水ぼうそうウイルスが原因でなる帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、ウイルスに罹患(りかん)して、一度目は水ぼうそうに、それ以降、身体の中に潜んでいるウイルスが出てくると帯状疱疹になります。
左右どちらか片側だけ、帯のように赤く発疹が出る帯状疱疹は、強い痛みを伴うことも多く、赤みが治まってからも数か月以上にわたって痛みに悩まされることもあります。
帯状疱疹を予防するための水痘・帯状疱疹ワクチンは、自治体によって助成が出ることもあります。
水痘・帯状疱疹ワクチンについて解説していきます。
水痘・帯状疱疹ワクチンとは
水痘と帯状疱疹を予防する
水痘と帯状疱疹、どちらも水痘帯状疱疹ウイルスが原因となる皮膚の病気です。
このウイルスに罹患すると、一度目は水ぼうそうになります。
水ぼうそうが治った後もウイルスは神経節という部分に潜伏しており、免疫が弱くなると帯状疱疹として出てきます。
そのため、一度目の罹患が多いこどもは水痘・水ぼうそうに、大人では帯状疱疹になることが多いのです。
日本では、成人の9割以上で体内に水痘帯状疱疹ウイルスが潜伏し、帯状疱疹を発症する可能性があるといわれています。
※帯状疱疹について、詳しく知りたい方はこちら
ワクチンには2種類ある
2023年8月現在、日本国内で帯状疱疹ワクチンとして認められているのは2種類あり、「乾燥弱毒生水痘ワクチン」と「シングリックス」です。
乾燥弱毒生水痘ワクチンは、1987年に水ぼうそうワクチンとして、2016年には帯状疱疹のワクチンとしても適用が拡大されました。
2020年1月に認可されたシングリックスは、帯状疱疹専用の予防接種で予防効果が高いといわれています。
水痘・帯状疱疹ワクチンの効果
加齢も帯状疱疹発症のきっかけとなり、50歳を超えると発症率が高く、3人に1人が80歳までに帯状疱疹を発症するといわれます。
帯状疱疹の予防効果
これらのワクチンには、帯状疱疹発生抑制効果があることがわかっています。
乾燥弱毒生水痘ワクチンで51.3%、シングリックスでは、より帯状疱疹発生抑制効果があるとされており、50歳以上の方で97.2%、70歳以上では89.8%といわれています。
帯状疱疹後神経痛の抑制効果
帯状疱疹に罹患すると、皮膚症状が良くなったあとも約2割の方に痛みが残ることがあり、痛みが3か月以上続くものを帯状疱疹後神経痛(PHN:Post-Herpetic Neuralgia)といいます。
ワクチンを接種することで、帯状疱疹後神経痛を抑制する効果があるとされており、乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビゲン)では66.5%、シングリックスでは50歳以上で100%、70歳以上の方だと85.5%の効果があると報告されています。
水痘・帯状疱疹ワクチンの適応年齢
水痘・帯状疱疹ワクチンの対象年齢は、50歳以上です。
50歳以上になると、帯状疱疹の発症率が加齢とともに高くなります。
また、帯状疱疹後神経痛も同様に、加齢とともに増えるとされています。
シングリックスは、2023年6月に適応年齢が18歳まで拡大しました。
新たに追加となったのは、「帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の対象者」です。
疾病または治療により免疫不全状態であったり、免疫機能が低下している場合には、18歳以上であれば接種が可能となります。
予防接種をすることで完全に帯状疱疹を予防できるわけではありませんが、発症したとしても重症にならずに済むというデータがありますので、対象者の方はワクチン接種を検討してみてください。
水痘・帯状疱疹ワクチン「ビケン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)」
2種類ある帯状疱疹ワクチンのひとつ、ビケン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)のメリットとデメリットについて説明します。
ビケン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)のメリット
皮下注射で行うワクチンで、接種回数が1回で済むことがメリットです。
シングリックスに比べて1回の費用も安価になっています。
ビケン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)のデメリット
大きなデメリットとして、帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛の予防効果が落ちる、ということがあります。
シングリックスに比べて効果の持続期間は短く、5~8年程度といわれています。
また、生ワクチンであるため、免疫機能が低下した人には接種できないこともデメリットといえるでしょう。
水痘・帯状疱疹ワクチン「シングリックス」
2種類ある帯状疱疹ワクチンのもうひとつ、「シングリックス」のメリットとデメリットについて説明します。
シングリックスのメリット
メリットは、なんといっても帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛の予防効果が高いことです。
90%以上の予防効果があり、効果の持続期間も9年以上といわれています。
また、不活化ワクチンであることから、免疫機能が低下している方でも接種することが可能です。
シングリックスのデメリット
デメリットは、2回の接種が必要であること、1回の接種費用が高いことが挙げられます。
1回目の接種から2か月空けて、6か月以内に2回目の接種を行うこととされています。
また、筋肉注射になるため、副反応が強くでる可能性があることもデメリットといえます。
水痘・帯状疱疹ワクチンの副反応
ワクチン接種には副反応がつきものです。
どちらの水痘・帯状疱疹ワクチンの副反応も、接種部位の痛みや発赤・腫脹(しゅちょう)といった症状が出た後、3~7日で消失します。
症状の出方に強弱はありますが、シングリックスは筋肉注射のため症状が強く出ることもあり、また、倦怠感や頭痛といった全身症状、筋肉痛などの症状が出る可能性もあります。
水痘・帯状疱疹ワクチンは自治体により助成金があることも
50歳以上の方を対象に、助成金のある自治体もあります。
助成金額はワクチンの種類、自治体によっても異なりますが、多くの自治体で補助があるようですので、ワクチン接種を検討する場合には、各自治体に問い合わせるようにしてみてください。
クリニックプラスでの水痘・帯状疱疹ワクチンの料金は?
- 「ビゲン」乾燥弱毒生水痘ワクチン(生ワクチン) 1回 8,000円
- 「シングリックス」(不活化ワクチン) 1回 22,000円
当院で水痘・帯状疱疹ワクチンの接種をご希望の方は、LINE予約の「予防接種」からご予約ください。