気づいたら陰部にイボができていたという方は、尖圭コンジローマの可能性があります。
相談しづらい部位でもありますが、まずはしっかり診断を受ける必要があります。
早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
尖圭コンジローマとは
陰部にイボができたときには、尖圭コンジローマの可能性があります。
尖圭コンジローマとはどんな病気なのか解説していきます。
尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマは、性行為感染症(STD:Sexual transmitted Disease)の一つで、ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)による感染症のことを指します。
ヒトパピローマウイルスは80種類以上の型が知られていますが、その中でもHPV6,11,16型に感染することで尖圭コンジローマになることがあるのです。
どんな人に多いか
尖圭コンジローマは、主に性行為により感染する病気です。
そのため、性活動の活発な年代に多く、決して珍しい病気ではありません。
外陰部にアトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎がある場合には、感染しやすいといわれています。
また、まれにではありますが、両親の手を介して幼児が発症してしまったり、分娩時に母親から乳児に感染し、喉に腫瘍ができてしまったりすることもあります。
尖圭コンジローマの症状
尖圭コンジローマの症状について解説していきます。
自覚症状に乏しい
陰部にイボができていることで気づくことが大半で、そのほかの自覚症状は乏しい感染症です。
イボはカリフラワー状と表現される、表面がとげとげのイボが特徴です。
大きさは1mm程度のものから数cmのものまで、色も白やピンク、褐色や黒など同じではありません。
イボが小さい、見えにくい部位にあるといった時には気づかないこともあります。
ときには、違和感や掻痒感(そうようかん)、疼痛(とうつう)、おりものの増量が見られることもあります。
好発部位
男性の場合には、陰嚢、包皮内外板、冠状溝、陰茎の亀頭部などに多いといわれています。
女性では、子宮口、大小陰唇、腟前庭、腟で見られます。
また、男女とも尿道口、肛門周辺部、肛門などで見られることがあります。
口腔も粘膜であるため、オーラルセックスで唇や口腔内、喉にイボができてしまうこともあります。
潜伏期間
潜伏期間は3週間から8か月程度といわれており、平均期間はおおよそ2.8か月と潜伏期間が約3か月と長いため、不特定多数の方と性交渉を持っている方は、誰から移ったものか同定するのは難しいといえます。
自然消退することもある
20~30%程度の割合ではありますが、3か月以内に自然消退することもあるといわれています。
しかし、治療せずにいることで症状がひどくなり、尿道や肛門まで達してしまうと治療も難しくなりますし、性交渉を持つことでパートナーに移してしまうため、医療機関を受診し、適切な治療を行うようにしてください。
がん化することもある
ヒトパピローマウイルス感染症の中には、がん化するものもあります。
尖圭コンジローマを起こす頻度としては少ないHPV16型は、がん化のリスクが高い型といわれており、女性において子宮頸がんのリスクとなります。
そのほかにも、HPV52,58,18型が子宮頚癌の要因となります。
尖圭コンジローマの診断・治療法
尖圭コンジローマの診断と治療法について解説していきます。
診断方法
尖圭コンジローマはイボの形状が特徴的であるため、典型的なものは視診(見た目)で診断することが可能です。
がん化の可能性や診断に困る場合には、確定診断のためにイボを取って、顕微鏡で細胞の形態を見る組織学的検査を行うこともあります。
治療方法
イボを取るために、切除やCO2レーザー蒸散法、電気メスによる焼灼法、液体窒素による凍結法、などがあります。
これらの治療でイボがなくなりますが、再発することも多いため注意が必要です。
また、切除や液体窒素は保険適用となる治療ですが、イボ周囲の組織へのダメージも少なく、高い治療効果が得られるとされるレーザー治療などは保険適用外となります。
唯一、保険適用となる外用薬としては、イミキモド(ベセルナクリーム)があり、体へのダメージも小さく、再発もしにくいといわれています。
ただし、かぶれの副作用はほぼ必発な上、治療に時間がかかるため、盛り上がりが大きいイボなどの治療には外用薬だけの治療は向いていません。
治療期間
尖圭コンジローマは感染から発症まで時間のかかる病気です。
そのため、切除などでイボがなくなってからも治療後の数か月間は再発がないことを確認するための経過観察が必要です。
尖圭コンジローマの感染予防
尖圭コンジローマは性行為の経験がある場合には珍しくない病気ですが、予防するためにはどのようにすればいいのでしょうか。
コンドームを使用する
尖圭コンジローマは、皮膚の粘膜や細かな傷口からヒトパピローマウイルスが侵入することで感染する感染症です。
そのため、コンドームを使用することで感染する可能性を低くすることができます。
ワクチンを接種する
子宮頸がんワクチンで知られているように、ヒトパピローマウイルスの感染はワクチンで予防することができます。
HPV4価ワクチン・9価ワクチンで予防できるのは、HPV6, 11, 16, 18、このうち尖圭コンジローマの大半はHPV6, 11ですので、ワクチンを打つことで尖圭コンジローマへの感染する可能性を低くすることができます。
尖圭コンジローマを疑ったら
陰部のイボを見たときには尖圭コンジローマの可能性を疑い、医療機関を受診するようにしてください。
性行為感染症であるため、本人だけでなくパートナーも一緒に治療を行うことが大切です。
早めに治療することで悪化することなく、治療期間も短くすることができます。
また、再発の可能性も高い疾患であり、治療後も注意深い経過観察が必要です。
クリニックプラスでの尖圭コンジローマの診療の流れ
①問診
いつごろから、どこに、どういうタイミングで、どのような症状が出ているのかを聞いていきます。
LINEの事前問診にお答えいただくと、診療がスムーズに行われます。
②診察
患部の診察を行います。皮膚疾患の診断は視診が非常に重要です。医師が丁寧に診察を行っていきます。
③検査
尖圭コンジローマ以外の病気の可能性がありそうなときは、皮膚生検を行う場合もあります。
現在、当院では行っていませんので、その場合は専門の病院を紹介することになります。
④治療
液体窒素や外用薬を用いて治療をしながら、日々の生活での注意点や、予防として行うべきことなどについて指導を行っていきます。
尖圭コンジローマは多くの場合に自然治癒せず、徐々に病変が拡大していきます。
場合によっては、他の病気が隠れているかもしれません。
クリニックプラスでは皮膚科専門医による診療を受けられます。
陰部にあるイボが気になる方は、是非一度ご相談にいらしてください。