- 甲状腺疾患
- バセドウ病
バセドウ病
コラム
動悸がする、体がほてる、体重が減ってきた。こうした症状があるにもかかわらず首の痛みや発熱がない場合、無痛性甲状腺炎(むつうせいこうじょうせんえん)の可能性があります。無痛性甲状腺炎はバセドウ病と症状が非常によく似ているため間違われやすいですが、治療法がまったく異なるため、正確な診断が重要です。多くの場合は一時的な経過で自然に回復しますが、なかには慢性的な甲状腺機能低下に移行するケースもあります。ここでは無痛性甲状腺炎の原因・症状・検査・治療について詳しく解説します。
無痛性甲状腺炎は、何らかの原因で甲状腺の組織が一時的に壊れ、蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出すことで、甲状腺中毒症(こうじょうせんちゅうどくしょう)の症状が現れる病気です。同じく甲状腺の組織破壊で起こる亜急性甲状腺炎とは異なり、痛みや発熱を伴わないのが特徴で、そのことから「無痛性」と名付けられています。多くの場合、症状は一過性で数か月以内に自然と治まります。
無痛性甲状腺炎は橋本病(慢性甲状腺炎)のある方に多く発症することから、免疫システムの異常が関係していると考えられていますが、正確なメカニズムは解明されていません。発症のきっかけとして報告されているのは以下のとおりです。
無痛性甲状腺炎では、甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出る「甲状腺中毒期」と、壊れた組織が回復するまでの間にホルモンが不足する「甲状腺機能低下期」という2つの時期があり、それぞれ異なる症状が現れます。
| 時期 | 主な症状 | 持続期間の目安 |
| 甲状腺中毒期(ホルモン過剰) | 動悸、体のほてり、発汗増加、体重減少、倦怠感、月経不順 | 2〜8週間程度 |
| 甲状腺機能低下期(ホルモン不足) | 体の冷え、むくみ、体重増加、眠気、だるさ | 2〜3か月程度 |
| 回復期 | 症状が消失し、甲状腺機能が正常に戻る | 発症から数か月〜半年 |
甲状腺中毒期の症状はバセドウ病と非常によく似ているため、注意が必要です。ただし、バセドウ病と比べると症状は軽めであることが多く、亜急性甲状腺炎のような首の痛みや発熱は伴いません。甲状腺機能低下期を経ずにそのまま正常化するケースもあります。
無痛性甲状腺炎の診断には、以下の検査を組み合わせて行います。
無痛性甲状腺炎とバセドウ病は症状が似ているものの、治療法がまったく異なります。バセドウ病では甲状腺刺激抗体(TRAb)が陽性になること、甲状腺の血流が増加していることなどが鑑別のポイントです。両者の区別がつきにくい場合には、放射性ヨウ素摂取率検査やシンチグラフィを追加して確定診断を行います。無痛性甲状腺炎ではヨウ素摂取率が低下し、バセドウ病では亢進するという明確な違いがあります。
無痛性甲状腺炎は多くの場合、自然に回復するため、原則として経過観察のみで治療を行いません。定期的に血液検査を行い、甲状腺ホルモンの値の推移を確認します。
大多数の方は数か月で甲状腺機能が正常に戻りますが、一部の方では甲状腺機能低下がそのまま慢性化し、永続的にレボチロキシンの内服が必要になることがあります。特にもともと橋本病がある方や、繰り返し発症する方は慢性化のリスクが高いため、定期的なフォローアップが大切です。
出産後に動悸や体重減少などの症状が出てきた方、もともと橋本病がある方で体調の変化を感じている方は、無痛性甲状腺炎の可能性を考えて早めに受診されることをおすすめします。バセドウ病との鑑別が重要ですので、自己判断せず医療機関で検査を受けることが大切です。
クリニックプラスでは血液検査、甲状腺エコー、心電図検査を通じて無痛性甲状腺炎の診断と治療を行っています。バセドウ病との鑑別が必要な場合には、連携している専門医療機関へ速やかにご紹介することも可能です。平日は夜20時まで、土日祝も毎日診察しておりますので、育児の合間やお仕事帰りでも受診しやすい体制です。ご予約はLINEから24時間受け付けています。気になる症状がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。