コラム

安定狭心症

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安定狭心症とは

安定狭心症(あんていきょうしんしょう)とは、狭心症の中でも発作のパターンが数か月以上にわたって大きく変化していない状態を指します。心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈が動脈硬化によって狭くなり、運動時などに心筋への血流が不足することで胸の痛みや圧迫感が生じます。安定狭心症では毎回ほぼ同じ程度の労作で発作が起こるため、ある程度の予測が可能です。安静にすれば数分から15分程度で症状はおさまります。

ただし、安定狭心症であっても放置すると状態が悪化し、心筋梗塞のリスクが高い不安定狭心症へ進行する可能性があります。発作のパターンに少しでも変化を感じたら、速やかに受診することが重要です。

安定狭心症と不安定狭心症の違い

安定狭心症は発作の状況がおおむね一定であるのに対し、不安定狭心症は発作の回数が増える・痛みが強くなる・安静時にも症状が出るなど、急速に悪化している状態です。不安定狭心症は心筋梗塞に直結するリスクが高く、緊急治療が必要になることもあります。安定狭心症のうちに適切な治療を受けることが、こうした危険な状態への進行を防ぐ鍵となります。

安定狭心症の原因

安定狭心症の主な原因は動脈硬化です。加齢や生活習慣の乱れなどにより、冠動脈の内壁にコレステロールのかたまり(粥腫・じゅくしゅ)が形成され、血管の内側が少しずつ狭くなっていきます。安定狭心症の場合、粥腫を覆う線維性被膜が比較的厚く安定しているため、急に破れて心筋梗塞を起こすリスクは低いとされています。しかし、動脈硬化そのものは進行性の病気であり、治療を行わなければ冠動脈はさらに狭くなっていきます。

動脈硬化のリスク因子

動脈硬化を進行させるリスク因子には以下のものがあります。

  • 加齢:血管の老化は避けられませんが、生活習慣の改善で進行を遅らせることが可能です
  • 高血圧症:血管に持続的な圧力がかかり、血管壁が傷つきやすくなります
  • 脂質異常症:LDLコレステロールが高い状態はプラーク形成を加速させます
  • 糖尿病:血糖値が高い状態が続くと血管内皮が傷つき、動脈硬化が進みます
  • 喫煙:タバコに含まれる有害物質は血管に大きなダメージを与えます
  • 肥満・運動不足:メタボリックシンドロームを招き、動脈硬化のリスクを高めます

これらの因子が重なるほど動脈硬化の進行は速まります。逆に言えば、これらの因子を適切にコントロールすることで、狭心症の予防や進行の抑制が期待できます。

安定狭心症の症状

初期は無症状のことも

冠動脈がある程度狭くなるまでは自覚症状が現れません。動脈硬化は長い年月をかけて徐々に進行するため、症状が出始めたときにはすでに冠動脈がかなり狭くなっていることが多いのが現状です。日頃から定期的な健康診断を受け、コレステロール値や血圧、血糖値に異常がないか確認することが早期発見への第一歩です。

労作時に起こる発作

安定狭心症の発作は、階段をのぼる・早歩きをする・重いものを持つなど、身体を動かしたときに起こりやすいのが特徴です。運動時には心筋がより多くの血液を必要としますが、狭くなった冠動脈では十分な血液を供給できないため、胸の痛みや圧迫感が生じます。寒い日の外出時や食後、感情的に興奮したときにも発作が誘発されることがあります。

症状の特徴

安定狭心症の典型的な症状には次のようなものがあります。

  • 胸が締めつけられるような痛み
  • 胸の圧迫感や詰まり感
  • みぞおちあたりの漠然とした不快感(「ここが痛い」と指さしにくい)
  • 首・あご・頬・歯・左肩に広がる放散痛
  • 安静にすると数分〜15分ほどでおさまる

毎回同じくらいの強さの運動で症状が出るのが安定狭心症の特徴です。しかし、少しの労作でも症状が出るようになったり、安静時にも発作が起こるようになったり、持続時間が長くなったりした場合は、不安定狭心症への移行が疑われますので、速やかに医療機関を受診してください。

