鼻水が出て、止まらないという経験をもつ方は多いと思います。
鼻水が出る原因や、放っておいてもいいのかなど、鼻水が出る疾患について解説していきます。
鼻水が出る疾患
鼻水が出る疾患には、以下のようなものがあります。
- 風邪(かぜ)
- 花粉症
- アレルギー性鼻炎
- 副鼻腔炎(ふくびくうえん)
風邪(かぜ)
風邪とは、ほとんどの場合自然と良くなるウイルス性の上気道感染症(じょうきどうかんせんしょう)のことをいいます。
風邪を引き起こすウイルスは200種類以上あると言われており、そのほとんどは医療機関では同定できません。
鼻水や鼻づまりなどの、いわゆる鼻症状のほかに、のどの痛みや咳の症状が、急に同じ時期に同じ程度存在するのが典型的ですが、倦怠感や頭痛・発熱などの全身症状を伴うこともあります。
多くのウイルスは治療薬がないため、安静や睡眠、栄養などで抵抗力を高めて回復を待ちます。
3~7日の経過とともに症状は改善していきますが、症状が辛い場合には解熱鎮痛剤や鼻汁を減らす薬の服用といった、対症療法を行うこともあります。
花粉症
花粉症で悩んでいる方は多く、日本人の42.5%が花粉症という2019年の調査結果があり、花粉症は国民病ともいわれています。
花粉症の主な症状は、鼻の症状(アレルギー性鼻炎)・眼の症状(アレルギー性結膜炎)・全身の症状です。
人によって偏りがあるものの、サラサラとした透明な鼻水が止まらない、目がかゆくてたまらない、頭がぼーっとするといった症状が出てきます。
仕事の効率の低下や学力の低下にもつながるとされ、花粉症はQOL(生活の質)を下げてしまう社会問題としても注目されています。
花粉症の治療でいちばん大切なのは、花粉を避けること。
外出する際にメガネやマスクをする、花粉がつきにくい素材の服装をする、玄関に入る前に花粉を払う、といった対策をして家に花粉を持ち込まないようにします。
また、症状を抑えるための薬として抗アレルギー薬を使うことが一般的ですが、花粉が飛散し始める前に薬を飲み始めることで症状が抑えやすくなります。
他にも、アレルギーの原因物質であるアレルゲンを少量から投与することで、少しずつ体をアレルゲンに慣らしていき、症状の緩和や根本的な体質改善が得られる舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)や、重度の花粉症に対しても効果が得られるゾレア注射なども最近注目を浴びています。
花粉症は放っておいても命に関わることはありませんが、仕事の効率の低下や成績の低下など、社会的に問題が出てくる疾患です。
ご自身の症状に合わせて、適切に治療をおこなうことをお勧めします。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、ホコリやダニ・花粉など、なんらかのアレルゲンにより鼻炎の症状が出る病気です。
アレルギーの原因が花粉等である場合は、時期よって症状が強くなったり弱くなったり消えたりしますが、ホコリやダニなどが原因の場合には通年、鼻炎の症状に苦しむことになります。
透明のサラサラとした水のような鼻水が止まらない、くしゃみが立て続けにおこる、鼻が詰まって呼吸しづらい、といった、鼻水・鼻づまり・くしゃみがアレルギー性鼻炎の主な症状です。
治療には、抗アレルギー剤の内服や、舌下免疫療法、鼻粘膜をレーザーで焼く手術などの方法があります。
鼻炎の症状が強いと、頭痛、頭がぼーっとする、といった症状につながり、集中力が低下して日常生活に支障が出てしまうため、医療機関で適切な治療を受けるようにしましょう。
副鼻腔炎
鼻の周りには副鼻腔(ふくびくう)という空洞が4つあり、その空洞の骨を覆う粘膜に炎症がおきることを副鼻腔炎といいます。
風邪によるウイルスや細菌などの病原体、喘息を含め、アレルギーなどが炎症のきっかけとなり、炎症が起きることで粘膜が腫れたり、分泌液が出たりするようになり、それが副鼻腔に溜まってしまうと炎症はさらに悪化します。
たいていは4週間以内に炎症が治まる急性副鼻腔炎ですが、症状が3か月以上続く場合には慢性副鼻腔炎(蓄膿症 ちくのうしょう)という疾患であると診断されます。
鼻水・鼻づまりが主な症状ですが、頭痛、においがわからなくなる嗅覚障害、鼻水がのどに垂れ込む後鼻漏(こうびろう)が見られることもあります。
鼻水は黄色で、どろっとしたものであることが多いです。
風邪がきっかけとなった場合は、ウイルス性による急性副鼻腔炎で、多くは自然に治癒します。
症状が強い、長引く、という場合は、細菌性の副鼻腔炎が疑われ、抗生剤による治療をおこないます。
症状が出ている時は、鼻の辺りに温かいタオルをのせる、温かい飲み物を飲む、鼻から蒸気を吸う、などの対策をすると、鼻水が出やすくなり、症状の改善にもつながります。
鼻水が気になる場合は、一度受診を
鼻水と一言でいっても、原因としては様々なものが考えられます。
基本的にサラサラ透明の鼻水はアレルギー性のものが多く、黄色い鼻水は感染性のものが多いですが、決してその限りでもありません。
ウイルスが原因の鼻水は自然に治るものが多いですが、アレルギーや細菌感染によるものは薬による治療が必要なケースも多くあります。
適切な診断と治療のためにも、鼻水が気になる場合には、医療機関で受診するようにしてください。
→詳細は「内科 風邪」をご参照ください
→詳細は「小児科 風邪」をご参照ください
→詳細は「アレルギー科 花粉症・アレルギー性鼻炎」をご参照ください