「顔に白い粉がふいてしまった」「ガサガサして化粧ノリが悪い」そんな風にお困りの方はいませんか?
白い粉がふいた、いわゆる「粉ふき肌」は、病院での治療が必要な状態かもしれません。原因や対策についてご紹介しますので、思い当たる場合は受診をご検討ください。
粉ふき肌はどんな原因が考えられる?
粉ふき肌になってしまう原因は、大きく2つです。この記事では、2つの疾患について原因や対策をご紹介します。
- 乾燥肌(乾皮症)
- 皮脂欠乏性湿疹
乾燥肌(乾皮症)
乾燥肌は、その名のとおり肌が乾燥した状態を指します。
乾燥により皮膚のバリア機能が低下し、その影響で肌がカサカサしたり、粉をふいたような状態になったりしているのです。
肌の乾燥がさらに進むと、皮膚のひび割れや皮剥けが生じ、乾皮症(かんぴしょう)と呼ばれる状態になります。
乾皮症を最も起こしやすい部位は「すね」で、その他、太もも、腰回り、脇腹などにもみられます。
予防や治療には、保湿剤を塗ることが最も大切です。そのほか、高温のお風呂に入らない、洗浄力の強い石けんを使って体を洗わない、加湿器を使用して環境を整えるなど、乾燥を助長する要因を避ける工夫が必要になります。
軽度の乾燥であれば、市販の保湿剤を使用して様子をみていても問題ありません。ただし、十分に保湿をしても症状が改善されない場合は、皮膚科を受診して治療を受けましょう。
皮脂欠乏性湿疹
皮脂欠乏性湿疹はとくに皮膚の皮脂が不足し、湿疹を伴った状態を指します。
乾燥肌(乾皮症)では、皮膚は乾燥してカサカサとツヤを失ってはいますが、湿疹(皮膚のブツブツやかゆみ)はありません。皮膚が乾燥しているところに湿疹を伴っていれば、皮脂欠乏性湿疹となります。
皮脂が不足すると皮膚は乾燥し、皮膚のバリア機能は低下していきます。皮膚のバリア機能が低下すると水分が蒸発して乾燥しやすくなり、外部からの刺激に弱くなります。そこへ何らかの外部刺激が加わると、炎症を起こして湿疹に至るのです。
皮脂欠乏性湿疹では、乾燥した皮膚がカサカサと粉をふいたようになったり、ウロコのように(鱗屑)なって剥がれ落ちたりします。乾燥がひどくなると鱗屑は大きくなり、剥がれ落ちる皮膚も増えます。搔くと症状がさらに悪化して、湿疹が盛り上がり(丘疹)、水疱を形成したり、色素沈着を起こしたりすることがあります。
アトピー性皮膚炎や糖尿病、高齢者や透析中の方は、一般的に皮膚の皮脂が不足しやすく、健常な方よりも皮膚バリア機能は低下しているため皮脂欠乏性湿疹になりやすいです。予防的にしっかりと保湿をする、症状があれば早めに治療を開始するなどを意識しましょう。
治療には保湿が重要ですが、必要な成分を見極める必要があります。
皮膚に水分を増やすタイプの保湿成分としてヘパリン類似物質や尿素を、皮膚から水分を逃がさないようにフタをする保湿成分としてワセリンを使うことが多いです。痒みがあると、寝ている間などに掻いて症状を悪化させることがあります。悪化予防のため、保湿だけでなく炎症を抑えるためのステロイド外用薬と、必要に応じてかゆみ止め(抗ヒスタミン剤)の内服薬を併用することが推奨されます。
皮膚の乾燥だけでなく、湿疹を伴うようであれば、早いうちに医療機関を受診してください。市販の薬だけでは対処が難しい疾患です。
気になる症状があれば受診を
今回は、粉ふき肌になる原因として考えられる2つの疾患についてご紹介しました。皮膚が粉をふいたようになった場合、皮膚の乾燥が大きな原因と考えられます。軽度の乾燥であれば市販の保湿剤で対応してもかまいませんが、かゆみや皮向け、湿疹などの症状がある場合には、医療機関での治療が必要です。気になる症状があれば、一度受診することをおすすめします。