診療内容 腎臓内科

急性腎障害(AKI)

健康診断や別の病気で受けた血液検査で、「腎臓の数値が急に悪くなっています」と言われて戸惑っていませんか。あるいは、ここ数日で尿の出方やむくみの変化を感じて、何かおかしいと不安になっている方もいらっしゃるかもしれません。

急性腎障害(AKI)は、数日から数週間という短い期間で腎臓の働きが急激に低下する状態です。原因はさまざまですが、早く見つけて対処すれば腎機能が回復するケースも少なくありません。この記事では、急性腎障害の原因や症状、混同されやすい慢性腎臓病との違い、検査・治療の流れについて、できるだけわかりやすく解説します。

急性腎障害(AKI)とは

急性腎障害(きゅうせいじんしょうがい、AKI:Acute Kidney Injury)とは、数時間〜数日の間に急激に腎機能が低下する状態です。以前は急性腎不全と呼ばれていましたが、「病気を早めに見つけて対処すること」と「定義や名称を世界共通にすること」を目的として、現在は「急性腎障害」と呼ばれるようになりました。 

具体的には、次のいずれかに当てはまる場合にAKIと診断されます。

  • 48時間以内に血清クレアチニン値が0.3mg/dL以上上昇した
  • 過去7日以内に血清クレアチニン値が基準値(ベースライン)の1.5倍以上に上昇した
  • 尿量が6時間以上にわたって0.5mL/kg/時を下回った

腎臓は血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出する臓器で、その働きが数日単位で落ち込むと、体内に老廃物やカリウムなどの電解質、水分が蓄積し、全身に影響が及びます。

急性腎障害の原因

急性腎障害の原因は、障害が起こる部位によって「腎前性」「腎性」「腎後性」の3つに分類されます。

  • 腎前性(じんぜんせい):腎臓へ流れ込む血液量そのものが減ってしまうタイプです。脱水、下痢や嘔吐による体液の喪失、大量出血、心不全などで起こります。AKI全体の中で最も頻度が高いとされています。
  • 腎性(じんせい):腎臓そのものに障害が生じるタイプです。抗菌薬や造影剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs、痛み止めの一種)などによる薬剤性腎障害、急性尿細管壊死(きゅうせいにょうさいかんえし)、急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)などで起こります。
  • 腎後性(じんごせい):尿路結石や前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)、骨盤内の腫瘍などにより尿の通り道がふさがれ、腎臓で作られた尿がうまく排出できなくなるタイプです。

高齢の方、もともと腎機能が低下している方、糖尿病や高血圧などの持病がある方は、少しの脱水や薬剤の影響でもAKIを起こしやすいため注意が必要です。

急性腎障害の症状

急性腎障害の症状は、原因や重症度によって異なります。代表的なのは尿量の変化で、尿量が1日400mL以下に減る「乏尿(ぼうにょう)」や、ほとんど尿が出なくなる「無尿(むにょう)」がみられることがあります。一方で、尿量は保たれたまま、血液検査だけで異常が見つかるケースも珍しくありません。

そのほか、まぶたや下肢のむくみ、倦怠感、食欲不振、吐き気、息苦しさなどが現れることがあります。老廃物やカリウムなどの電解質が体内にたまると、不整脈につながることがあり、重症例では意識がぼんやりする、呼びかけへの反応が鈍くなるといった意識障害に至ることもあります。自覚症状が乏しいまま進行することもあり、別の体調不良で受診した際の採血で偶然見つかることも珍しくありません。

急性腎障害と慢性腎臓病(CKD)の違い

「腎臓の病気」とひとくくりにされがちですが、急性腎障害と慢性腎臓病(CKD)は、進行のスピードや原因、回復の見込みが大きく異なります(慢性腎臓病について詳しくは、当院の別記事「慢性腎臓病(CKD)・慢性腎不全とは」をご覧ください)。

項目急性腎障害(AKI)慢性腎臓病(CKD)
発症の経過数時間〜数週間で急激に悪化する数か月〜数年かけて緩やかに進行する
主な原因脱水・出血・薬剤・尿路閉塞など糖尿病・高血圧・加齢・慢性糸球体腎炎など
自覚症状乏尿・むくみなど比較的急に現れやすい進行するまで自覚症状に乏しい
回復の可能性原因を取り除くことで改善することが多い一度低下した腎機能は基本的に元に戻らない
治療の目標原因の除去と腎機能の回復進行を遅らせ、合併症を防ぐこと

