・高尿酸血症とは?
そもそも尿酸とは、「プリン体」という物質が体内で分解されてできる燃えカスです。プリン体は身体を動かしたり、臓器が働くために必要なエネルギー物質で、常に体内で作られていますが、食品からも体内に入ってきます。このプリン体は主に肝臓で分解され、尿酸となり、一時的に体内に溜め込まれた後、尿は便として排泄されますが、この過程で異常があったり、そもそもプリン体を過剰に摂取したりすると、血中の尿酸値が上昇し、血中に溶けきれなくなった尿酸が結晶化して関節に溜まり、痛風発作を引き起こす原因になります。痛風発作は「風が吹いただけで痛い」と言われるほどの激痛で、発作が起きる前に予防を徹底することが大切です。また、高尿酸血症は痛風だけではなく、尿の通り道に石ができてしまう尿路結石や、腎臓の中に尿酸が蓄積することによる痛風腎の原因にもなり、場合によっては透析管理が必要な状態になってしまうこともあるので注意が必要です。
・どんな人が痛風を起こしやすい?
痛風を起こしやすい人は以下のような方です。
◆お酒や砂糖入り清涼飲料水をよく飲む。プリン体の多い食品を食べる。
◆激しい運動をすることがある
◆20代以上の男性
◆肥満
◆ストレスを抱えている
◆血縁者に痛風の人がいる
◆水分をあまりとらない
肉や魚の内臓や干物、アルコールにはプリン体が多いので、痛風になりやすい方は摂り過ぎに注意しましょう。
・尿酸値をどこまで下げれば痛風発作を予防できますか?
痛風発作を起こしたことのある人が再発を予防するためには、尿酸値を6.0mg/dl以下に抑える必要があります。これは関節内に溜まった尿酸塩血症が溶けないためです。痛風発作を経験したことがない人に関しては、発症を防ぐための明確な尿酸値の基準は決まっていませんが、7.0→8.0→9.0mg/dlと尿酸値が上昇していくにつれて、痛風発作を起こしやすくなるのは確かです。健康診断で尿酸値が高いことを指摘されたら、まずは医師に相談しましょう。
・尿酸値はどうやって下げるのですか?
まずは生活習慣の改善が最も大切になってきます。以下のようなことに気をつけましょう。
◆食べ過ぎに注意・・・特に肉や魚の内蔵や干物などプリン体を多く含む食品は食べないようにしましょう。
◆節酒・・・日本酒なら1合、ビールなら500ml、ウイスキーなら60mlまでにしましょう。
◆水分を摂る・・・尿から尿酸は排泄されるので、1日2リットル以上水分を摂るようにしましょう。砂糖を多く含む清涼飲料水は逆に尿酸値を上げるので注意が必要です。
◆ストレスを減らそう・・・ストレスも尿酸値を上げる原因になるので、ストレス解消を心がけましょう。
◆適度な運動・・・無酸素運動は逆に尿酸値を上げるので注意が必要です。ウォーキングなどの有酸素運動を心がけましょう。
・痛風発作が起きてしまった場合、どんな治療がありますか?
痛風発作が起きてしまったら、まずは鎮痛剤のお薬で痛みを和らげる治療を行います。この時、尿酸値を下げる薬は使いません。発作が起きている尿酸値を下げる薬を飲むと、関節炎が増悪する可能性があるからです。痛風発作が治まった段階で尿酸降下薬の内服加療を開始します。薬は勝手に増やしたり、やめたりせずに、医師に言われた通りの用法・用量で飲むことが治療への近道です。また、生活習慣を見直すことで、薬をやめられる可能性もあります。
・高尿酸血症で来院された方の当院での診療の流れ(診察所要時間目安: 3〜5分)
1. 問診
まず最近の食事やアルコールの摂取状況などについてお話を伺います。
2. 身体診察
痛風発作を起こしている場合は、痛みの部位の診察を行います。
3. 検査
定期的に血液検査を行い、尿酸値の推移を観察します。
4. 生活指導および処方
生活習慣病において最も大切なのは、生活習慣の是正です。普段とっている食事や運動、嗜好品などを聴取し、改善できる部分に関して指導を行なっていきます。生活習慣の是正だけではコントロールが不十分な場合、薬を処方します。尿酸値の推移をみながら、薬を調整していきますので、飲み忘れがない様にご注意ください。
また、痛風発作を起こしている場合は、鎮痛・抗炎症剤の内服が必要になります。医師から処方された薬を内服の上、経過をみてください。