥床(がしょう)や過度な安静は血栓症のリスクを高めるため、主治医と相談のうえ、無理のない範囲で体を動かすことも意識するとよいでしょう。
ネフローゼ症候群を治療せずに放置した場合、腎臓の機能が低下したり、血管内脱水による血栓症(肺梗塞、心筋梗塞、脳梗塞など)、免疫に必要なたんぱく質(抗体)が減少することで感染症にかかりやすくなります。
クリニックプラスの腎臓内科では、「むくみが気になる」「健康診断で尿タンパクを指摘された」といった段階から相談できる体制を整えています。診察ではまず尿検査・血液検査を行い、尿タンパクの程度や血清アルブミン値、腎機能、脂質の状態を確認したうえで、ネフローゼ症候群が疑われる場合には早期に治療方針をご説明します。腎生検など、確定診断のためにさらに詳しい精密検査が必要と判断した場合には、腎生検に対応できる高次医療機関と連携し、スムーズにご紹介いたします。すでに診断がついている方の、日常的な血液・尿検査によるフォローアップや、他院からの転院相談にも対応してまいります。
むくみや倦怠感といった症状は、つい放置してしまいがちですが、進行してからでは治療に時間がかかることもあります。クリニックプラスでは24時間いつでもLINEから予約が可能で、事前のLINE問診にも対応しているため、受診時の待ち時間を短縮できます。平日は夜20時まで診察を行っており、お仕事帰りにも通いやすい体制です。また、土日祝日も診察しておりますので、平日お忙しい方も無理なく検査・相談にお越しいただけます。気になる症状がある方は、まずはお気軽にご相談ください。