診療内容 内科(一般/非感染症外来)

過活動膀胱/膀胱炎/前立腺肥大症 

「トイレが異常に近い」「急に我慢できなくなって漏れそうになる」「排尿時に痛みがある」—こうした排尿のトラブルは生活の質を大きく損ないますが、恥ずかしさから受診をためらってしまう方も少なくありません。排尿に関連する代表的な疾患として、過活動膀胱、膀胱炎、前立腺肥大症の3つがあります。それぞれ原因や治療のアプローチが異なるため、正確な診断を受けることがとても大切です。ここでは、これら3つの疾患の原因、症状、検査・治療法について解説します。

過活動膀胱(OAB)

過活動膀胱とは

過活動膀胱(OAB:Overactive Bladder)とは、膀胱にそれほど尿が溜まっていないにもかかわらず、急に強い尿意(尿意切迫感)を感じたり、頻繁にトイレに行きたくなったりする状態です。膀胱の排尿筋が自分の意思に反して過剰に収縮してしまうことが主な原因で、国内では40歳以上の約8人に1人が該当するとも報告されています。男女問わず発症しますが、加齢とともに有病率は上がります。

過活動膀胱の原因

過活動膀胱の原因はひとつに特定できないことも多く、以下のような要因が複合的に関与していると考えられています。

  • 加齢に伴う膀胱の筋肉や神経の変化
  • 精神的なストレスや緊張
  • 膀胱の尿量を感知するセンサーの過敏化
  • 脳卒中やパーキンソン病、脊髄疾患などの神経障害
  • 自律神経のバランスの乱れ

過活動膀胱の症状

  • 頻尿: 日中8回以上、夜間1回以上のトイレ(夜間頻尿)
  • 尿意切迫感: 急に我慢できないほど強い尿意が襲ってくる
  • 切迫性尿失禁: 尿意切迫感とともにトイレに間に合わず漏れてしまう

過活動膀胱診療ガイドラインでは、過活動膀胱症状質問票(OABSS)によるセルフチェックが推奨されています。合計スコアが3点以上かつ尿意切迫感スコアが2点以上で、過活動膀胱の可能性があります。気になる方は一度チェックしてみてください。

過活動膀胱の治療法

薬物療法

抗コリン薬は排尿筋の過剰な収縮を抑える薬で、過活動膀胱治療の第一選択として広く用いられています。ただし、口渇や便秘、尿閉といった副作用が出ることがあります。近年は、膀胱を弛緩させて蓄尿機能を高めるβ3アドレナリン受容体作動薬も選択肢に加わっており、副作用プロファイルが異なるため、患者さまに合った薬を選択します。

行動療法(セルフケア)

薬に頼らず症状をコントロールできるケースもあります。以下のセルフケアが効果的です。

  • 膀胱訓練: 尿意を感じてもすぐにトイレに行かず、少しずつ我慢する時間を延ばしていくトレーニングです
  • 骨盤底筋トレーニング: 尿道・肛門・膣(女性の場合)に力を入れて5〜10秒間キープし、力を抜いて休む動作を繰り返します。腹筋には力を入れず、骨盤底だけに意識を集中させるのがポイントです
  • 水分摂取量の見直し: 過剰な水分摂取を控え、カフェインやアルコールなど利尿作用のある飲み物を減らすことも有効です

膀胱炎

膀胱炎とは

膀胱炎は、細菌感染によって膀胱の粘膜に炎症が起こる尿路感染症です。尿道が短い女性に多く発症し、生涯で約半数の女性が経験するといわれています。基礎疾患のない方に起こる単純性膀胱炎と、前立腺肥大症や膀胱結石などの基礎疾患がある方に起こる複雑性膀胱炎に大別されます。閉経後の女性は膣内環境の変化により再発しやすい傾向があります。

膀胱炎の原因

原因菌の70〜90%は、腸内に常在する大腸菌です。通常は尿で洗い流されますが、免疫力の低下、疲労やストレス、冷え、水分摂取不足、長時間のトイレ我慢などが重なると、細菌が膀胱内で増殖し炎症を引き起こします。

