定期予防接種(中野)
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診療内容 小児科
RSウイルス感染症は、乳幼児が最も注意すべき呼吸器感染症のひとつです。大人にとっては軽い風邪程度で済むことが多いものの、特に1歳未満の赤ちゃんが初めて感染した場合には、細気管支炎や肺炎を引き起こし、入院が必要になるケースもあります。生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼすべてのお子さんが一度は感染するといわれるほど、ごく身近なウイルスです。保育園や幼稚園でたびたび耳にするRSウイルスについて、症状や治療、家庭でのケアのポイントまで分かりやすく解説します。
RSウイルス(respiratory syncytial virus)は、呼吸器に感染するRNAウイルスの一種です。Paramyxovirus科Pneumovirus属に分類され、A型とB型の2つの亜型が存在します。感染症法では5類感染症(定点把握対象)に位置づけられ、全国約3,000か所の小児科定点医療機関から流行状況が報告されています(参考:厚生労働省 RSウイルス感染症)。
RSウイルスの最大の特徴は、一度の感染では十分な免疫が得られず、生涯にわたり何度も感染を繰り返す点にあります。年長児や大人が再感染した場合は、軽い上気道炎(いわゆる風邪)程度で済むことがほとんどです。しかし、月齢の低い乳児が初めてRSウイルスに感染すると、下気道にまで炎症が及び、重症化することがあります。乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50〜90%はRSウイルスが原因とされており、小児の呼吸器感染症のなかでも特に重要な位置を占めています。
RSウイルスの感染経路は主に2つです。
かつては冬季(11月〜翌1月頃)に流行のピークを迎えるのが一般的でしたが、近年は夏から秋にかけても大きな流行が確認されており、季節を問わず注意が必要です。流行時期の変動は年ごとに異なるため、最新の発生動向を確認しておくと安心です(参考:国立健康危機管理研究機構 RSウイルス感染症)。
RSウイルスに感染すると、2〜8日(典型的には4〜6日)の潜伏期間を経て、発熱や鼻水、軽い咳といった上気道症状が現れます。初感染の乳幼児の約7割は鼻汁程度の軽い症状で数日のうちに回復しますが、残りの約3割では咳が悪化し、ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難などの下気道症状に進展することがあります。罹病期間はおおむね7〜12日程度です。
RSウイルス感染症の主な症状まとめ
| 項目 | 内容 |
| 潜伏期間 | 2〜8日(典型的には4〜6日) |
| 初期症状 | 発熱、鼻水、軽い咳 |
| 悪化時の症状 | 喘鳴(ゼーゼー)、呼吸困難、咳の悪化 |
| 症状持続期間 | 7〜12日程度(個人差あり) |
| 重篤な合併症 | 無呼吸発作、細気管支炎、肺炎、急性脳症 |
1歳未満、とりわけ生後6か月未満の乳児が初めてRSウイルスに感染すると、炎症が細い気管支の奥にまで及ぶ「細気管支炎」を起こしやすくなります。呼吸を一時的に止めてしまう無呼吸発作は、特に新生児・低月齢児で起こりうる危険な症状です。入院症例のピークは月齢2〜5か月とされており、早産児、心臓や肺に基礎疾患のあるお子さん、免疫不全やダウン症候群のお子さんでは重症化リスクがさらに高まります。
RSウイルスの迅速検査は、鼻の奥を綿棒でぬぐって検体を採取し、15分前後で結果が判明する簡便な検査です。インフルエンザの検査と同じ要領で行えます。ただし、この迅速検査が保険適用で実施できるのは、原則として1歳未満の乳児(シナジス適応者は限らない)に限られます。これは、1歳未満では無呼吸発作などの重篤な症状を呈するリスクがあり、入院の要否を速やかに判断する必要があるためです。
1歳以上のお子さんでは重症化リスクが相対的に低く、治療も対症療法が基本となるため、積極的な検査は必ずしも推奨されていません。ただし、保育園や幼稚園から検査を受けるよう指示されるケースもあります。その場合は自費(当院では3300円)での検査となりますので、必要に応じてご相談ください。
1歳以上のお子さまで検査を強くご希望される場合、保険診療内での検査は対応出来かねますため、診察・検査含め自費診療での対応となりますこと、予めご了承ください。
RSウイルスに効く抗ウイルス薬は現在のところ存在しません。治療の中心は、症状を緩和する対症療法です。発熱に対しては解熱剤(アセトアミノフェンなど)、咳が強い場合は鎮咳薬や去痰薬を使用します。重症化して入院が必要になった場合には、酸素投与や点滴による水分・栄養補給、さらに必要に応じて人工呼吸器による呼吸管理が行われます。細菌の二次感染が疑われる場合には、抗菌薬を併用することもあります。
現時点ではRSウイルスに対する一般向けのワクチンは実用化されていません。感染予防の基本は、こまめな手洗い・うがいの徹底と、飛沫感染・接触感染に対する注意です。年長児や大人がRSウイルスに感染しても軽い風邪と見分けがつかないことが多く、知らないうちに乳児にうつしてしまう可能性があります。風邪症状のある方は、乳児との不用意な接触を避け、マスク着用を心がけましょう。
子どもたちが日常的に触れるおもちゃやドアノブ、手すりなどは、アルコールや塩素系の消毒剤でこまめに拭くことが有効です。また、早産児や心臓・肺の基礎疾患を持つハイリスクのお子さんには、重症化予防のための抗体製剤(パリビズマブ)を流行期に月1回注射する方法が保険適用となっています。使用の対象となるかは、かかりつけ医にご確認ください。
重症化予防の注射薬として、シナジス(一般名:パリビズマブ)、ベイフォータス(一般名:ニルセビマブ)の2種類があります。これらはRSウイルスに対する抗体をあらかじめ体に補い、ウイルスの増殖を抑える働きがあります。
投与しても完全に感染を防げるわけではありませんが、重症化を大きく減らすことが期待できます。太ももに筋肉注射をすることが一般的です。 対象となるかはかかりつけ医にご相談ください。
RSウイルス感染症には、インフルエンザのような明確な出席停止期間の定めはありません。登園再開の目安は「呼吸器症状が消失し、全身状態が良好であること」です。園によっては登園許可証の提出を求められるケースもありますので、登園前に確認しておくと安心です。クリニックプラスでは登園許可証の発行にも対応しています。
いつからどのような症状が出ているか、周囲にRSウイルス感染症のお子さんがいるかなどを確認します。LINEの事前問診にお答えいただくと、当日の診察がスムーズです。
聴診器で呼吸音を確認し、呼吸状態や全身の様子を丁寧に診察します。
1歳未満のお子さんには、鼻の奥を綿棒で拭うRSウイルス迅速検査を実施します(結果は5〜10分)。1歳以上の方は自費検査となりますので、ご希望の方はお申し出ください。
症状に応じたお薬を処方します。重症化が疑われる場合には、専門医療機関を速やかにご紹介いたします。
大人にとってはただの風邪でも、お子さんのRSウイルス感染症は呼吸器症状が強く出やすく、油断は禁物です。気になる症状があれば、早めにご相談ください。クリニックプラスは24時間LINEで予約が可能です。平日は夜20時まで、さらに土日祝日も毎日診察しておりますので、お仕事帰りや休日でもお気軽にご来院いただけます。