- 甲状腺疾患
潜在性甲状腺機能低下症
コラム
動悸がする、汗が止まらない、急に体重が減った。こうした症状の裏には、バセドウ病が潜んでいるかもしれません。バセドウ病は甲状腺が過剰に働くことで甲状腺ホルモンが多くなりすぎ、全身の代謝が亢進してしまう自己免疫疾患です。20〜30歳代の若い女性に多く見られますが、初期症状は風邪や不定愁訴と間違われることも多く、診断が遅れがちです。放置すると心臓に大きな負担がかかるため、早期の発見と治療が重要です。ここではバセドウ病の原因・症状・検査・治療について詳しく解説します。
バセドウ病は、甲状腺機能亢進症の原因として最も多い病気です。のどぼとけの下にある甲状腺が過剰に働いてしまい、心拍数や体温の調節、エネルギー代謝に関わる甲状腺ホルモンが必要以上に産生されることで、全身にさまざまな症状が引き起こされます。人口1,000人あたり0.2〜3.2人の患者さんがいるとされ、男性よりも女性に多く、男女比は約1:5〜6です。病名はドイツの医師カール・フォン・バセドウにちなんで名付けられました。
バセドウ病は自己免疫疾患のひとつです。体を守るはずの免疫システムに異常が生じ、甲状腺刺激抗体(TRAb)と呼ばれる自己抗体がつくられます。この抗体がTSH受容体に結合して甲状腺を持続的に刺激し続けるため、ホルモンが過剰に産生されます。なぜ自己抗体がつくられるかは解明されていませんが、遺伝的な要因に加え、ストレスや喫煙、感染症などが発症のきっかけになると考えられています。家族に甲状腺疾患がある方は発症リスクが高いことも知られています。
甲状腺ホルモンが過剰になることで代謝が異常に亢進し、以下のような症状が現れます。
バセドウ病に特徴的な眼球突出や著明な甲状腺腫大は、病気の初期には現れにくいことがあります。そのため、動悸や疲れやすさだけの段階では「不定愁訴」「ストレス」「風邪」として見過ごされやすいのが問題です。当てはまる症状が複数ある場合には早めに血液検査を受けることが大切です。治療が遅れると心房細動や心不全など、命に関わる合併症を引き起こすリスクがあります。
バセドウ病が疑われる場合、以下の検査で診断を行います。
| 検査名 | わかること |
| 血液検査 | TSH低値・FT3/FT4高値でホルモン過剰を確認。TRAb陽性でバセドウ病と診断 |
| 甲状腺エコー | 甲状腺の腫大の程度や血流の増加、腫瘍の有無を確認 |
| 心電図 | 頻脈や不整脈(心房細動など)の有無を評価 |
血液検査でTSHの低下と甲状腺ホルモン値の上昇が確認され、さらに甲状腺刺激抗体(TRAb)が陽性であれば、バセドウ病と診断されます。甲状腺中毒症を起こす他の疾患(亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎など)との鑑別も重要です。
多くの場合、最初は抗甲状腺薬(チアマゾール、プロピルチオウラシル)を使って甲状腺ホルモンの産生を抑える治療から始めます。定期的に血液検査を行いホルモン値を確認しながら薬の量を調整し、約半数の方は2〜3年で薬を中止できるようになります。副作用として皮疹や肝機能障害、まれに無顆粒球症が起こることがあるため、服用中は定期的な血液検査が欠かせません。
薬物療法で十分な効果が得られない場合や副作用で継続が難しい場合は、以下の治療を検討します。
バセドウ病は若い女性に多い病気のため、妊娠・出産への影響を心配される方も多くいらっしゃいます。甲状腺ホルモンが過剰な状態を放置すると流産や早産のリスクが高まるため、妊娠前からバセドウ病をコントロールしておくことが重要です。治療薬の胎児への影響は基本的に心配ないとされていますが、妊娠初期にはチアマゾールよりもプロピルチオウラシルへの変更が推奨されるケースもあります。使用する薬については主治医と十分に相談しましょう。妊娠中・妊娠前の管理は甲状腺専門の医療機関での対応がより安心です。
バセドウ病は早期に治療を開始すれば、多くの方がホルモンの値を安定させ、日常生活を問題なく送ることができます。原因不明の動悸や体重減少、手の震えなどが続いている方は、一度甲状腺の血液検査を受けることをおすすめします。
クリニックプラスでは血液検査、甲状腺エコー、心電図検査に対応し、バセドウ病の診断から投薬治療までを一貫して行っています。平日は夜20時まで、土日祝も毎日診察しておりますので、お仕事帰りや休日にも受診しやすい体制を整えています。ご予約はLINEから24時間いつでも可能です。気になる症状がある方は、まずはお気軽にご相談ください。