咳が出始めて何週間も止まらないという場合、それは「咳喘息」かもしれません。咳喘息は、長引く咳の原因として最も多いもので、咳以外の症状が無いことが特徴です。咳喘息は市販の風邪薬や咳止めでは治らず、放置すると気管支喘息に移行してしまうこともあるため、風邪だろうと自己判断するのは禁物です。ここでは咳喘息の特徴や治療について解説します。
咳喘息(せきぜんそく)の特徴
「咳喘息」と言われても、どのような病気なのかピンとこない方も多いかもしれませんが、長引く咳の症状で受診をした場合、「咳喘息」と診断されることが実は一番多いのです。ここでは咳喘息の特徴について解説します。
咳喘息とは?ふつうの喘息と何が違うの?
咳喘息は、咳が数週間にわたり続くような、長引く咳の症状が特徴の病気です。気管支喘息(きかんしぜんそく)と言われる、いわゆるふつうの喘息との違いは次のとおりです。
気管支喘息:胸がヒューヒュー・ゼイゼイ鳴る喘鳴(ぜんめい)があり、息苦しさを感じる。
咳喘息:喘鳴がなく、症状は乾いた咳のみで、呼吸困難感は無い。
「喘鳴の無い長引く乾いた咳」が咳喘息の特徴です。感染症ではないので、人にうつることはありません。
こんな時は咳喘息を疑います
次の項目に当てはまる場合は咳喘息を疑い、全ての項目がそろうと咳喘息と診断されます。
・喘鳴が無く、咳だけが数週間続いている
・気管支喘息にかかったことがない
・咳が続いている間、風邪などの感染症にかかっていない
・胸のレントゲン検査で異常がない
・アレルギーを起こす物質に反応して咳が出る
・気管支拡張剤(きかんしかくちょうざい)を使うと症状がおさまる
咳喘息の原因は?
咳喘息はどのようなきっかけで起こるのでしょうか。ここでは咳喘息の原因について解説します。
咳喘息の原因は気道の炎症
咳喘息の原因は、呼吸をするときの空気の通り道である気道(きどう)の炎症です。好酸球(こうさんきゅう)という、炎症を引き起こす白血球の一種が、何らかの原因によって気道に集まってくることで炎症が起こります。気道に炎症があると、ちょっとした刺激で咳が出やすくなってしまいます。
咳喘息のきっかけになるもの
咳喘息は次のようなものがきっかけで起こります。
・風邪
・ほこり、ダニ、花粉、動物のフケ、たばこの煙、黄砂、匂い
・天候の変化、過労、ストレス
さまざまなものがきっかけになってしまうため、自分が何に反応しやすいかということを知り、それをできる限り避けることも必要です。
花粉症と咳喘息
花粉症の患者さんが、鼻や目の症状だけでなく、咳が続くようになってしまう場合があります。これは花粉症がきっかけで、気道にも炎症が起き、咳喘息になってしまったと考えられます。この場合、花粉症の治療に使う薬だけでは咳はなかなか止まりません。咳喘息の治療もあわせて行う必要があります。
咳喘息の検査
咳喘息の診断と治療のために、次のような検査を行います。
①胸部レントゲン検査
肺炎など、他の病気の可能性がないかを確認します。
②血液検査
どんな物質(アレルゲン)によって咳が出てしまうのかを調べます。
咳喘息はどうやって治療するの?
長引く咳の原因が咳喘息であると分かったら、どのような治療を行うのでしょうか。ここでは咳喘息の治療について解説します。
市販薬では効果が乏しい
咳喘息は、市販されている風邪薬では治らず、咳止めもほとんど効果がありません。市販薬を飲み続けている間に悪化してしまうことがあるため、咳の症状が長引くときは早めに受診するようにしましょう。
咳喘息の治療
咳喘息の治療は、症状を取ることと、原因となっている気道の炎症を抑えることの2つが重要です。そのために次のような薬を使って治療します。
・気管支拡張剤(きかんしかくちょうざい)
狭くなっている気管支を広げて、咳の症状をおさえます。
・吸入ステロイド剤
咳喘息の原因となっている、気道の炎症をおさえます。
生活の中で気を付けること
薬での治療以外に、生活の中で次のようなことに気を付けることも大切です。
①禁煙
たばこの煙は咳喘息の悪化を招きます。
②アルコールを控える
お酒を飲んだ時に体の中にできる物質が気道を収縮させるため、咳が出やすくなります。
③アレルゲンを取り除く
カビ、ダニ、花粉など、原因となっているアレルゲンをなるべく減らすよう、環境を整えましょう。
いつまで治療すれば良いの?
適切な治療をすると、数日以内に咳の回数が減り、数週間でほとんど気にならなくなります。しかし、そこで薬をやめてしまうと再発してしまうことも少なくありません。再発を防ぐためにも、数か月は治療を続けることが必要となります。症状がなくなったからといって自己判断で薬をやめないようにしましょう。
咳喘息を治療しないとどうなるの?
咳喘息は、自然に治る場合もありますが、適切な治療を受けないと30~40%の人が気管支喘息に移行してしまうと言われています。気管支喘息に移行させないためにも、咳の原因を自己判断せず、早めに受診してきちんと治療をすることが大切です。
咳喘息で来院された方の当院での診療の流れ
① 問診
症状について詳しくお話しを聞きます。喘息以外の病気の可能性がないか判断します。(LINEの事前問診にお答えいただきますと、よりスムーズな診療を提供できますので、ご協力ください。)
②身体診察
呼吸の音に異常はないかなど、医師が丁寧に診察を行います。
③検査
咳喘息以外の咳の原因が隠れていないか血液検査を行います。アレルゲンを調べる血液検査は結果が出るまでに1週間ほどかかります。場合によっては、CT検査などの画像検査を行う場合もあります。
④処方
重症度に応じて、吸入薬あるいは内服薬を処方します。咳喘息の原因になりうるようなものは極力回避するように指導いたします。
咳が続いてなかなか治らない方は咳喘息の可能性があります。咳喘息は適切な薬を使用することで症状を改善させることができます。咳でお悩みの方は、まずはクリニックプラスにご相談にいらしてください。クリニックプラスは平日夜の8時まで、さらには土日祝日も毎日営業しています。事前LINE問診や、事前クレカ決済システムなど、テクノロジーを活用することで待ち時間を少しでも短くする取り組みも行っています。