冬になると手が赤紫色になり、赤く腫れ上がってしまう方もいるでしょう。
これは「凍瘡」、いわゆる「しもやけ」の症状です。
しもやけによる手や足の痛みで、生活に支障をきたしてしまう前に、病気について理解して対処しましょう。
しもやけの特徴や原因、治療について解説していきます。
しもやけとは
手先や足先などに見られることの多いしもやけの、特徴について解説していきます。
しもやけってどんな病気?
しもやけ、病名では凍瘡といい、寒い時期に起こる皮膚病です。
寒暖差の激しい環境により血流障害をきたし、炎症を起こすことで手先・足先、耳たぶなど毛細血管の集まる身体の末端が赤紫色になり、腫れ上がります。
凍傷(とうしょう)とは違う
凍傷も同じように寒さに起因しますが、凍瘡とは少し異なります。
手先・足先が、非常に冷たい環境にさらされることで血流が悪くなり、皮膚の組織まで破壊されてしまう状態を「凍傷」といいます。
しもやけの原因
しもやけは寒さだけが原因ではありません。しもやけになりやすい要因がいくつか挙げられます。
また、病気によってしもやけ様の症状が出ることもあります。
寒冷刺激
しもやけが増える時期は、冬の終わりから春にかけて寒い日と暖かい日が入り交じる気候で、しもやけが起きやすいです。
平均気温4~5℃、1日のなかで10℃程度の気温差がある気候だと起こりやすいといわれ、寒い地域だけでなく、気温差のある温暖地でも発症することがあります。
寒いときには血管は収縮しやすく、暖かいときには血管は広がります。
寒さと暖かさにより、血管の収縮と拡張が繰り返されることで血流障害を引き起こし、しもやけとなるのです。
その他の原因
しもやけのきっかけとなるのは気候だけではありません。
同じ地域に住んでいる人でも、しもやけを発症する人としない人がいます。
血流障害をきたしやすい体質の方はしもやけを発症しやすく、遺伝的な素因とも関係があると考えられています。
全身の病気が隠れていることがある
しもやけではないものの、しもやけのように手先・足先の色が変わり、痛みなどが出ることがあります。
通常のしもやけは寒暖差の強い時期に多く出ますが、気候に関係なく症状が出る場合には、ただのしもやけではないかもしれません。
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全身性エリテマトーデス
自己免疫疾患のひとつで、若い女性に多い病気です。
手先や手のひら、足の裏などが赤く腫れ上がり、凍瘡様紅斑(とうそうようこうはん)と呼ばれます。 -
シェーグレン症候群
全身性エリテマトーデスと同様に、30~50代の女性に多い自己免疫性疾患です。
口や眼の乾きが特徴的な症状で、膝下や顔などにしもやけが出ることがあります。 -
全身性強皮症
皮膚や内臓が硬くなる、全身性強皮症という病気があります。
免疫異常やその他の要因が関係して発症しますが、特徴的な症状にレイノー現象・レイノー症状があります。
冷たいものに触ったあとなどに指が真っ白になり、その後、赤や紫色になる症状です。
しもやけと似ていますが、指先が真っ白になるのはしもやけには見られない症状ですので注意してください。
しもやけの症状
しもやけの症状、タイプ、症状が出やすい好発部位について解説していきます。
しもやけの特徴的な症状
しもやけは、皮膚が赤色や赤紫色に腫れ上がります。
かゆくなることや痛がゆい、ジンジンと感じる症状を伴うことも少なくありません。
ひどくなると水疱ができてしまったり、水疱が破れてただれてしまったりすることもあります。
また、常にかゆいわけではなく、暖かい屋内に入ったときや入浴時など、末端部分が温まったタイミングでかゆみを感じやすくなります。
しもやけは2つのタイプに分けられます。
ひとつは多形紅斑型といわれ、円形の発疹が多発するもので大人に多いものです。
もうひとつは樽柿型で、手全体ないしは足全体が腫れ上がってしまうタイプで、子どもに多いとされます。
好発部位は手や足先
しもやけが起きやすいのは、外気にさらされる頻度が多く、細い血管が多く通っている身体の末端の手や足の先、耳介でよく見られ、頬や鼻の頭などの露出している部分でも、しもやけが見られることがあります。
学童期や思春期に多い
しもやけは就学前の4~5歳頃から増えていきます。
ピークは学童期や思春期とされ、男子に比べて女子の方がしもやけが出やすいといわれています。
成人以降は減りますが、水仕事をしている方、高齢者にも起こることがあります。
しもやけの治療法
しもやけは通常1~3週間で治るとされていますが、日常生活に影響が出てしまうこともあります。
治療法について解説します。
外用(塗り薬)
血行を促進するためのビタミンE製剤、ヘパリン類似物質製剤を塗ることで症状の軽減が期待できます。
炎症が強いときには、炎症を抑える作用のあるステロイド製剤を外用します。
内服
軟膏で効果が不十分な場合には、ビタミンE製剤の内服を用います。
その他の治療
血流障害がしもやけを引き起こすため、マッサージや半身浴などで血流をよくすると、症状を軽減する効果が期待できます。
また、末端だけでなく体幹も冷やさないようにすることも大切です。
しもやけの予防
毎年同じ時期になると手が赤くなるという方もいるでしょう。予防法について解説していきます。
身体を冷やさない
手足の先や耳、頬などが直接外気に当たらないように気をつけてください。
手袋や耳当てをするといった防寒対策をしましょう。
温かい飲み物や食べ物などを積極的に摂ることで、身体を温める効果も期待できます。
毎年同じ時期になると手が赤くなるという方もいるでしょう。予防法について解説していきます。
水分は拭き取る
汗をかいたときにはそのままにしておかないようにします。
靴下を1日の中で履き替えるのもいいかもしれません。
手を洗った後、水仕事のあとなどはしっかり手を拭くように心がけましょう。
治りにくいしもやけに注意
1日のなかで寒暖差の激しい時期は、しもやけになりやすい時期です。
毎年その時期に手が赤くかゆくなる方は、予防を心がけてください。
時期に関係なくしもやけの症状が出る方、治りにくい方は、別の病気が隠れている可能性があるので、医療機関を受診することをお勧めします。
クリニックプラスでのしもやけの診療の流れ
①問診
いつごろから、どこに、どういうタイミングで、どのような症状が出ているのかを聞いていきます。
LINEの事前問診にお答えいただくと、診療がスムーズに行われます。
②診察
患部の診察を行います。皮膚疾患の診断は視診が非常に重要です。医師が丁寧に診察を行っていきます。
③検査
しもやけ以外の病気が隠れていることを疑った場合には、血液検査を行う場合もあります。
④治療
外用薬や内服薬を用いて治療をしながら、日々の生活での注意点や、予防として行うべきことなどについて指導を行っていきます。
日常生活に影響が出てしまうほどのしもやけは、治療が必要です。
場合によっては、他の病気が隠れているかもしれません。
しもやけの症状でお困りの方は、医療機関を受診するようにしましょう。
クリニックプラスは、平日は20時まで、土日祝日も毎日診療しています。是非一度ご相談にいらしてください。