診療内容 腎臓内科

電解質異常

健康診断の血液検査で「カリウムが高め」「ナトリウムが低い」と指摘されたものの、自覚症状がなくどう受け止めればよいか分からない方は少なくありません。一方で、原因不明の脱力感やしびれ、だるさが続き、実は電解質のバランスが崩れていたというケースもあります。電解質異常は軽度であれば無症状のことも多いですが、進行すると不整脈や意識障害など命に関わる状態を招くこともあるため、数値の異常を放置せず、原因を確認することが大切です。この記事では、代表的な電解質異常である高カリウム血症と低ナトリウム血症を中心に、原因・症状・検査・治療についてわかりやすく解説します。

電解質異常とは

電解質(でんかいしつ)とは、ナトリウム・カリウム・カルシウム・クロールなど、体液(血液や細胞内外の水分)に溶けているミネラル成分の総称です。神経の情報伝達、筋肉の収縮、心臓の拍動リズムの維持、体内の水分バランスの調整など、生命維持に不可欠な働きを担っています。

これらの電解質の濃度を一定範囲に保つうえで中心的な役割を果たしているのが腎臓です。腎臓は血液をろ過し、必要な電解質は再吸収し、余分なものは尿として排出することでバランスを調整しています。そのため腎機能が低下すると、電解質の排出や調整がうまくいかなくなり、電解質異常が起こりやすくなります。また、利尿薬などの薬剤、ホルモンの異常、水分や塩分の摂取量の偏りなども原因となります。代表的なものに、カリウムが過剰になる高カリウム血症と、ナトリウムが不足する低ナトリウム血症があります。

高カリウム血症の原因と症状

高カリウム血症は、血清カリウム値が5.5mEq/L以上(基準値はおおむね3.5〜5.0mEq/L程度)になった状態です。日本腎臓学会のガイドラインでも、7mEq/L以上になると心停止の危険がある緊急事態として扱われています。

主な原因は以下の通りです。

原因のカテゴリ具体例
腎機能の低下慢性腎臓病(CKD)、急性腎障害
薬剤ARB・ACE阻害薬、カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトン等)、NSAIDs
摂取過多カリウムを多く含む食品・サプリメントの過剰摂取
ホルモン異常副腎機能低下症、糖尿病によるインスリン不足

症状は、軽度〜中等度のうちはほとんど自覚症状がないことが多く、健康診断で偶然指摘されて気づくケースが大半です。進行すると手足の脱力感やしびれ、力が入りにくいといった症状が現れ、さらに悪化すると不整脈や心停止のリスクが高まります。心臓に関わる緊急性の高い異常であるため、数値の異常を指摘された場合は自己判断で様子を見ず、早めに受診することが重要です。

低ナトリウム血症の原因と症状

低ナトリウム血症は、血清ナトリウム値が135mEq/L未満になった状態で、臨床の現場で最も頻度の高い電解質異常のひとつとされています。

主な原因には次のようなものがあります。

  • 水分の過剰摂取(大量の飲水、点滴など)
  • 利尿薬(特にサイアザイド系)の使用
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(こうりにょうほるもんふてきごうぶんぴつしょうこうぐん、SIADH)などのホルモン異常
  • 心不全・肝硬変・ネフローゼ症候群による体液貯留
  • 嘔吐・下痢による塩分の喪失

症状は、軽度では頭痛・吐き気・食欲不振・だるさといった非特異的なものにとどまることが多く、風邪や疲労と見分けがつきにくいのが特徴です。しかし数値の低下が急激であったり、120mEq/L前後まで進行したりすると、意識がぼんやりする、反応が鈍くなる、けいれんを起こすといった重篤な症状に至ることがあります。慢性的に軽度の低下が続いている場合でも、転倒やふらつきのリスクが上がることが知られています。

電解質異常の診断・検査

電解質異常の診断は、まず血液検査でナトリウム・カリウム・クロール・カルシウムなどの数値を測定することから始まります。健康診断の結果に異常値があった場合は、この血液検査の再検査から診療が始まることが一般的です。

高カリウム血症が疑われる場合は、心電図検査を行い、テント状T波や幅の広いQRS波など、心臓への影響が出ていないかを確認します。数値だけでなく心電図の所見も踏まえて緊急性を判断します。

さらに、なぜ電解質異常が起きているのかという原因検索も欠かせません。腎機能(クレアチニン・eGFR)、尿検査、服用中の薬剤の確認、必要に応じて副腎や甲状腺などのホルモン検査を組み合わせ、背景にある病気を特定していきます。

電解質異常の治療法

治療の基本は、電解質の数値を是正することと、背景にある原因疾患を治療することの両方です。

  • 原因疾患の治療:CKDや心不全、ホルモン異常など、背景にある病気の治療を行います。
  • 食事指導:高カリウム血症では、カリウムの摂取量をおおむね1日1,500mg程度に制限する食事療法が基本となります。低ナトリウム血症では、原因に応じて水分制限や塩分摂取量の調整を行います。
  • 薬剤の調整:ARBやカリウム保持性利尿薬など、原因となっている薬剤がある場合は、中止や変更、減量を検討します。自己判断での中断は避け、必ず医師の指示に従ってください。
  • 重症例での緊急治療:血清カリウム値が7mEq/L以上など重症の場合は、カルシウム製剤の静注、インスリン・ブドウ糖の投与などで速やかにカリウムを下げる緊急治療が必要になります。腎不全が背景にあり内科的治療で改善が乏しい場合には、透析による除去が検討されることもあります。

こんなときはすぐ受診してください

以下のような症状がある場合は、電解質異常が進行し緊急性が高い可能性があります。様子を見ずに速やかに医療機関を受診してください。

  • 手足に力が入らない、立てないほどの強い脱力感がある
  • 動悸がする、脈が飛ぶ・乱れる感じがある
  • 意識がぼんやりする、呼びかけへの反応が鈍い
  • けいれんを起こした
  • 健康診断でカリウムやナトリウムの数値が大きく基準値を外れていると指摘された

特に高カリウム血症は自覚症状がないまま急激に悪化し、不整脈から心停止に至ることがある病態です。「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、数値の異常を指摘されたら早めに検査を受けることをおすすめします。

クリニックプラスでの電解質異常の診療

クリニックプラスの腎臓内科では、電解質異常が疑われる方に対し、血液検査によるナトリウム・カリウムなどの数値評価と、高カリウム血症が疑われる場合の心電図検査を組み合わせて、緊急性の判断を行います。あわせて、腎機能検査や尿検査、服用中のお薬の確認などから原因を探り、食事指導や原因薬剤の調整といった治療を行います。数値が重症域にあり入院での集中的な治療や透析が必要と判断される場合には、速やかに高次医療機関へご紹介する体制を整えています。

健康診断で数値の異常を指摘された方も、原因不明の脱力感やだるさが気になる方も、通いやすさを大切にした環境で相談いただけます。24時間LINEから予約可能なため、思い立ったときに空き状況を確認でき、事前のLINE問診にも対応しています。平日は夜20時まで診察しているため、仕事帰りにも通いやすく、土日祝日も診察を行っているので、体調の変化に気づいたときに無理なく受診いただけます。

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