咳がとまらない、痰が絡むといった症状が続く場合は、気管支炎かもしれません。
息を吸って取り込まれた空気は、喉から気管を通って肺に入りますが、気管は途中で2本に分かれ、それぞれ左右の肺につながっています。
気管が左右に分かれてからは気管支と呼ばれ、この気管支に炎症が起きることを気管支炎といいます。
今回は、気管支炎の種類や症状、検査や診断・治療の方法まで詳しく解説します。
気管支炎とは
何らかの要因で、気管支に炎症が起きている状態を気管支炎といいます。
おもな症状は、咳や発熱・喉の痛みなどで、数日~数週間で症状が治まるものは「急性気管支炎」、年単位で続くものは「慢性気管支炎」と呼ばれています。
気管支炎の分類と原因
気管支炎は、「急性気管支炎」と「慢性気管支炎」に分けられ、それぞれ原因が異なります。
急性気管支炎
急性気管支炎は、冬に多く、通常ウイルス感染により発生します。
上気道炎、いわゆる風邪の症状が出てから3日~5日後にウイルス感染が気管支に波及して気管支炎が発症し、咳の症状が出ます。ウイルスが原因である場合がほとんどですが、細菌感染の合併を起こすこともあります。
その場合はいったん、熱が下がった後、再度熱が上がったり熱が続いたりする、全身状態が悪化する、などの症状が現れます。
慢性気管支炎
慢性気管支炎は、気管支炎の症状が慢性化したものです。
原因不明の咳や痰が3か月以上続き、さらにそれが2年以上続いているときには慢性気管支炎である可能性があります。
慢性気管支炎は、長期間に及ぶ喫煙や受動喫煙、大気汚染や有害ガスの発生などで、空気中の有害物質を吸い続けたことが原因で起こります。
気管支炎の症状
一般的な気管支炎の症状は咳や痰です。
急性気管支炎では、感染に伴って発熱することもありますが、必ず発熱するわけではありません。
発熱している場合は肺にまで炎症が及んで、肺炎を起こしている可能性があります。
乳幼児や子どもは、炎症で気管支が狭くなることにより「ゼーゼー」や「ヒューヒュー」といった喘鳴が聴かれることもあります。
慢性気管支炎では、繰り返す咳や痰が1年のうち3か月以上、連続して2年以上続きます。
慢性閉塞性肺疾患などの慢性の呼吸器疾患が原因となることが多く、痰が大量に出る方もいます。
また、肺気腫と合併すると、体重減少や呼吸困難などの症状がみられることもあります。
気管支炎の検査・診断
気管支炎は、主に症状や聴診によって診断します。
気管支炎の検査
風邪の症状に続いて咳や痰の症状が強く出ている場合は、急性気管支炎と診断します。
さらに、熱がある場合や胸部聴診で異常音が聴こえるときなどは、気管支の炎症が肺に波及して肺炎となっている可能性があるため、採血や胸部レントゲンや胸部CTといった画像検査を行うことがあります。
長期間にわたって咳や痰といった症状がある場合には、慢性気管支炎やその原因である慢性閉塞性肺疾患の可能性が考えられます。
血液検査や細菌検査、胸部レントゲン、胸部CTといった画像診断や呼吸機能検査などを行って診断します。
気管支炎の診断
急性気管支炎では、主に症状・聴診などから診断していきます。
慢性気管支炎は咳や痰などが1年のうち3か月以上、連続2年以上に渡って症状が出ている時に慢性気管支炎を疑います。
血液検査や画像検査などを行ったうえで、他の病気が隠れていなければ慢性気管支炎と診断します。
気管支炎の治療
気管支炎の治療は、基本的には対症療法となります。
急性気管支炎の治療
急性気管支炎ではウイルスが原因となることが多く、コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどは抗ウイルス薬がありますが、通常の風邪の原因となるウイルスでは抗ウイルス薬は存在しません。
咳に対して鎮咳薬や気管支拡張剤、痰に対して去痰剤といった薬を使用していきます。
細菌感染によるものと判断した場合には、抗生剤を使うこともあります。
慢性気管支炎の治療
慢性気管支炎では急性気管支炎と同様に、鎮咳薬や去痰剤、気管支拡張剤といった薬を使用します。
炎症が長く続くことで肺の構造変化を来たし、呼吸状態が悪化する可能性があるので、専門医の診察を受けてください。
気管支炎の予防、生活上の注意
急性気管支炎では、風邪がきっかけとなり発症することも多く、日ごろから規則正しい生活を送るなど生活習慣を整えることで感染に強い体をつくることが大切です。
また、痰が出にくいときには水分をしっかり摂ること、加湿器を使うことなどで痰が出やすくなるでしょう。
喫煙は気管支の炎症を助長します。急性気管支炎では禁煙を心がけること。
また、慢性気管支炎を患ってしまった場合にも禁煙は大切です。
慢性気管支炎では、感染をきっかけに症状が一気に悪くなってしまうこともあるため、手洗いやうがいといった感染予防対策をすることをお勧めします。
気管支炎の疑いで来院された方の当院での診療の流れ
①問診
いつからどの様な症状が出ているか、診断・治療に必要な情報を集めるために、医師がいくつか質問します。
(LINEの事前問診にお答えいただきますと、よりスムーズな診療を提供できますのでご協力ください)
発熱・咳嗽・喀痰等が気管支炎を疑う症状です。
②身体診察
喉の所見をみたり、リンパが腫れていないかなど、医師が丁寧に診察を行います。
③検査
気管支炎を疑ったらまずはレントゲンを撮影します。
さらに喀痰検査を行い、原因菌の特定を行います。
コロナやインフルエンザの人と最近の接触歴があれば、抗原検査を追加することもあります。
④処方(重症の場合は専門医療機関へ紹介)
コロナなどのウイルスが原因であれば抗ウイルス薬を投与し、細菌性の気管支炎であれば抗生物質や解熱剤、鎮咳薬を処方します。
気管支炎が慢性化すると長引く咳等につながることもあります。しっかり治して後遺症を残さないようにしましょう。
クリニックプラスでは平日は20時まで、土日祝日も診療を行っております。
お気軽にご相談にいらしてください。