・自律神経失調症とは?
自分の意識とは無関係に、身体のベストな状態を維持するために働いている神経が自律神経です。例えば暑い時に体温の上昇を抑えるために汗をかかせたり、運動時に全身の筋肉に大量の血液を送るために心臓の拍動を早めたり、食後に腸管での栄養吸収効率を高めるために腸の動きを活発にしたり、身体各所に働くホルモンの分泌をコントロールしたりと、様々な所で意図せずに働いているのが自律神経です。この自律神経の働きが悪くなることで起きるのが自律神経失調症です。様々な働きをしている分、自律神経の乱れが起きると、身体の色々な所で様々な症状が出現します。
・どんな症状がでますか?
自律神経は身体の様々な所に働いている神経で、多種多様な症状が1個から複数個出現します。代表的な症状は以下の通りです。
◆めまい・ふらつき
◆肩こり
◆頭痛・頭が重い
◆手足のしびれや痛み
◆顔のほてり
◆動悸(ドキドキ)
◆息切れ
◆胸痛・胸部圧迫感
◆下痢
◆便秘
◆胃もたれ・胃の不快感
◆食欲低下
◆吐き気
◆不眠
◆寝汗
◆倦怠感・だるさ・疲労感 …etc
日常よく起こりがちな症状が沢山ならんでいると思います。
特に1つの臓器の異常だけでは説明できないような症状(例えば不眠と胃もたれと動悸など)が出現している時は自立神経失調症の関与を疑います。
・自律神経失調症の原因は何ですか?
自律神経失調症の直接的な原因を特定することはできませんが、間接的には、日々のストレスや生活習慣の乱れが影響していることが多くあります。ストレスを多く抱えると食欲が低下したり、眠れなくなったりすると思います。また、睡眠不足が続くことでめまいや頭痛、だるさといった症状もでてくると思います。こういった状態が長く続いていくことで、自律神経やホルモンバランスに乱れが生じ、そこから不快な症状が表れ、またそれが不安や焦りといった新たなストレスをうむという悪循環に陥ってしまいます。ひとつひとつの原因は些細なことでも、それがいくつも重なれば大きな負担となり得ます。
・自律神経失調症の診断はどのようにしますか?
自律神経失調症そのものを診断するための検査というのはありません。それぞれの症状を説明しうる病気を調べるための検査を全て行い、検査の結果からは症状の重さを説明できないような場合に、自律神経失調症の可能性を考えます。可能性のある病気を全て除外して最後に残るのが自律神経失調症となることから、除外診断とも言われます。
・自律神経失調症の治療法はなんですか?
自立神経失調症の悪循環にどっぷりはまってしまっている方程治療が長引いてしまうことが多いですが、決して治らない病気ではありません。治療法としては以下のようなものが挙げられます。
①ライフスタイルの見直しとストレスの解消
原因の多くを占めるストレスや生活習慣の乱れを正していくことが重要です。自分はストレスなんて溜まっていないという方も、無意識のうちに身体に負担をかけているものです。
まずはメリハリのある生活で身体のリズムを取り戻しましょう。睡眠不足や運動不足などが続けば、血流が悪くなり、自立神経やホルモンバランスも乱れていきます。早寝早起きの習慣と、日々適度な運動を心がけていくことで、生活のリズムが戻り、自律神経の乱れも整っていきます。
ストレスを感じている方は、散歩や体操、入浴などストレスを解消する術を見つけましょう。ペットや植物を育てる、音楽鑑賞などの趣味を持つものも効果的です。自分がリラックスできる空間や楽しいと思える時間、心の充実感を得られる時間を確保していくことが、ストレス解消の近道です。
②薬の治療
治療薬は大きく2つに分かれます。
1つは症状を抑える、いわば対処療法としての薬です。痛みには鎮痛薬、おなかの調子が悪ければ整腸剤や制吐剤、不眠には睡眠薬と、症状にあった薬を使用します。また自律神経の乱れを整える薬や、漢方薬なども人によってかなり効果が期待できます。
もう1つはストレスやメンタルにアプローチするお薬です。抗うつ薬や抗不安薬が効果を発揮するケースもあります。
③定期的な通院
自律神経失調症の様に多彩な症状が現れる病気は、診察対象が細かく専門化されている大きな病院で診察をうけるよりも、気軽に通院できるかかりつけ医の方が適しています。また、自律神経失調症の症状は、軽くなったり悪くなったりを繰り返すことがあるので、症状の有無にかかわらず定期的に通院することが大切です。クリニックプラス下北沢は土日祝も営業しておりますし、平日は仕事終わりでも受診可能な20時まで営業しております。また、予約制でお待たせ時間も少ないことから、病院受診での無駄なストレスもかかりません。いつでもお気軽にご相談にいらしてください。
・自律神経失調症が疑われた方の当院での診療の流れ(診察所要時間目安: 10分前後)
1. 問診
まず普段から認めている症状としてどのようなものがあるか、診断・治療に必要な情報を集めるために、医師がいくつか質問します。(LINEの事前問診にお答えいただきますと、よりスムーズな診療を提供できますので、ご協力ください。)自律神経失調症の方は特に症状が多彩なことが多く、問診にしっかり時間をかけます。
2. 身体診察
大きな病気が隠れていないか、丁寧に診察を行います。
3. 検査
各症状から疑われる自律神経失調症以外の病気をスクリーニングするための検査を行います。血液検査や心電図検査、超音波検査などがこれに該当します。場合によっては、外部機関の画像センターでCTやMRI検査を勧めさせていただくこともあります。
4. 治療のご案内
原因を明確にし、原因を除去するために何ができるか相談にのります。その上で、それぞれの症状にあったお薬や漢方薬などを処方することがあります。症状がなかなか改善しないケースもよくあるので、しっかり良くなるまで定期的に通院していただくことをお勧めします。