MRワクチンとは、麻疹(Measles)と風疹(Rubella)を予防するワクチンのことです。
麻疹は、成人がかかると重症になることが多く、とくに妊娠初期の女性がかかると、胎児が先天性風疹症候群(CRS:Congenital Rubella Syndrome)という病気になる危険性があるため、成人にも接種が推奨されています。
罹患(りかん)歴や接種歴がわからない場合は、まず抗体検査を受け、MRワクチンを接種すべき回数が1回なのか2回なのかを知ってから接種し、免疫をつける必要があります。
ここでは、MRワクチンの効果や定期接種、副反応について解説します。
MRワクチンとは
麻疹と風疹を予防する
MRワクチンとは麻疹と風疹を予防する、麻疹ウイルスと風疹ウイルスを弱毒化して作った生ワクチンです。
今までの接種状況は?
麻疹ワクチンの世代ごとの接種状況は、以下のとおりです。
生年月日 | 麻疹ワクチン接種状況 |
1972(昭和47)年9月30日以前の生まれ | 1回も接種していない可能性が高い |
1972(昭和47)年10月1日~1990(平成2)年4月1日生まれ | 定期接種は1回しかしていない |
1990(平成2)年4月2日~2000(平成12)年4月1日生まれ | 定期接種1回または2回が混在している |
2000(平成12)年4月2日以降生まれ | 定期接種は2回している |
上記のように、麻疹ワクチンは生年月日によって接種状況が違いますが、麻疹も風疹も生涯で2回のワクチン接種が必要です。
罹患歴や接種歴がわからない場合は、抗体検査をする方法が一般的です。
抗体検査で、発症予防に十分な抗体価があればワクチン接種は不要ですが、抗体価がない場合はワクチンを必要回数接種して、免疫を増強することが推奨されています。
MRワクチンの効果
ここでは、MRワクチンの効果について解説します。
2回接種で、99%以上の抗体獲得率
MRワクチンは2回接種で、麻疹の免疫獲得率は97~99%以上、風疹は約99%と考えられています。
緊急接種 72時間以内の接種なら発症を防げる可能性あり
麻疹の免疫が不十分な人が麻疹患者と接触した場合、接触後72時間以内にワクチンを接種すれば、麻疹の発症を防げる可能性があります。(緊急接種)
MRワクチンの定期接種はいつ?何回?
ここでは、MRワクチンの定期接種について解説します。
定期接種 1回目は1歳、2回目は小学校入学前
MRワクチンの定期接種2回は、以下のとおりです。
- 1回目…1歳代
- 2回目…小学校入学の前年度
定期接種は予防接種法に基づき、市区町村主体が公費で実施するので、費用は無料です。
定期接種以外の時期に接種したい場合は、任意接種になり、費用は自己負担することになります。
定期接種が2回である理由
日本でMRワクチンの定期接種が2回になったのは、2006年からです。
定期接種が2回である理由は、以下の3つです。
- 1回の接種で免疫がつかなかった子どもたち(数%存在すると考えられている)に免疫を与えるため
- 1回の接種で免疫がついたにもかかわらず、時間の経過でワクチンによる免疫が弱くなった子どもたちに再び刺激を与え、免疫を強固にするため
- 1回目に接種しそびれた子どもたちに、もう一度接種の機会を与えるため
また、接種を受けた人全体の中で2回接種の割合が低いと、国外からウイルスが運び込まれた時に集団感染発生のリスクが残るため、その見地からも2回接種が推奨されています。
MRワクチンの副反応
ここでは、MRワクチンの副反応について解説します。
ワクチン接種の一般的な副反応
MRワクチンでは、以下のような副反応がみられることがあります。
- 発熱
- 発疹
- 蕁麻疹(じんましん)
- 接種部位の反応
まれな副反応として、脳炎・脳症も報告されていますが、因果関係が明らかでないものも含めて、100万~150万人に1人以下です。
卵アレルギーでも接種可能
卵アレルギーがある方も、MRワクチン接種は可能です。
MRワクチンにも鶏卵成分は含まれていますが、製造過程で使用されているのはニワトリの胚細胞なので、卵のアレルギー反応の心配はほぼないとされています。
同様に、ごく微量の卵蛋白が混じるインフルエンザワクチンでも、ほとんどの場合、問題はないといわれています。
しかし、アナフィラキシー反応の既往など重度のアレルギーのある方は、その他の成分でアレルギー反応を起こす場合もあるので、接種時に医師に相談してください。
MRワクチンと風疹抗体検査 自治体によって助成事業をしていることも
2024年度まで、昭和37年度~53年度生まれの男性は全員、自治体からクーポンが送付され、全国どこでも原則無料で、風疹の抗体検査と予防接種が受けられます。
風疹単独ワクチンの代わりに、MRワクチンを接種しても同様の効果が期待でき、健康への影響に問題はありません。
むしろ、麻疹の予防にもなるメリットがあります。
また、自治体によっては、妊娠を希望する女性や同居する家族が助成対象になっている場合もあります。
助成対象や内容・方法は自治体によって違うので、詳しくは居住する自治体にお問い合わせください。
公的な予防接種が行われていない世代が風疹にかかると、家族や周囲の人たちに感染させてしまう可能性があります。
この年代の男性が必要に応じて予防接種を受けると、免疫を持つ人が増えて、風疹は流行しなくなるといわれています。
他のワクチンを接種する際の間隔はどれくらい空ける?
MRワクチンは生ワクチンです。
他のワクチンを接種する際に、そのワクチンが注射生ワクチンかそれ以外かで、接種間隔が変わってくるので注意が必要です。
注射生ワクチン
MRワクチン接種後27日以上の間隔をおけば、接種できます。
注射生ワクチンには、MRワクチン以外に、水痘ワクチン、BCGワクチン、流行性耳下腺炎(おたふく)ワクチン、などが挙げられます。
それ以外のワクチン(経口生ワクチン・不活性化ワクチン)
経口生ワクチンや不活性化ワクチンは、間隔を空けないで接種することが可能です。
経口生ワクチンには、ロタウイルスワクチンなど、不活性化ワクチンには、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、4種混合ワクチン、日本脳炎ワクチン、季節性インフルエンザワクチン、などがあげられます。
同時接種はOK
接種間隔を空ける場合には上記のとおり、注射生ワクチンと注射生ワクチンの間隔のみ27日以上空ける必要がありますが、同時に接種することは注射生ワクチン同士でも可能です。
もちろん、注射生ワクチンとそれ以外のワクチンを同時に接種することも可能です。
クリニックプラスでのMRワクチンの費用は?
クリニックプラスでMRワクチンを任意接種する場合、費用は8,000円(税込)です。
※MRワクチンは、2024年5月時点で出荷調整が続いており、非常に入手が困難な状態が続いております。
入荷状況によっては受付を中止していることもありますので、LINEの予約フォームやホームページのお知らせをご確認いただくか、あるいは直接クリニックまでお電話にてお問合せください。