爪の周りの炎症は、患部は小さくても痛みが強い場合が多く、とても気になると思います。爪の周囲の炎症を引き起こす疾患はさまざまで、それぞれ原因が異なります。治療には、原因に応じた薬を使うことが重要になるため、自己判断は禁物です。ここでは爪の周囲が炎症する疾患の種類や特徴について解説します。
爪の周囲に炎症を起こす疾患
爪の周囲が炎症する疾患には次のようなものがあります。
- ひょうそ(化膿性爪囲炎)
- カンジダ性爪囲炎
- 足白癬・手白癬
ひょうそ(化膿性爪囲炎)
ひょうそは化膿性爪囲炎(かのうせいそういえん)とも呼ばれる、細菌などによる感染症です。ささくれや小さな傷、巻き爪で皮膚に爪が食い込んでいる部分などから細菌感染が起こり、発症します。
手や足の爪の周りが赤く腫れるところから始まり、次第に痛みが出てきます。炎症が進行すると膿がたまることもあり、強い痛みを生じます。膿は皮膚の上から見るとクリーム色~黄緑色のように見えます。
ひょうその治療には、症状や病原体に合わせた塗り薬や飲み薬を使います。膿がたまっている場合、自分で膿を出してしまいたくなるかもしれません。しかし、膿の自己処理は禁物です。針や爪切りで傷をつけた部分から細菌が混入し、さらに悪化してしまう可能性があるからです。皮膚科で受診し、処置や投薬を受けるようにしてください。
カンジダ性爪囲炎
カンジダ性爪囲炎(カンジダせいそういえん)は、手の爪の周囲にカンジダという真菌(カビ)の一種が感染することで起こる感染症です。水仕事をする機会の多い方に発症しやすいといわれています。
カンジダ性爪囲炎では、手の爪の周りが赤く腫れたり膿んだりします。また、爪の色が白く濁る、デコボコと変形する、先端がボロボロに欠けるなどの症状が出ることもあります。
治療は抗真菌剤の塗り薬を使いますが、治りにくい場合は飲み薬を使うこともあります。自己判断で薬を使うとかえって悪化することがありますので、気になる症状がある場合には皮膚科で受診して正しい診断を受けるようにしてください。
足白癬・手白癬
カビの一種である白癬菌に感染することで起きる、いわゆる「水虫(みずむし)」のことです。足にできる水虫を足白癬(あしはくせん)、手にできる水虫を手白癬(てはくせん)といい、皮膚がむける、赤く腫れる、かゆみが生じるなどの症状が出ます。水虫は足にできやすいですが、手に発症することもあります。
手や足の爪に水虫ができると、爪が白色や黄色に濁ったり、爪がボロボロと崩れたりします。爪にはかゆみを感じる神経がないため、爪自体にかゆみは生じませんが、爪の周りがかゆくなり、炎症を起こすことがあります。
足白癬や手白癬による爪の周りの炎症は、他の病気と間違われやすいため、きちんと診断を受けて適切な治療を行うことが大切です。
爪の周囲の炎症が気になる場合は悩まず受診を
爪の周囲に炎症が見られる場合、考えられる病気はさまざまで、対処法も異なってきます。自己判断で薬を使うのではなく、皮膚科を受診して正しい診断を受けることが大切です。気になる症状がある場合には一度受診するようにしてください。