膀胱炎の症状

  • 頻尿(1日に何度もトイレに行きたくなる)
  • 排尿時の痛み・灼熱感
  • 残尿感(尿を出し切れない感覚)
  • 下腹部の不快感・圧迫感
  • 尿の濁り、血尿

膀胱炎は一般的に発熱を伴わないことが多いですが、高熱や腰背部痛がある場合は細菌が腎臓まで及んだ腎盂腎炎(じんうじんえん)の可能性があり、早急な治療が必要です。

膀胱炎の治療法

原因菌に有効な抗菌薬の内服が基本です。単純性膀胱炎であれば3日間程度の服用で改善することが多いですが、再発を繰り返す場合には5〜7日間の内服が必要になることもあります。治療に先立って尿培養検査を行い、原因菌の種類と薬剤感受性を確認することが、適切な治療のために重要です。

近年、抗菌薬に対する耐性菌の問題が深刻化しており、安易な抗菌薬使用は避けるべきとされています。症状が出た際は、自己判断で市販薬に頼らず、医師の診察を受けて適切な治療を受けるようにしましょう。

再発予防としては、十分な水分摂取で尿量を増やすこと、トイレを長時間我慢しないこと、排尿・排便後は前から後ろに拭くことなどが効果的です。

前立腺肥大症

前立腺肥大症とは

前立腺肥大症は、膀胱のすぐ下にあり尿道を取り囲んでいる前立腺が加齢とともに大きくなることで、尿の通り道が圧迫される男性特有の疾患です。60歳代で約6%、70歳代で約12%の男性にみられると報告されています。命に直結することは少ないものの、進行性の病気であり、一度発症すると基本的に継続的な管理が必要です。

前立腺肥大症の原因

発症の詳細なメカニズムは完全には解明されていませんが、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン、ジヒドロテストステロン)のバランスの変化が深く関与していると考えられています。遺伝的素因、肥満、メタボリックシンドロームなどもリスク因子として報告されています。

前立腺肥大症の症状

前立腺肥大症の症状は、「蓄尿症状」と「排尿症状」「排尿後症状」の3つに分けられます。

蓄尿症状排尿症状排尿後症状
頻尿(特に夜間)尿の勢いが弱い残尿感
尿意切迫感尿が出始めるまで時間がかかる排尿後に尿が滴り落ちる
尿失禁排尿の途中で途切れる

症状がさらに進行すると、尿がまったく出なくなる尿閉という状態に陥ることもあり、緊急の処置(導尿)が必要になる場合があります。

前立腺肥大症の治療法

薬物療法

α1遮断薬は前立腺や尿道の平滑筋を弛緩させ、尿の流れを改善する薬で、最も広く使用されています。5α還元酵素阻害薬は前立腺そのものを縮小させる効果があり、前立腺が大きい場合に用いられます。症状の程度や前立腺の大きさに応じて、単剤または併用で治療を進めます。PDE5阻害薬が使用されるケースもあります。

外科的治療

薬物療法で効果が不十分な場合や、尿閉を繰り返すなど症状が高度な場合は、経尿道的前立腺切除術(TURP)やレーザー治療などの手術が検討されます。こうした場合は、速やかに泌尿器科の専門医療機関をご紹介いたします。

クリニックプラスでの診療について

排尿のトラブルはデリケートな問題であるため、「このくらいで病院に行ってもいいのだろうか」と悩む方もいらっしゃいますが、早めに適切な治療を受けることで日常生活の質は大きく改善します。クリニックプラスでは、問診・身体診察・尿検査を中心に、過活動膀胱・膀胱炎・前立腺肥大症の診断と初期治療に幅広く対応しています。泌尿器科での専門的な検査や手術が必要な場合には、提携医療機関への紹介もスムーズに行います。

クリニックプラスは24時間LINEから予約が可能です。平日は夜20時まで、土日祝日も毎日診療しておりますので、頻尿や排尿痛などの症状にお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。

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