インフルエンザとは?
インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することによって発症する病気で、急な高熱や関節痛が現れるのが特徴です。インフルエンザは例年12月から3月にかけて流行します。
いわゆるかぜの一型ととらえることもできますが、中には重症化し、死に至る可能性もあるので注意が必要です。
都内のインフルエンザ感染状況は?(2023年9月 時点)
例年12月から3月にかけて流行するインフルエンザですが、2022年から2023年にかけては、散発的にインフルエンザが発生しており、9月14日には、流行開始の目安となる定点当たり1.0人を超え、さらに増加傾向がみられるということで注意喚起が呼びかけられました。
第37週(9月11日から9月17日)におけるインフルエンザの定点当たりの報告数は11.37と、「流行注意報基準※」を超え、なお急速に増加しています。
今後さらに流行が拡大する可能性もあるため、十分な注意が必要です。
※注意報基準:定点医療機関からの報告において、定点当たり患者報告数が10人/週を超えた場合
警報基準:定点医療機関からの報告において、定点当たり患者報告数が30人/週を超えた場合
いずれの場合も、保健所の管内人口の合計が東京都の人口全体の30%を超えた場合には、広域的に流行が発生・継続しているとして、注意報・警報が発せられます。
インフルエンザの症状は?
38度以上の発熱や関節痛、筋肉痛などの症状が出ることが多いですが、個人差があったり、かぜと見分けがつきにくかったりする場合もあります。
下の表は、米国疾病予防管理センター(CDC)が提唱するインフルエンザとかぜの特徴・見分け方になりますので、参考にしてみてください。
インフルエンザの治療は?
インフルエンザウイルスの増殖を抑える「抗インフルエンザ薬」が治療に使用されます。
現在日本で使用されている代表的な抗インフルエンザ薬のそれぞれの特徴を、以下の表にまとめました。
薬名 | 剤形 | 用法・用量 | 薬価 | 予防投与 |
---|---|---|---|---|
タミフル | 飲み薬 | 1日2回×5日間 | 2,720円 | ○ |
リレンザ | 吸入 | 1日2回×5日間 | 2,940円 | ○ |
イナビル | 吸入 | 1回きりで終了 | 4,280円 | ○ |
ラピアクタ | 点滴 | 15分かけて点滴 | 6,216円 | × |
1回きりで終了 | (+静脈注射手技料) | |||
ゾフルーザ | 飲み薬 | 1回きりで終了 | 4,870円 | ○ |
*記載されている薬価は、治療1コースの10割負担の価格になります。
3割負担の方は、記載されている価格の3割の価格になります。
*クリニックプラスでは、予防投与のためのインフルエンザ治療薬の処方は行っておりません。
あらかじめご了承ください。
「どの薬が一番効果があるか」という点に関しては、実はまだデータが不十分であり、明確な答えが出ていません。
上の表を参考に、患者さんに合った薬を使用していくというのが現時点での使い分けになります。
また、インフルエンザの治療に必ずしも薬が必要というわけではありません。
インフルエンザの薬は、あくまでウイルスの増殖を抑えるもので、ウイルスを死滅させるような薬ではありません。
実は、薬を飲まなくても自然によくなる人がほとんどです。ただし、以下に挙げた「インフルエンザ重症化のハイリスク患者」に相当するような方は、予防も含めた抗インフルエンザ薬による早期の治療をおすすめしています。
◆5歳未満の小児(特に2歳未満)
◆65歳以上
◆妊婦、産後2週間以内
◆喘息をお持ちの方
◆心臓や腎臓・肝臓に病気をお持ちの方
◆がんを患っている方
◆糖尿病の方
◆薬やHIVなどで免疫機能が低下している方
◆神経障害、認知症などで、痰をうまく出せないような方
◆BMI 40以上の高度肥満の方
インフルエンザの場合、明日の学校・仕事は休んだほうがいいですか?
学生は学校保健安全法により、「発症後5日を経過し、かつ、解熱後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」は出席停止となっていますので、そちらを守ってください。
成人では明確な基準はなく、「就業制限については会社のルールに従う」ということになります。
一般的には感染性のある期間は、症状発現から5〜7日間とされていますので、会社と相談して決めてください。
また、例え検査が「陰性」でも、必ずしもインフルエンザではないとはいえないということにも注意が必要です。
周りでインフルエンザが流行っていて、インフルエンザの症状が出ていれば、検査で「陰性」でもインフルエンザとして扱うのが重要です。
インフルエンザの予防はどうすればよいですか?
インフルエンザにおいて、最も重要なのは「予防」です。
予防方法には以下のようなものがあります。
-
アルコールでの手指衛生
-
マスクなどの咳エチケット
-
人混みを避ける
特に「インフルエンザ重症化のハイリスク患者」に相当する方、またハイリスク患者に相当する方と同居されている方は、ワクチン接種は必須です。
ワクチン接種を行うと、65歳未満の健常成人での発症予防は70〜90%とされています。
13歳以上の方は1回接種が原則です。(13歳未満の方は2回接種となります)
インフルエンザで来院された方の当院での診療の流れ(診察所要時間目安:5〜7分)
1. 問診
いつからどのような症状が出ているか、周りにインフルエンザを発症している方はいないかなど、診断・治療に必要な情報を集めるために、医師がいくつか質問します。
(LINEの事前問診にお答えいただくと、よりスムーズな診療を提供できますのでご協力ください)
2. 身体診察
のどが腫れていないか、呼吸の音に異常はないかなど、医師が丁寧に診察を行います。
3. 検査
インフルエンザウイルス迅速検査を行います。
鼻の奥を綿棒で拭って検体を採取します。10〜15分ほどで結果がわかります。
注意していただきたいのが、インフルエンザは発症から12時間の間は偽陰性(本当は陽性なのに陰性と出てしまう)が出てしまう可能性があります。
インフルエンザを疑って検査を希望される際には、熱が出てから12時間経過した後に受診されることをおすすめします。
4. 処方・点滴
一般的には、医師に処方された薬を飲んで、数日間経過をみてもらうことになります。
薬によって飲む日数や服用方法が違うので、医師と相談して、それぞれの患者さんに合った薬を決定していきます。
ごくまれに、肺炎や脳症などを合併し、重症化する場合があります。
薬を飲んでも症状が増悪していくような場合には、早めに受診ください。
必要であれば、入院治療などを行うことができる医療機関をご紹介することもあります。
特にご高齢の方や糖尿病や肺疾患などの基礎疾患をお持ちの方は、重症化を防ぐためにもインフルエンザワクチンの接種を行うようにしましょう。