喘息はホコリやダニなどのアレルゲンによって起こるものというイメージがあるかもしれません。しかし、喘息の中にはウイルス感染や天候、喫煙など、アレルゲン以外の要因によって起こるものもあり、そのような喘息を「非アトピー型喘息」といいます。非アトピー型は特に成人の方に多く見られる喘息です。ここでは非アトピー型喘息の特徴や治療について詳しく解説します。
非アトピー型喘息とは
「非アトピー型喘息」とはどのような喘息なのでしょうか。まず初めに、アトピー型との違いや特徴について解説します。
喘息のタイプは大きく分けて2つ
喘息のタイプは、その原因によって「アトピー型」と「非アトピー型」に大別されます。アトピー型喘息は特定のアレルゲン(アレルギーのもとになる物質)が原因となる喘息で、非アトピー型喘息はアレルゲン以外の原因によって起こる喘息です。
非アトピー型喘息の特徴は?アトピー型とどう違うの?
アトピー型と非アトピー型の最も大きな違いは、その原因がアレルゲンによるものかどうかということです。また、アトピーというのは「アレルゲンに反応した結果、体の中でIgE抗体(アイジーイーこうたい)が大量に作られる状態」のことを言います。つまり、アトピー型喘息ではアレルゲンが原因となり体の中でIgE抗体が大量に増えるのに対し、非アトピー型喘息の原因はアレルゲンではないため、IgEの量も増えません。
アトピー型喘息と非アトピー型喘息の特徴の違いは次のとおりです。
【アトピー型喘息】
・ハウスダスト、ダニ、花粉、カビ、ペットの毛やフケなどのアレルゲンが原因となって起こる
・抗原特異的(こうげんとくいてき)IgE抗体陽性
・小児での発症が多い
【非アトピー型喘息】
・風邪、天候の変化、運動、アルコール、喫煙、過労、ストレスなどが原因となって起こる
・抗原特異的(こうげんとくいてき)IgE抗体陰性
・成人での発症が多い
非アトピー型喘息の症状
アトピー型も非アトピー型も喘息の症状は同じです。息苦しさや咳込み、呼吸したときにヒューヒュー、ゼイゼイという音がする喘鳴(ぜんめい)が特徴です。
喘息の発作が起こりやすい時期としては、アトピー型が春や秋に多いのに対し、非アトピー型では季節に関係なく一年を通して起こりやすくなります。
非アトピー型喘息の検査
非アトピー型喘息と診断するための検査について解説します。
まずは喘息かどうかを診断
アトピー型喘息か非アトピー型喘息かを調べる前に、まずは起きている症状が喘息によるものかどうかを確認する必要があるため、問診がとても大切です。自分の症状を詳しく医師に伝えることで、診断がしやすくなります。その他、呼吸の音を確かめたり、呼吸機能の検査を行ったりすることで喘息の診断を行います。
アトピー型か非アトピー型かの診断方法
喘息の診断がついたら、その喘息がアトピー型なのか非アトピー型なのかを確認します。アトピー型では体の中でIgE抗体が増えるのに対し、非アトピー型ではほとんど増えません。そのため、血液検査でIgE抗体の量を調べることは、非アトピー型かどうかの診断に役立ちます。血液検査では、特定のアレルゲンに対する反応があるかどうかも分かります。アレルゲンへの反応がある場合にはアトピー型、反応がない場合には非アトピー型である可能性が高くなります。
非アトピー型喘息の治療
非アトピー型喘息と診断された場合、どのような治療が必要なのでしょうか。ここでは治療方法や、日常生活の中での注意点について解説します。
治療法はアトピー型も非アトピー型も基本は同じ
アトピー型喘息も非アトピー型喘息も、治療の基本は同じです。吸入ステロイド薬を毎日吸って空気の通り道である気道の炎症をおさえることで、発作が起こりにくい状態を作ります。吸入ステロイド薬の量は、重症度に応じて調節します。それでも発作が起きてしまったときには、気管支拡張剤(きかんしかくちょうざい)を追加し、狭くなった気管支を広げて呼吸を楽にします。
ステロイドが効きにくい重症の喘息の場合には、抗体製剤(こうたいせいざい)という注射薬を使うこともあります。
非アトピー型の場合に特に気をつけること
アトピー型喘息は特定のアレルゲンに反応して喘息症状が起こるため、日常の中でアレルゲンを取り除くことで状態が安定しやすくなります。しかし、非アトピー型喘息の場合、アレルゲンが特定できなかったり、アレルゲンとは無関係に症状が起こったりします。そのため、まずはどのような場合に喘息症状が起きやすいのか、自分の喘息の発症パターンを知ることが重要です。
非アトピー型の中でも多いのが、風邪をひくなどウイルスに感染したことをきっかけに咳が止まらなくなり、喘息へとつながってしまうパターンです。その他、天候の変化や喫煙、運動などが原因となって起こる場合もあります。自分がどのような場合に喘息症状を起こしやすいのかを知り、症状が出そうなときには早めに医師に相談することが大切です。
非アトピー型喘息で来院された方の当院での診療の流れ
① 問診
症状について詳しくお話しを聞きます。喘息以外の病気の可能性がないか判断します。(LINEの事前問診にお答えいただきますと、よりスムーズな診療を提供できますので、ご協力ください。)
②身体診察
呼吸の音に異常はないかなど、医師が丁寧に診察を行います。「ゼーゼー」「ヒューヒュー」の喘鳴が著明で、血中酸素飽和度が低下しているような場合には、直ちに吸入療法を行います。
③検査
アトピー型喘息が疑われる場合には、アレルゲンを調べるための血液検査を行う場合もあります。アレルゲンを調べる血液検査は結果が出るまでに1週間ほどかかります。
④処方
重症度に応じて、吸入薬あるいは内服薬を処方します。喘息の原因になりうるようなものは極力回避するように指導いたします。
咳が続いてなかなか治らず、アレルゲンがはっきりしないような場合は、非アトピー型喘息かもしれません。非アトピー型喘息は、内服薬や吸入薬の治療で症状を改善させることが可能です。クリニックプラスでは平日は夜の8時まで、土日祝も非アトピー型喘息の診療を行っております。お気軽にご相談にいらしてください。