「喘息」は一般的には、ゼーゼーと呼吸が苦しくなり、強い咳込みを伴う病気です。
しかし、実は喘息にはさまざまな種類があり、息苦しさは感じず咳だけが長く続くようなタイプもあります。
また、アレルゲン以外に、薬剤や運動が発作の引き金となることもあります。
適切な診断のもと早期に治療が受けられるよう、ここでは喘息の種類と原因・症状などについて解説します。
喘息ってどんな病気?
呼吸をしたときに空気が通る道のことを「気道」といいます。
喘息は、この気道に炎症が起きて狭くなるために、空気が通りにくくなる病気です。
喘息の症状
喘息の大きな特徴は、呼吸するときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がなる「喘鳴(ぜんめい)」です。
また、息苦しさや咳込みも見られます。ただし、咳喘息のように喘鳴や息苦しさがなく、咳だけが続く喘息もあります。
次の項目で喘息の種類について見ていきましょう。
喘息の種類と原因
「喘息」というと、一般的には気管支喘息のことをさすことが多いですが、実は他にもさまざまな種類があります。
ここでは喘息の種類と、それぞれの特徴について解説します。
一般的に「喘息」というと、この気管支喘息のことをさします。
炎症を起こしている気道に刺激が加わることで発作が起こり、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴や息苦しさ、咳込みなどの症状が現れます。発作は夜間や早朝に起こりやすいのが特徴です。
気道に刺激を与えるものとして、ハウスダスト、ダニ、花粉のようなアレルゲンが有名ですが、こうしたアレルゲン以外にも、タバコや汚れた空気、風邪やストレス、天気などが発作の引き金となる場合もあります。
②咳喘息
咳喘息は、数週間に渡るような長引く咳が特徴の喘息です。気管支喘息のような喘鳴は無く、乾いた咳だけが続きます。
咳喘息の原因となるものは、風邪、会話、ハウスダスト、ダニ、花粉、天候の変化やストレスなどさまざまです。
咳喘息は自然に治る場合もありますが、適切な治療を受けないと気管支喘息へ移行してしまうこともあります。
また、長引く咳は肋骨骨折などの辛い合併症を起こすことがあります。
当院には咳の専門家がおりますので、ぜひご相談ください。
③小児喘息
気管支喘息のうち、子どもの時期に発症するものを小児喘息といいます。
小児喘息の発作の多くは、ハウスダストやダニなど、特定のアレルゲンが原因で起こります。
大人の気管支喘息と同様、喘鳴や咳込み、息苦しさが主な症状です。
子どもは症状をうまく伝えられないことも多いため、様子を注意深く観察する必要があります。
息を吸うときに肋骨(ろっこつ)が浮いて見えたり、顔色が悪くなったりしている場合は、強い発作が起きているときなので、早急な対応が必要になります。
アレルギーのもととなる物質「アレルゲン」に対し、アレルギー反応が起こることで発症する喘息をアトピー型喘息といいます。アレルゲンにはハウスダスト、ダニ、花粉、カビ、ペットの毛などがあります。
アトピー型喘息は、特に小児喘息で多く見られます。
何が自分のアレルゲンとなっているかを検査で知り、生活の中でそれをできる限り取り除くことが治療において大切です。
アレルゲン以外の原因によって起こる喘息を非アトピー型喘息といいます。
成人発症の喘息では、この非アトピー型が多くなります。
非アトピー型喘息の原因には、天候の変化や運動、アルコール、タバコ、ストレスなどが挙げられます
熱や痛みを和らげるために使う解熱鎮痛薬(げねつちんつうやく)の成分に対するアレルギー反応によって、喘息発作を引き起こすことがあり、これをアスピリン喘息といいます。
アスピリン喘息の方は、アスピリンだけでなく、あらゆる種類の解熱鎮痛薬で発作を起こす可能性があります。
解熱鎮痛薬を服用後1時間以内に、鼻づまりや鼻水に続いて強い喘息発作が起こります。
アスピリン喘息の診断を受けている方でも使える解熱鎮痛薬がありますので、ご相談ください。
気管支喘息のうち、運動が原因となって起こる喘息発作のことを運動誘発喘息といいます。
気管支喘息と同様に、喘鳴や息苦しさ、咳込みなどの症状が起こります。
運動開始から終了時にかけて発作が起こる即時型と、運動後6~12時間後に起こる遅延型があります。
冷たい空気が気道に流れ込み、それが刺激となって発作が起こることが多いため、特に冬場のランニングなどは注意が必要です。
喘息の検査と診断
喘息の診断に最も重要なのは問診です。
これまでの咳の病歴を詳細に聞かせて頂き、その上で採血検査や呼吸機能検査を行って、総合的に喘息と診断すべきか検討します。吸入薬の治療効果等も参考にさせて頂きます。
喘息の治療
喘息治療で大切なことは、発作が起こらないように普段から喘息の状態をコントロールしておくことです。
そのために、発作の原因となっているアレルゲンやストレスなどを普段からできる限り回避していくことが重要です。
薬物療法としては、吸入ステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬などの長期管理薬を使用し、気管支や気道の炎症を抑えるようにします。
それでも発作が起きてしまった場合には、狭くなった気管支を速やかに広げる気管支拡張剤を追加で使用します。
<喘息症状から考える重症度分類と治療法>
喘息かなと思ったら
喘息にはさまざまな種類があり、何が発作の引き金になるかも人によって違います。
また、風邪だと思って風邪薬を飲み続けている間に喘息症状が悪化してしまうようなケースもあります。
気になる症状がある場合はまずは受診し、検査を受けるようにしてください。
喘息の疑いで来院された方の当院での診療の流れ
①問診
小児喘息の既往や最近の喘息発作歴、現在もしくは過去に使用していた吸入薬の種類など確認します。
喘息と言われたことがない方は、咳がどのくらい続いているのか、どういうきっかけで咳が出るのかなど確認します。
②身体診察
聴診を行い、呼吸音の異常を確認します。
③検査
レントゲンを撮影して、咳の原因がほかにないか確認します。
採血でアレルギー体質があるかどうか確認させて頂きます。
④処方(重症の場合は、専門医療機関へ紹介)
気管支喘息の治療の基本は吸入薬です。その他、抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬などが有効です。
症状に合わせて適宜処方薬を調整します。
咳が続いてなかなか治らないという場合には、喘息が悪さをしているかもしれません。
喘息は、内服薬や吸入薬の治療で症状を改善させることが可能です。
クリニックプラスでは平日は20時まで、土日祝日も喘息の診療を行っております。
お気軽にご相談にいらしてください。