湿疹とは
皮膚の表面に起きる炎症を「湿疹」と呼びます。いわゆる皮膚炎のことです。
湿疹を起こす要因は大きく「外的要因」と「内的要因」に分けられます。
それぞれ以下のような具体例が挙げられます。
◆外的要因…薬剤、化学物質、アレルゲン、物理的刺激、虫、金属、日光、細菌、カビ、ストレス、気候 など
◆内的要因…アレルギー体質、アトピー素因、内臓疾患、皮膚のバリア機能の低下、皮脂 など
また、湿疹は症状が続いている長さによって、「急性湿疹」と「慢性湿疹」に分けられます。
◆急性湿疹…出始めてから数時間〜数日以内の湿疹。自然によくなることもあるが、適切な治療を施さないと慢性化してしまうものもある。
◆慢性湿疹…患部が硬くなり、乾燥してゴワゴワした状態になる。急性湿疹に比べ、治るまでに時間を要する。
湿疹の症状とは
湿疹の症状は、強いかゆみと皮膚表面の変化です。
見た目の変化は多様な経過をたどりますが、その過程を示したものが「湿疹三角」と呼ばれるものです。

引用:田辺三菱製薬 https://hc.mt-pharma.co.jp/hifunokoto/solution/1181
湿疹といっても幅広く、いろいろな種類がありますが、当院で扱っている「よくある湿疹」をいくつか説明していきます。
アトピー性皮膚炎
皮膚のバリア機能が低下することによって、外からのさまざまな刺激で皮膚の炎症が起き、赤くなったり、小さいブツブツとした発疹やかさぶたができたり、カサカサになったり、といったかゆみを伴う湿疹がアトピー性皮膚炎です。
アトピー性皮膚炎を発症する方は、アトピー素因を持つことが多く、アトピー性皮膚炎を疑った場合、これらがないか血液検査をします。
アトピー素因とは、ダニ、ハウスダスト、花粉、食事などに対するアレルギー反応で、ある程度遺伝するといわれています。また、アトピー性皮膚炎を悪化させる要因としては、細菌、ダニ・カビ、汗、ペット、食事のバランス、夜型の生活、睡眠時間の減少、ストレスなどが挙げられ、これらの要因を日常生活から除外していくことが大切です。
特に、アトピー性皮膚炎は十分な皮膚バリア機能がまだ備わっていない子どもに多いですが、しっかり治療しないと大きくなるにつれて、喘息など他のアレルギー症状を引き起こしたり、かゆみのため睡眠障害が起きたりと、成長にまで影響を及ぼす可能性があるので、医師にかかってしっかり治療していくことが重要です。
治療は、①ステロイド外用薬などの薬物療法 ②スキンケア ③悪化要因の除去 の3本柱になります。
❖おむつ皮膚炎(かぶれ)
おむつ皮膚炎は、おむつをする乳幼児にみられ、おむつで覆われる部位が赤くなり、ひどいとびらんを生じる皮膚炎です。おむつ皮膚炎の原因は大きく3つ挙げられます。
①便や尿の刺激+常在菌の繁殖
②おむつで覆われている部分のしめった環境
③おしりを拭いた時などの摩擦
まずはおしりを拭くときに拭くときにこすらないことが重要です。下痢便を拭くときなんかも、優しく触るようにして拭き取ってあげましょう。これだけでもだいぶおむつ皮膚炎を予防することができます。さらに外用薬として亜鉛華軟膏(サトウザルベ)をそっと塗ってあげればたいていは良くなります。それでも治らなければ、カンジダや白癬、ブドウ球菌などの感染症が疑われますので、一度医師に相談しましょう。
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
皮脂の分泌が多い脂漏部位(頭・顔・陰部など)に一致した、境界が不明瞭な赤い湿疹です。フケを伴うことがあります。
これは、皮脂を好む真菌(カビ)が関与しているといわれています。
適切な洗顔や洗髪を繰り返すよう心がけることが重要です。抗真菌薬外用剤も有用です。
かゆみは一般的には軽度な場合が多いですが、かゆみを伴う場合はステロイド外用薬も使用します。
湿疹で来院された方の当院での診療の流れ
1. 問診・診察
皮膚疾患は、見た目の診察と患者さんからのお話が診療のほとんどをしめます。
事前問診でお答えいただいた内容に加えて、診断に必要な情報や所見を集めます。
2. 処方
診断がついたら薬を処方します。塗るタイプのお薬と飲むタイプのお薬をうまく使い分けて処方します。
患者さんに合った薬が見つかるまでは、1週間に1回くらいの頻度で来院いただく場合もあります。