定期予防接種(中野)
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診療内容 小児科
「りんご病」という名前を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。頬がリンゴのように赤くなることからその名がついた、子どもに多い感染症です。正式には「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」といい、ヒトパルボウイルスB19というウイルスが原因で起こります。小児を中心にほぼ4~5年周期で流行を繰り返しており、特に春から初夏にかけて患者数が増える傾向があります。多くの場合は軽症で自然に治りますが、妊婦や血液疾患のある方では注意が必要な感染症でもあります。ここでは、小児の伝染性紅斑の原因・症状・診断・治療法について詳しく解説していきます。
伝染性紅斑の原因は、パルボウイルス科エリスロパルボウイルス属に分類されるヒトパルボウイルスB19という一本鎖DNAウイルスです。1983年にこのウイルスが伝染性紅斑の原因であることが提唱され、その後の研究で確実なものとなりました。B19ウイルスは赤血球膜の表面にあるP抗原をレセプターとして赤芽球前駆細胞に感染し、増殖します。このウイルスは伝染性紅斑だけでなく、関節炎や血小板減少症など多彩な臨床像を示すことも知られています。
参考:国立感染症研究所「伝染性紅斑とは」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/443-5th-disease.html)
主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。感染者の咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込んだり、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れたりすることで感染が成立します。ウイルスの排泄量が最も多いのは発疹が出る7~10日前の時期で、この段階ではまだ感染しているとは気づかないことがほとんどです。そのため、感染の拡大を完全に防ぐことは難しいのが現状です。
伝染性紅斑は小児に多く見られ、5~9歳が最も多く、次いで0~4歳に多いとされています。成人の感染も珍しくはなく、看護師や保育士など子どもと接する機会の多い職種での集団感染事例も報告されています。
感染してから約4-1410~20日の潜伏期間を経て症状が現れます。頬が赤くなる7~10日前に、微熱や軽い咳・鼻水など、風邪に似た前駆症状が出ることがあります。この時期がウイルスの排泄量が最も多く、周囲への感染力が最も強い時期です。
伝染性紅斑の最大の特徴は、両頬に境界のはっきりした蝶翼状の紅斑が現れることです。続いて、手足や体幹に網目状・レース状と表現される発疹が広がっていきます。これらの発疹は通常1~2週間で自然に消えますが、入浴や日光、精神的な緊張などをきっかけに一度消えた発疹が再び現れることもあります。
成人が感染した場合は、小児のような頬の紅斑が目立たないことも多く、代わりに関節痛や頭痛、全身倦怠感などの全身症状が現れやすいのが特徴です。関節痛は手首や膝に多く、痛みによって1~2日ほど歩行が困難になることもあります。ほとんどの場合、後遺症や合併症を残すことなく1週間程度で自然に回復します。
| 時期・項目 | 内容 |
| 潜伏期間 | 10~20日 |
| 前駆症状 | 微熱、咳、鼻水(発疹の7~10日前) |
| 顔面の紅斑 | 両頬に蝶翼状の紅斑(リンゴのように赤い) |
| 四肢の発疹 | 網目状・レース状の発疹が手足に広がる |
| 回復期間 | 通常1~2週間で自然に消失 |
伝染性紅斑の診断は、特徴的な見た目による臨床診断が基本です。①両頬の蝶翼状紅斑と②四肢のレース状・網目状の発疹の2つが揃うことで、伝染性紅斑と診断されます。伝染性紅斑は感染症法において5類感染症に分類されており、指定届出機関からの報告対象となっています。
ヒトパルボウイルスB19は通常の組織培養でのウイルス分離が困難なため、診断には血清学的検査が用いられます。具体的には、酵素抗体法(ELISA)によりB19に対する特異的IgM抗体の検出、またはペア血清でIgG抗体価の上昇を確認することで診断が確定します。採血は1回ないし2回行います。紅斑が出現している15歳以上、あるいは妊婦に対するIgM抗体の測定のみに健康保険が適応され、それ以外は自費診療となります。
参考:厚生労働省「伝染性紅斑」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/fifth_disease.html)
伝染性紅斑は多くの方が軽症で回復しますが、以下に該当する方は重症化のリスクがあるため、特に注意が必要です。
伝染性紅斑にはウイルスに直接効く特効薬やワクチンは現在のところありません。基本的には自然に症状が改善していくため、特別な治療は不要です。関節痛や頭痛がある場合は解熱鎮痛薬を、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬を使用するなど、症状を和らげる対症療法が中心となります。
免疫不全の方や血液疾患のある方など、重症化しやすい方に対しては、γ(ガンマ)グロブリン製剤の投与が行われることがあります。妊婦が感染した場合は、産婦人科で胎児の状態を注意深くモニタリングしていくことが大切です。
伝染性紅斑は発疹が出る前の段階が最も感染力が強く、その時期にはまだ感染に気づかないため、感染拡大を防ぐことは容易ではありません。予防接種もないため、日頃からのこまめな手洗い・うがい・咳エチケットといった基本的な感染対策が最も大切です。
ヒトパルボウイルスB19は一度感染して抗体ができると、終生免疫が成立し、再び感染することはありません。
伝染性紅斑は感染症法で5類感染症に分類されています。頬の紅斑が出ている時期にはすでに感染力はほとんどなくなっているため、発疹が出ていても全身状態が良好であれば、登校・登園を控える必要は基本的にありません。強い紫外線の刺激や温まると皮膚のかゆみが増強されるため、皮膚症状が強ければプールなどは控えた方が良いでしょう。
お子さまの頬が急に赤くなった、体にレース状の発疹が出たなど、伝染性紅斑が疑われる症状が見られたら、まずはお気軽にご相談ください。クリニックプラスでは、問診・視診を中心に丁寧な診察を行い、必要に応じて血液検査などの精密検査も実施いたします。
クリニックプラスは24時間LINEから予約が可能です。平日は夜20時まで、土日祝日も診察を行っておりますので、お仕事や学校の後でも受診しやすい環境を整えています。お子さまの体調で気になることがありましたら、いつでもお気軽にご予約ください。