なお、AKIとCKDはまったくの別物というわけではありません。AKIが重症化・長期化すると、腎機能が完全には戻らずCKDに移行することがあります。反対に、もともとCKDがある方は腎臓の予備能力が低いため、脱水や薬剤の影響といった軽いきっかけでもAKIを起こしやすいという関係もあります。

急性腎障害の診断・検査

急性腎障害が疑われる場合、腎前性、腎性、腎後性のいずれに該当するかを、血液検査、尿検査、画像検査など様々な検査を用いて調べます。

血液検査で血清クレアチニン値や血中尿素窒素、カリウム値などを調べ、数日前や健診時の数値と比較することで、どの程度急激に腎機能が低下しているかを把握します。尿検査では、尿タンパクや尿潜血、尿中ナトリウムなどを調べます。腹部エコー(超音波)検査やCT検査も行い、尿路系の閉塞部位がないか調べます。そのほか、脱水の有無、服用中の薬剤(特にNSAIDsや一部の抗菌薬、造影剤の使用歴)、直近の体調変化などを詳しく問診し、原因を絞り込んでいきます。

原因によっては、腎生検(じんせいけん)や専門施設でのより詳しい精査が必要になることもあります。厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアル「急性腎障害」でも、原因となりやすい薬剤や早期発見のポイントが整理されています(https://www.pmda.go.jp/files/000224769.pdf)。

急性腎障害の治療法

急性腎障害の治療は、原因に応じたアプローチが基本です。脱水などによる腎前性が疑われる場合は、点滴で水分や電解質を補い、腎臓への血流を回復させます。腎後性であれば、尿路の閉塞を解除する処置(尿道カテーテルの留置や結石治療など)が必要です。腎性の場合は、原因となっている薬剤があれば中止・変更し、感染症や自己免疫的な原因があればそれぞれに応じた治療を行います。

あわせて、腎臓に負担をかける薬剤(NSAIDsや一部の降圧薬、造影剤など)を一時的に中止・調整し、水分・塩分・カリウムの摂取量を管理しながら、体液バランスと電解質の推移を経過観察します。老廃物や水分の蓄積が著しく、薬物療法だけでは対応が難しい重症例では、一時的に透析(とうせき)治療を行い、腎臓の代わりに血液を浄化することもあります。多くの場合、原因が取り除かれれば腎機能は数日から数週間かけて回復に向かいますが、回復の程度は原因や重症度、治療を開始したタイミングによって差があります。治療の開始が早いほど、腎機能が元通りに近い状態まで戻る可能性が高くなるとされています。

こんなときはすぐ受診してください

次のような症状がある場合は、様子を見ずに早めに医療機関を受診してください。

  • 尿の量が急に減った、あるいはほとんど尿が出ない
  • 数日のうちに顔や足のむくみが急激に進んだ
  • 強い倦怠感や吐き気、食欲不振が続いている
  • 普段服用している薬(特に痛み止めや一部の降圧薬)を飲んでいて、体調が急に悪化した
  • 高熱や嘔吐・下痢が続き、水分をほとんど摂れていない
  • 意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い

特に意識障害や強い息苦しさを伴う場合は、緊急性が高い可能性があります。夜間・休日であっても、様子を見ず救急受診や救急要請を検討してください。

クリニックプラスでの急性腎障害の診療

クリニックプラスの腎臓内科では、急性腎障害が疑われる方に対し、血清クレアチニン値やカリウム値、血中尿素窒素などを調べる血液検査、尿タンパクや尿潜血を確認する尿検査を行い、腎機能の低下の程度と経過を把握します。あわせて、脱水の有無や服用中の薬剤、直近の体調変化などを丁寧に問診し、腎前性・腎性・腎後性のいずれが疑われるかを絞り込んでいきます。重症化のサインがみられる場合や、緊急での透析治療が必要と判断される場合には、連携する高次医療機関(透析対応施設など)へ迅速にご紹介する体制を整えています。

急に体調が悪化したときほど、「どこに相談すればよいかわからない」と迷ってしまうものです。クリニックプラスでは24時間LINEからいつでも予約を受け付けており、平日は夜20時まで、土日祝日も診療を行っているため、仕事や家事の合間、休日の急な体調不良でも受診しやすい環境を整えています。事前のLINE問診やクレジットカード決済にも対応しているため、来院時の負担も抑えられます。「様子を見ているうちに悪化しないか心配」というときは、ひとりで抱え込まず、早めにご相談ください。

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