高血圧性腎障害
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診療内容 腎臓内科
健康診断の結果表に「尿潜血」「蛋白尿」の文字を見つけて、検索の手が止まらなかった方もいらっしゃるかもしれません。痛みも自覚症状もないのに「一度専門の科で調べてもらってください」と言われると、何がどれくらい心配なことなのか分からず不安になるものです。ここでは、IgA腎症とはどのような病気で、何が原因となり、どのような検査・治療が行われるのかを順番に見ていきます。
IgA腎症は、腎臓の中で血液をろ過する組織である糸球体(しきゅうたい)に、抗体としての機能や構造をもつ蛋白質である免疫グロブリンの一種のIgA(アイジーエー)が沈着し、炎症を起こす慢性の腎臓疾患です。「慢性糸球体腎炎」という診断名は、糸球体に慢性の炎症が起こる病気の総称で、その種類は多岐に渡ります。IgA腎症は、日本人で最も多い慢性糸球体腎炎です。学校検尿や会社の健診で「慢性糸球体腎炎の疑い」と言われた場合、精密検査の結果IgA腎症と診断されるケースが多くを占めます。日本では腎生検(じんせいけん)で診断される腎臓病のうち、最も多く見つかる疾患でもあります。
国内の患者数は約33,000人と推計され、厚生労働省の指定難病(指定難病66)に指定されており、一定の基準を満たすと医療費助成の対象になります。詳しい解説は難病情報センター(https://www.nanbyou.or.jp/entry/41)で確認できます。子どもから高齢者まで幅広い年齢で発症し、男女差ははっきりしていません。多くの場合、症状がないまま何年もかけてゆっくり進行するのが特徴です。
IgA腎症の原因
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、免疫の仕組みの乱れが関わっていると考えられています。通常のIgAとは糖の鎖(糖鎖)の構造が一部異なる「糖鎖異常IgA1」という物質が血液中で増え、これが腎臓の糸球体に沈着して免疫反応(炎症)を引き起こすことが、発症の中心的な仕組みと考えられています。
また、扁桃腺(口蓋扁桃)の慢性炎症との関連が古くから指摘されており、扁桃炎を繰り返すと血尿・蛋白尿が一時的に悪化する患者さんが少なくありません。この関連性は、後述する治療法にも活かされています。基本的に遺伝する病気ではありませんが、まれに家族内で複数の発症例が報告されることもあります。
最大の特徴は、自覚症状に乏しいことです。多くの方は、学校検尿や職場・自治体の健康診断で「尿潜血」「蛋白尿」を指摘されて初めて気づきます。痛みやかゆみのような自覚できるサインがほとんどないため、指摘されても放置してしまう方も少なくありません。
一方で、風邪や扁桃炎にかかった1〜2日後に、コーラ色や褐色の肉眼的血尿が一時的に出ることがあり、これはIgA腎症を疑う重要な手がかりになります。病気が進行してくると、むくみ、血圧の上昇、倦怠感といった腎機能低下に伴う症状が現れてきます。
なお、「血尿=がん」と結びつけて過度に心配される方もいますが、血尿の原因の多くは良性のものです。とはいえ、症状がないからといって放置してよいわけではなく、原因を確かめるための検査は受けておくことが大切です。
診断は、段階を踏んで進めます。
| 検査 | 主な目的・所見 |
|---|---|
| 尿検査(尿沈渣) | 尿潜血・尿蛋白の程度、顆粒円柱や赤血球円柱の有無を確認 |
| 血液検査 | 腎機能(クレアチニン等)、血清IgA値(成人の約半数で上昇) |
| 画像検査 | 腎臓の形態や他疾患の除外 |
| 腎生検 | 確定診断に必須。腎臓の組織を採取し顕微鏡・蛍光抗体法でIgAの沈着を確認 |
尿検査や血液検査だけでは「IgA腎症の疑い」までしかわかりません。確定診断には腎生検が必要で、入院のうえ超音波で位置を確認しながら腎臓の組織をごく一部採取し、病理検査でメサンギウム領域へのIgA沈着を確認します。腎生検は専門的な設備と入院管理が必要なため、多くの場合、専門医療機関で行われます。
治療は、尿蛋白の量や腎機能、腎生検の結果に応じて個別に組み立てられます。
日本で一般的に行われている根本治療のひとつに、扁桃摘出術(へんとうてきしゅつじゅつ)とステロイドパルス療法を組み合わせる「扁摘+パルス療法」があります。耳鼻咽喉科で口蓋扁桃を摘出したうえで、ステロイド薬を数日間かけて点滴投与するクールを複数回行うもので、いずれも入院を要する治療です。早期に治療介入できた患者さんでは高い割合で尿所見の改善が報告されていますが、すべての患者さんに同じ効果が得られるわけではなく、適応は腎生検の結果や病状を踏まえて専門医が判断します。
尿蛋白抑制や腎保護目的に、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬(ACE阻害薬・ARB)やその他の腎保護薬、抗血小板薬が併用されることもあります。あわせて、減塩を中心とした食事療法、禁煙、適正体重の維持、扁桃炎など感染症の予防・早期治療といった生活面の管理も進行抑制に役立つとされています。
IgA腎症は「治療すれば必ず治る」病気ではなく、長期的な経過観察が前提になる病気です。日本腎臓学会のガイドラインでは、治療を行わなかった場合、発症から10年で約15〜20%、20年で約40%が末期腎不全に進行すると報告されています。数値だけを見ると不安になるかもしれませんが、逆にいえば早期に発見し、血圧や蛋白尿をきちんと管理することで進行を抑えられる可能性があるということでもあります。
自覚症状がなくても、定期的な尿検査・血液検査での経過観察を続けることが何より重要です。「数値が落ち着いているから通院をやめてよい」という病気ではない点は、誤解しやすいところなので注意してください。日常生活では、手洗い・うがいなどで扁桃炎やかぜを予防すること、血圧を意識した減塩生活を続けることが、長い目で見た腎臓の負担軽減につながります。
クリニックプラスの腎臓内科では、健診などで「尿潜血」「蛋白尿」を指摘された方の精査に対応いたします。尿検査・血液検査による腎機能評価を行い、腎生検が必要と判断される場合には、検査が可能な専門医療機関へ責任を持ってご紹介します。すでにIgA腎症と診断されている方についても、RAS阻害薬をはじめとする薬物療法や生活指導、定期的な尿検査・血液検査によるフォローアップなど、腎臓専門医療機関と連携しながら継続的な経過観察を行ってまいります。
お忙しい方でも通いやすいよう、ご予約は24時間いつでもLINEから受け付けています。平日は夜20時まで診察を行っており、仕事や学校帰りの受診にも対応しています。また土日祝日も診察していますので、平日に時間が取りにくい方も無理なく通院を続けていただけます。事前のLINE問診やクレジットカード決済にも対応しており、来院時の負担を減らす工夫もしています。