1型糖尿病
- 糖尿病外来
診療内容 糖尿病外来
糖尿病性腎症は、糖尿病の三大合併症のひとつで、高血糖が長期間続くことで腎臓の機能が徐々に低下していく病気です。初期にはほとんど自覚症状がないため気づきにくいですが、進行すると人工透析が必要になるケースもあります。実際に、日本で人工透析を始める原因として最も多いのが糖尿病性腎症です。腎臓の機能を守るためには、早期発見と早期治療が何よりも大切です。ここでは、糖尿病性腎症の原因、症状、検査方法、病期分類、治療法について詳しく解説します。
腎臓には「糸球体(しきゅうたい)」と呼ばれる毛細血管の集まりが約100万個あり、血液をろ過して老廃物を尿として排泄する役割を果たしています。糖尿病性腎症は、高血糖によってこの糸球体の血管が傷つき、ろ過機能が低下する病気です。機能が低下すると、体に不要な老廃物を十分に排泄できなくなるだけでなく、本来は体にとどまるべきタンパク質(アルブミン)が尿中に漏れ出してしまうようになります。
糖尿病性腎症の根本的な原因は、血糖値が高い状態が長期間続くことです。高血糖は糸球体の細い血管を傷つけ、血管壁を厚くしたり硬くしたりします。その結果、ろ過機能が次第に失われていきます。また、糖尿病腎症は高血圧を合併しやすく、高血圧もまた腎臓の血管にダメージを与えるため、血糖値と血圧の両方を適切に管理することが重要です。
糖尿病性腎症の症状は、病気の進行度合いによって大きく異なります。
| 進行段階 | 主な症状 |
| 初期 | 自覚症状はほとんどなし。尿検査でのみ微量アルブミン尿が検出される |
| 中期 | むくみ(顔・手足)、息切れ、疲れやすさ、食欲の低下、満腹感 |
| 末期 | 顔色の悪さ、強い疲労感、吐き気・嘔吐、腹痛、手のしびれ、筋肉の痛みやつり |
自覚症状が現れる頃には腎臓の機能がかなり低下しており、元の状態に戻すことが難しくなります。そのため、症状がないうちから定期的に検査を受け、早期に異常を発見することが極めて重要です。
糖尿病性腎症の早期発見のためには、定期的な尿検査と血液検査が欠かせません。
尿中のアルブミンやタンパク質の量を測定します。健康な状態では、アルブミンやタンパク質は尿にほとんど出ませんが、糸球体が傷つくとこれらが漏れ出るようになります。特に「尿中アルブミン」の測定は、腎症の早期発見に非常に有用な検査です。
血液検査では、eGFR(推算糸球体ろ過量)という指標で腎臓のろ過機能を評価します。eGFRの数値が低いほど、腎臓の機能が低下していることを意味します。
糖尿病腎症の進行度は、尿アルブミン値とeGFRの結果に基づき5つの病期に分類されます。
| 病期 | 名称 | 尿アルブミン値 | eGFR(ml/分/1.73m²) |
| 第1期 | 腎症前期 | 30mg/gCr未満(正常) | 30以上 |
| 第2期 | 早期腎症期 | 30〜299mg/gCr(微量) | 30以上 |
| 第3期 | 顕性腎症期 | 300mg/gCr以上(顕性) | 30以上 |
| 第4期 | 腎不全期 | 問わない | 30未満 |
| 第5期 | 透析療法期 | 透析療法中 | — |
第2期(早期腎症期)の段階であれば、厳格な血糖コントロールにより検査値が正常に戻る可能性があります。しかし第3期以降では腎臓の機能を元通りに回復させることは困難とされており、進行を遅らせる治療が中心となります。
治療の基本は、食事療法と運動療法による血糖コントロールです。必要に応じて経口血糖降下薬やインスリン注射が追加されます。特に第2期、第3期では厳格な血糖管理が求められます。
腎機能が低下すると血圧が上がりやすくなり、高血圧がさらに腎臓を傷つけるという悪循環に陥ります。減塩食を心がけるとともに、降圧薬(特にACE阻害薬やARBは腎臓を保護する効果も期待できます)による血圧管理が重要です。
第3期以降では、血糖コントロールのための食事管理に加え、塩分制限とタンパク質の摂取制限が必要になります。過剰なタンパク質摂取は腎臓に負担をかけるためです。具体的な制限量は主治医や管理栄養士の指導のもとで決定します。
腎機能の悪化を防ぐために、以下の点にも取り組みましょう。
腎臓の機能が著しく低下し、自力で老廃物を排泄できなくなった場合には、人工的に腎臓の機能を補う「透析療法」が必要になります。透析には、医療機関で行う血液透析と、自宅で行う腹膜透析があります。透析導入後は週に数回の通院が必要となるため、患者さんの生活に大きな影響を及ぼします。透析に至らないよう、早期からの腎臓ケアが極めて大切です。
糖尿病と診断されている方は、自覚症状がなくても年に1回以上は尿中アルブミン検査を受けることが推奨されています。健康診断で尿タンパクを指摘された場合も、糖尿病性腎症の可能性を考えて精密検査を受けることが大切です。初期のうちに発見し、適切な治療を開始することで、腎臓の機能を長く保つことが可能です。
クリニックプラスでは、血液検査・尿検査による腎機能の評価や、糖尿病の総合的な管理を行っております。腎症の早期発見のためのスクリーニング検査から、食事指導や薬物治療まで一貫して対応いたします。また、専門的な治療が必要と判断した場合には、提携する大学病院や総合病院へ速やかにご紹介いたします。
平日は夜20時まで、土日祝日も毎日診療しておりますので、お忙しい方でも継続的な通院がしやすい環境です。ご予約は24時間LINEで承っています。健診で腎機能の異常を指摘された方や、糖尿病の合併症が気になる方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。