高血圧は心疾患や脳卒中など重大な病気の要因となるため、早期の改善が必要です。血圧が高くなる病態の中で、原因がわからない高血圧を本態性高血圧(ほんたいせいこうけつあつ)と言います。今回は本態性高血圧の基本知識を確認しながら、改善に向けて知っておきたいポイントをご紹介します。
本態性高血圧とは?高血圧の2つの種類とその違い
高血圧には大きく2つの種類があります。初めにそれぞれの違いについて解説します。
本態性高血圧と二次性高血圧
高血圧には、本態性高血圧と二次性高血圧の2つの種類があります。
二次性高血圧は原因となる疾患が明らかな高血圧です。これに対して本態性高血圧は、血圧が上がるような基礎疾患などの原因が特定できない高血圧を指します。
本態性高血圧となる要因としては、遺伝・生活習慣などさまざまなものが挙げられます。これらが複雑に影響しあっていることが考えられ、明確な原因の追究が困難とされています。
高血圧の約9割は本態性高血圧
高血圧は日本国民の約3人に1人に見られ、高血圧と推定されるのは約4300万人です。本態性高血圧はそのうちの約9割を占めており、多くの場合、明らかな原因が特定されていません。
高血圧とわかっている人のうち、血圧を良好にコントロールできているのは1200万人。残りの人は、高血圧を自覚しながら対応していない、服薬管理が適切でないなどの状況にあります。
本態性高血圧になるとどうなるの?
原因がわからない本態性高血圧ですが、どのような症状が見られるのでしょうか。
本態性高血圧の特徴・診断の基準
本態性高血圧は、最高血圧と最低血圧の値から診断されます。高血圧の基準となるのは収縮期血圧140mmHg、拡張期血圧90mmHgでこのどちらか一方、 または両方が数値以上となった場合に高血圧となります。
血圧は測定する時間帯や、環境によっても大きく変動しますので、毎日同じ場所・同じ時間に測定していただくことが重要です。基本は朝の起床後(1時間以内・排尿後・朝食前・お薬を飲む前に、座って数分安静にしてから)と夜の就寝前(座って数分安静にしてから)の2回測定し、測定結果は1点1点ではなく、日々の測定結果を線でみて判断していきます。30歳以下の若年で高血圧を認められる場合や、なかなか薬に反応せず、治療に抵抗性を示す高血圧が認められるような場合には、高血圧の原因になる疾患が隠れていないかを調べ、二次生高血圧でないことを確認することも必要です。
本態性高血圧の症状は?
本態性高血圧は重症化していない場合には、自覚症状はあまりありません。ただ人によっては頭痛・筋肉痛、腰背部痛、疲労感、腹痛、悪心、食欲不振などの症状を示す場合もあります。
本態性高血圧の治療方法・改善策
本態性高血圧の治療方針と改善策を見ていきましょう。
本態性高血圧のさまざまな治療方法
本態性高血圧の治療はまず生活習慣の改善から始めていきます。具体的には1日6g未満とする塩分制限、肥満の解消、節酒、禁煙、有酸素運動などが挙げられます。生活習慣を変えても血圧が安定しない場合、薬による治療を行っていきます。
根本的改善策は生活習慣の見直しから
本態性高血圧では、生活習慣の見直しが根本的な改善につながります。血圧の治療薬は飲み始めたら一生飲まなければいけないと思っている方も多くいると思いますが、生活習慣の改善によって血圧を下げ、その状態を維持できれば、薬を飲まなくてもよくなる可能性があります。医師に相談しながら生活習慣をしっかりと見直し、改善に向けて行動していくようにしましょう。
本態性高血圧改善のポイント
本態性高血圧は、放置すると重篤な疾患を引き起こす可能性が高くなります。逆に、改善して血圧を正常な状態で維持していくことで、心筋梗塞や脳出血などの重大な病気を予防することができます。改善に向けてのポイントを見ていきましょう。
①患者本人が主体となる意識が必要
本態性高血圧で大切なのは、患者本人の改善への意識です。薬を処方してもらっても、それは血圧の上昇を抑えるためのものであり、治せるということではありません。
本態性高血圧を改善するために必要な生活習慣には、減塩、適度な運動を心がける、バランスの良い食事を摂る、過度な飲酒を控える、禁煙する、などがありますが、いずれも本人が意識し、行動を起こし、継続していく必要があります。それは本人にしかできません。本人が改善の主体となる意識が何よりも大切なのです。
②服薬を自己判断で中止しない
投薬治療を行う場合、医師は診断に基づいて、患者一人ひとりにあった降圧剤を処方しています。
体調が良いからといって患者が薬を自己判断で中断したり減らしたりすると、血圧が急上昇する恐れがあり、重大な病気の発症へとつながることも考えられます。服薬については、必ず医師の指示に従ってください。
③年齢が高いほど減塩を心がける
高血圧を改善するにあたっては、すべての年代で減塩が基本的な対応策となります。
塩分過多により血中のナトリウムが増えると、濃度を一定にするために血液中の水分が増加します。血管内を流れる血液の量が増えるため、血圧が上がると考えられています。これが、塩分を控えるべき理由です。
高齢者は味覚が衰えて塩分も感じにくくなるため、摂取量が増えがちです。老化によってすでに動脈硬化が生じている場合が多いため、特に塩分量には注意しなければなりません。
クリニックプラスでの本態性高血圧の診療の流れ
①血圧の測定
受付を済ませた方は看護師が声をかけますので、血圧を測定していただきます。
②問診
病院や健康診断で測った血圧は、家庭での血圧より高めに出ることが多いです。ご自宅で血圧を普段測っていない方は、まず血圧計をご購入いただき、毎日の自宅での血圧を測定し、記録してもらうことから始めます。ご自宅で血圧を記録している方は、普段どのくらいの血圧で推移しているか、教えてもらいます。血圧手帳や、記録に使用しているアプリなどをご提示いただけるとスムーズに診療が行われます。
③身体診察
高血圧に伴い心臓に雑音が聞こえたりしないか、医師が丁寧に診察を行います。
④検査
基本的には検査を必要としないことが多いですが、30歳以下の比較的若年の方や、薬による血圧の反応が乏しい場合、異常に血圧が高い場合などは、二次性高血圧の関与も考えられますので、血液検査を行ったりします。
⑤生活指導および処方
生活習慣病において最も大切なのは、生活習慣の是正です。普段とっている食事や運動、嗜好品などを聴取し、改善できる部分に関して指導を行なっていきます。生活習慣の是正だけではコントロールが不十分な場合、薬を処方します。血圧の推移をみながら、血圧の薬を調整していきますので、飲み忘れがない様にご注意ください。
クリニックプラスでは働く世代の方々の高血圧をはじめ糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の予防、管理に力を入れています。生活習慣病の治療は、日々の生活習慣の改善と、薬の内服・通院を継続していくことが重要ですが、仕事でお忙しい方々はそこがなかなか難しいかと思います。クリニックプラスでは、事前LINE問診や、事前クレカ決済システムなど、テクノロジーを活用することで待ち時間を少しでも短くする取り組みを行っています。また、平日は夜の8時まで、さらには土日祝日も毎日営業することで、通院しやすい体制を整えています。高血圧は自覚症状があまり出ないため、なかなか病気という認識を持ちにくいかもしれませんが、重篤な疾患の引き金になり得ます。健康診断などで血圧が高いといわれた方はぜひ一度相談に来てください。