眠い、疲れがとれない、便秘がある、体がむくむ…。そんな「なんとなく体調が悪い」状態が続く場合、それは橋本病が原因かもしれません。橋本病は成人女性に多く、甲状腺ホルモンというホルモンが不足することでさまざまな症状が現れる病気です。その症状は他の病気と間違われやすく、橋本病と診断されるまでに時間がかかってしまうことも多いです。放っておくと動脈硬化の原因となったり、妊娠に影響したりします。なるべく早く治療が開始できるよう、ここでは橋本病の特徴について詳しく解説していきます。
橋本病(慢性甲状腺炎)とは
まず初めに、橋本病の特徴や原因について解説します。
橋本病ってどんな病気?
橋本病は、甲状腺(こうじょうせん)という臓器に慢性的に炎症が起きている病気で、慢性甲状腺炎(まんせいこうじょうせんえん)とも呼ばれます。甲状腺とは、のどぼとけの下あたりにある臓器で、甲状腺で作られる甲状腺ホルモンは、心拍の速さや体温など、体の代謝を調節する働きをしています。甲状腺に炎症が起きているだけでは症状はほとんど出ませんが、その炎症によって甲状腺の働きが弱まり、体が必要とする量の甲状腺ホルモンを作り出せなくなると、さまざまな症状が出てきます。
橋本病の原因は?
橋本病は、体の免疫システムの異常が原因で起こります。この異常がなぜ起こるのかは、まだ分かっていません。
橋本病の症状
甲状腺ホルモンの量が足りなくなると、どのような症状が起きるのでしょうか。ここでは橋本病の症状について解説します。
橋本病の症状にはどんなものがあるの?
橋本病の症状には、次のようなものがあります。
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首の前の部分の腫れや不快感、圧迫感
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体の冷え
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便秘
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むくみ
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脈が遅くなる
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体重が増える
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筋肉がつる
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眠気
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疲労感
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皮膚がカサカサ
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物忘れが多い
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うつ状態
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無気力
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アキレス腱反射の低下
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脱毛(頭髪、眉毛)
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かすれ声
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筋力の低下
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女性の場合は生理の出血量が多くなる
橋本病の症状は他の病気と間違えられやすい
橋本病の症状のほとんどは、「橋本病でしか起きない」ものではありません。そのため、なかなか原因がはっきりせず、橋本病と分かるまでに時間がかかってしまうことも多いです。うつ病や更年期障害、高齢者では認知症と間違われることもあります。なんとなく体調が悪いという状態が続くのもこの病気の特徴です。橋本病かもしれないと思ったら、一度かかりつけ医で検査を受けてみましょう。
橋本病の検査
橋本病が疑われる場合には、次のような検査を検討します。
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血液検査(甲状腺刺激ホルモン、甲状腺ホルモンの測定)
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甲状腺エコー(甲状腺の炎症の有無、程度の確認)
橋本病の治療
甲状腺に炎症があって橋本病と診断されても、甲状腺ホルモンをしっかり作り出せている場合は治療はせずに様子を見ていくことになります。甲状腺の働きが弱まって、体が必要とする量の甲状腺ホルモンを作り出せなくなっている場合には治療を始めます。ここでは治療法について解説します。
飲み薬を使って甲状腺ホルモンを補います
レボチロキシンという薬を飲み、不足している甲状腺ホルモンを補います。この薬の成分は、体の中で作られる甲状腺ホルモンと同じですので、適切な量を飲んでいれば副作用の心配はありません。薬は少量から始めて少しずつ量を増やしていきます。甲状腺の働きが一時的に落ちているだけだと思われる場合には、治療は始めず、様子を見ていくこともあります。
橋本病は治る?
橋本病は完全に治るということはありませんが、レボチロキシンを飲み始めると1~4ヶ月ほどで症状がおさまります。その後は血液検査を定期的に行いながら薬を続けていくことで、症状をおさえながら通常の生活を送ることができます。
橋本病と妊娠
橋本病は女性に多く発症するため、妊娠との関係や妊娠中の治療について心配される方も多くいらっしゃいます。ここでは妊娠前、妊娠中の対応について解説します。
橋本病の妊娠への影響と対応
甲状腺ホルモンは、妊娠やお腹の中の赤ちゃんの成長にも大切なホルモンです。甲状腺ホルモンが不足すると、不妊や流産、早産、赤ちゃんの成長不良に関連することが分かっています。そのため、橋本病だと分かった場合には、妊娠中、または妊娠前から、薬を飲んで治療します。ホルモン量の値を見ながら薬の量を調節しますので、処方された薬はしっかりと飲むようにしてください。
妊娠希望の方へ
甲状腺の働きを正しく管理することは、妊娠・出産において重要です。妊娠を希望される方で気になる症状がある場合には、受診をして甲状腺の機能をチェックしておくと安心です。
橋本病と疑われた方のクリニックプラスでの診療の流れ
①問診
まずいつからどの様な症状がでているかなど、診断・治療に必要な情報を集めるために、医師がいくつか質問します。(LINEの事前問診にお答えいただきますと、よりスムーズな診療を提供できますので、ご協力ください。)
②身体診察
甲状腺の触診を行ったあと、その他の部位にも異常が出ていないか全身を丁寧に診察します。
③検査
医師が必要と判断した場合には、検査を行うこともあります。クリニックプラスで行える検査は以下になります。
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血液検査 →甲状腺ホルモンの値をチェックします。
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心電図検査 →甲状腺ホルモンの異常により、不整脈がおきていないかを判断します。
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超音波検査 →甲状腺の形態に異常がないかをみます。
④処方あるいは専門医療機関へ紹介
橋本病と診断された場合、クリニックプラスで行える治療は飲み薬の治療になります。ただし、重症の場合や、クリニックプラスの検査では十分に判断がつかない様な場合には、専門の医療機関にご紹介させていただくこともあります。クリニックプラスは多くの大学病院や総合病院と連携をとっておりますので、速やかに紹介することが可能です。
橋本病はさまざまな症状が出現し、他の病気との鑑別が難しく、医療機関で検査をしてみないと分かりません。クリニックプラスでは平日は夜の8時まで、さらには土日祝日も毎日営業しています。橋本病を疑うような症状がありましたら、まずはお気軽に御相談にいらしてください。