安定狭心症の診断・検査

安定狭心症は安静時の検査では異常が見つからないことが多いため、複数の検査を組み合わせて総合的に診断します。

運動負荷心電図検査

トレッドミル(ベルトコンベア式の歩行装置)やエルゴメーター(自転車型の運動装置)を使い、運動をしながら心電図を記録する検査です。運動で心筋に負荷をかけた状態で虚血(血流不足)の徴候が現れるかを確認でき、安定狭心症の診断に最も有用です。
※当院では対応しておりませんので、必要時には高次医療機関へ紹介いたします。

その他の検査

  • 心エコー検査:超音波で心臓の動きやポンプ機能を評価します
  • 血液検査:コレステロール値や血糖値、心筋障害の指標などを確認します
  • 心臓CT検査:冠動脈の狭窄の程度や部位を画像で確認します
  • 心臓カテーテル検査:冠動脈の狭窄を正確に把握し、治療方針の決定に役立ちます
  • ホルター心電図:24時間心電図を記録し、日常生活中の異常を検出します

※心エコー検査は、医療機関によって受けられない場合があります。詳しくは各院のお問い合わせよりご相談ください。

※クリニックプラスでは、カテーテル検査を行っておりません。カテーテル検査が必要な場合には、実績のある専門医療機関へ迅速にご紹介いたします。

安定狭心症の治療法

治療の目標

安定狭心症の治療目標は2つあります。ひとつは心筋梗塞への進展を予防すること、もうひとつは狭心症の症状を軽減して日常生活の質を向上させることです。薬物療法・生活習慣の改善・外科的治療を組み合わせて治療を行います。

薬物療法

冠動脈の血流を改善し、心筋梗塞を予防するために、次のような薬剤が処方されます。

  • 硝酸薬(ニトログリセリンなど):発作時に冠動脈を速やかに広げ、症状を改善します
  • β遮断薬:心拍数を抑えて心臓の酸素消費量を減らし、発作を予防します
  • カルシウム拮抗薬:冠動脈を広げて血流を改善し、冠攣縮を防ぎます
  • 抗血小板薬:血液をサラサラにして血栓の形成を予防します
  • スタチン系薬剤:コレステロールを下げ、プラークの安定化を図ります

生活習慣の改善

動脈硬化の進行を抑えるためには、日常生活の見直しが欠かせません。禁煙は必須であり、食事の塩分・脂質コントロール、適度な有酸素運動を継続的に行うことが求められます。高血圧・脂質異常症・糖尿病がある場合はそれぞれの治療を並行して行うことも重要です。ウォーキングなどの有酸素運動を週3回以上行うと、心臓や血管の機能維持に効果的です。

カテーテル治療・バイパス手術

薬物療法だけでは症状がコントロールできない場合や、冠動脈の狭窄が高度な場合には、カテーテル・インターベンション(PCI)やバイパス手術(CABG)が検討されます。PCIではバルーンとステントを使って狭くなった血管を広げ、CABGでは別の血管を使って冠動脈のバイパス(迂回路)を作ります。治療後も再狭窄を防ぐために、定期的な通院と服薬の継続が重要です。
※当院ではカテーテル治療やバイパス手術は施行しておらず、必要時には高次医療機関へ紹介しております。

安定狭心症は早めの対策が大切

安定狭心症は適切に管理すれば、心筋梗塞など重篤な合併症の発症を予防できる病気です。胸の痛みや圧迫感が気になる方は、放置せずに早めに循環器内科を受診しましょう。

クリニックプラスでは、循環器内科専門医による丁寧な診察と検査を受けることができます。事前LINE問診やクレジットカード決済などテクノロジーを活用したスムーズな受診体制を整えており、待ち時間の短縮にも取り組んでいます。LINEから24時間いつでもご予約いただけるほか、平日は20時まで、土日祝も毎日診察しておりますので、ご都合に合わせてお気軽にご来院ください。※循環専門外来は曜日・時間によっては対応していない時間がございますので、詳細は各院のページをご確認ください。

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