「皮膚のジュクジュクしたデキモノがなかなか治らない」「前にもらったステロイドを塗ってみたら悪化した」
このように皮膚の症状でお悩みの方はいませんか?その症状は、もしかすると「カンジダ皮膚炎」かもしれません。
今回は、カンジダ皮膚炎の原因や対処法について解説します。
カンジダ皮膚炎とは
カンジダ皮膚炎とはどのようなものか、また、部位によってどのような症状が出るのかを説明します。
カンジダ皮膚炎の原因
「カンジダ」というのは、カビの一種です。
誰の皮膚にも一定量存在している種類のカビですが、何らかのきっかけでこのカンジダが異常に増殖すると、カンジダ皮膚炎を起こします。
以下のような人は、身体の免疫が弱く、カンジダ皮膚炎を起こす可能性が高いです。
-
糖尿病の方
-
ステロイドなどの免疫抑制剤を使っている方
-
透析をしている方
-
抗がん剤治療中の方
-
高齢者
-
乳児
皮膚表面:皮膚カンジダ症
カンジダが皮膚の表面で増殖したものを、皮膚カンジダ症と呼びます。
ジュクジュク湿った感じの皮膚表面のただれ、小さな水ぶくれなどが主な症状で、かゆみを感じることもあります。
わきの下、内股、おむつ内、乳房の下など、蒸れやすい場所にできることが多いです。
通常は他人にはほとんどうつりませんので、お風呂や温泉を過剰に心配しなくても問題ありません。
念のため、薬を塗るときなど患部に触った後は、手を洗うようにしましょう。
性器周辺:性器カンジダ症
陰部でカンジダが異常に増殖してしまって症状を呈したものを、性器カンジダ症と呼びます。
カンジダはヒトの皮膚や女性の腟内に元々存在しているので、性器カンジダ症は性感染症ではありません。
疲れがたまったとき、抗菌薬を飲んだとき、などに発症しやすいです。
女性は陰部の強いかゆみ、熱感(ヒリヒリ感)、おりものの変化(白くドロッとする)、ニオイがきつくなる、などの症状が出ます。
男性の場合、性器が外に露出しており、蒸れることが少ないため性器カンジダ症になりにくいです。
発症すると、陰茎の先端が赤くなったり小さな水ぶくれができたりします。
性感染症ではありませんが、性器カンジダ症を発症している最中に性交渉を行うと感染することがあるため、治るまで性交渉を控えるとよいでしょう。
口の中:口腔カンジダ症
舌や頬の内側でカンジダが増殖すると、口腔カンジダ症を発症します。
ステロイドをはじめとした免疫抑制剤の飲み薬、抗がん剤、ステロイドの吸入薬などを使っているときに生じやすいです。
舌の表面や頬の内側に白や黄色の苔のようなものが付着していたら、口腔カンジダ症かもしれません。
ピリピリしたり、少し味覚が鈍くなったりすることがあります。
カンジダ皮膚炎の診断・治療法
ここでは、主に皮膚カンジダ症の診断や治療について説明します。
カンジダ皮膚炎の診断方法
症状のある皮膚の一部をとって顕微鏡で観察し、カンジダがいるかどうか確認します。
痛みはほとんどありませんので、赤ちゃんでも心配なく受けられる検査です。
口腔カンジダ症の場合は、見た目でもある程度推測がつきますが、舌などに付着した苔を拭って検査する場合もあります。
女性の性器カンジダ症の場合は、特殊な器具を使って腟内のオリモノを検査する必要がありますので、婦人科の受診が必要になるかもしれません。
カンジダ皮膚炎の治療法
基本的には、カビを殺す「抗真菌薬」の塗り薬を2週間程度使用します。
口腔カンジダ症の場合は、抗真菌薬の成分が含まれたうがい薬を使います。
性器カンジダ症の場合は、腟錠が有効で、陰部の周辺にかゆみがあれば、抗真菌薬の塗り薬も使用します。
カンジダ皮膚炎と似たような皮膚疾患
カンジダ皮膚炎をはじめ、皮膚症状の見分けは難しいものです。
カンジダ皮膚炎と似たような疾患を4つご紹介します。
おむつかぶれ
赤ちゃんや高齢者などで生じる「おむつかぶれ」は、カンジダ皮膚炎と見かけが非常に似ています。
どちらも、赤い小さな発疹がいくつも生じて、痒みを感じることも多いです。
どちらの疾患も、おむつと触れている部分、おむつの内側で蒸れる部分、に症状が出ます。
カンジダ皮膚炎は、皮膚のシワの間にも症状が広がっているのが特徴です。
あせも(汗疱 かんぽう)
あせもは、症状の出る場所がカンジダ皮膚炎と似ています。
あせもにはステロイドが効果的ですが、カンジダ皮膚炎はステロイドを使っていると悪化する点が大きな違いです。
癜風(でんぷう)
カンジダ皮膚炎と同じく、カビ(マラセチア菌)による皮膚疾患です。
硬貨くらいの大きさの円状の発疹(褐色〜白色)がいくつも生じます。
カンジダ皮膚炎のように、免疫抑制剤を使っている方にも生じますが、癜風は元気で汗かきな人にも生じるのが特徴です。
細菌性腟炎
細菌性腟炎も性器カンジダ症と同様に、女性器周辺の強いかゆみ、おりものの変化(白っぽいボソボソに固まったおりものになることが多い)、ニオイの変化が生じます。
疲れているとき、抗菌薬を使用したとき、などに生じるもので、こちらも性感染症ではありません。
カンジダ皮膚炎を起こさない・再発させないために
カンジダ皮膚炎を起こさないために、気をつけたいことを3つお伝えします。
乾燥させる
皮膚をよく乾燥させることが大切です。カンジダは、ジメジメした湿った環境を好んで増殖します。
入浴後はしっかり水分を拭き取る、汗をかいたら拭き取る、などを意識するようにしましょう。
清潔に保つ
皮膚やおむつ内を清潔に保つことも大切です。
入浴したら石けんを使って皮膚をきれいにし、おむつは汚れたらすぐに取り替える、汚れていなくても長時間着用したら取り替えるようにしてください。
生理用ナプキンやおりものシートも、あまり汚れていなくても数時間経過したら取り替えましょう。
治療期間を守る
カンジダ皮膚炎で抗真菌薬の塗り薬を処方されたら、医師が指示した期間しっかりと塗るようにしましょう。
見た目には治ったように感じられるとしても、治療期間が短いとカンジダが残っている可能性があります。
治癒したかどうか、確認のため再度受診をお願いすることもあります。
クリニックプラスでのカンジダ皮膚炎の診療の流れ
①問診
症状などの病歴について話を聞きます。
LINEの事前問診にお答えいただくと、診療がスムーズに行われます。
②診察
患部の診察を行います。
皮膚疾患の診断は視診が重要です。医師が丁寧に診察を行っていきます。
③検査
患部の皮膚を数か所採取し、顕微鏡でカンジダがいるかを検査をします。
④治療
検査でカンジダが陽性であれば、抗真菌薬を用いて治療します。
カンジダ皮膚炎はごくありふれた疾患です。
お悩みの方は、医療機関を受診することで解決するかもしれません。
クリニックプラスは、平日は20時まで、土日祝日も毎日診療しております。是非一度ご相談にいらしてください。