・片頭痛/緊張型頭痛とは?
片頭痛や緊張型頭痛は、頭痛の中でも一次性頭痛というカテゴリに分類され、いわゆる脳出血やくも膜下出血といった頭痛の原因となるような明らかな病気を認めない慢性的な頭痛と言われます。これらの頭痛は、脳に障害を残さないとされていますが、頭痛発作は日常生活に多大な支障をきたすため、適切な治療・管理が必要になってきます。
・片頭痛/緊張型頭痛の診断方法は?
まず片頭痛は「前兆がある」タイプと「前兆がない」タイプに分けられます。前兆がある場合とない場合で、診断に必要な項目が少し変わってきます。
◆前兆のない片頭痛‥以下の項目を満たす頭痛発作が5回以上ある
①4〜72時間続く頭痛
②頭痛の特徴が以下の項目の2つ以上にあてはまる
a.片側だけ頭が痛い
b.ガンガン拍動しているような痛み
c.中等度〜重度の痛み
d.歩いたりなどの日常動作で頭痛が悪くなる
③頭痛発作中に以下のいずれかの症状を認める
e.吐き気をもよおす、あるいは吐いてしまう
f.光や音で頭痛が増悪する
◆前兆のある片頭痛‥「前兆のない片頭痛」と同様の特徴を認めるのに加えて、以下の項目を満たす頭痛発作が2回以上ある
①以下の前兆のうち、少なくとも1つ以上を認め、頭痛が落ち着いた時点で前兆も完全になくなる
a.視覚症状(例;キラキラした光・点・線がみえる、ギザギザに走る光がみえる、周りがチラチラ光って中心が見えないなど)
b.感覚症状(例;チクチクする感覚が次第に顔面や身体に広がっていく、感覚が鈍くなったり、腕や足の力が入りにくくなったり、バランス感覚を失ったりなど)
c.言語症状(例;言葉がうまく話せなくなるなど)
②以下の項目のうち少なくとも2つ以上あてはまる
d.視覚症状が両方の眼の同じ側にみえる、または感覚症状が片側のみにおきる
e.前兆が5分以上かけて進展していく
f.前兆が続く時間は5分以上60分以内
緊張型頭痛は一次性頭痛の中でもっとも多く、頭や首周りの筋肉のコリや緊張からくるものと考えられています。
◆緊張型頭痛‥以下の項目を満たす頭痛
①30分〜7日間続く頭痛
②頭痛の特徴が以下の項目の2つ以上にあてはまる
a.頭の両側が痛い
b.圧迫されるような、あるいはしめつけられるような痛み
c.軽度〜中等度の痛み
d.歩いたりなどの日常動作で頭痛が悪くなるようなことはない
③以下の両方があてはまる
e.吐き気をもよおしたり、吐いてしまうようなことはない
f.光や音が原因で頭痛が増悪することはあっても、光か音のどちらか一方のみ
・治療法はどのようなものがありますか?
基本的には、片頭痛も緊張型頭痛も、お薬の治療がメインになります。片頭痛の場合、まずは一般的な鎮痛薬から始めてみて効果をみます。効果が不十分な場合には、鎮痛薬をより強いものに変えたり、片頭痛でよく使用される鎮痛薬を追加したりします。吐き気も伴うような場合は、吐き気どめも一緒に飲むと効果的です。発作が月に2回以上の頻度でみられるような方には、予防薬を飲み続けるというのも治療の選択肢の1つになってきます。
緊張型頭痛の場合は、筋肉の緊張を和らげてあげるような薬を飲む治療もありますが、薬以外にも筋肉のコリを解消してあげるようなマッサージや首・肩甲骨周りの体操が効果的のこともあります。またデスクワークの方など日頃から首回りに負担がかかるような方は、仕事中の姿勢などを意識して正したりすることでも症状の軽減につながります。
・片頭痛/緊張型頭痛が疑われた方の当院での診療の流れ(診察所要時間目安: 7〜10分)
1. 問診
頭痛の方を診断する場合、患者さんのお話が最も重要になってきます。事前問診の内容に加えて、必要な情報を細かく聞いていきます。
2. 身体診察
頭痛の原因として、片頭痛や緊張型頭痛以外の重篤な病気が隠れていないか、診察を行います。この時点で、髄膜炎や脳出血などの重篤な病気が疑われた場合には、すぐに専門の医療機関をご紹介いたします。
3. 薬の処方
特に検査が必要になることは少ないです。重症度にあった飲み薬の治療を開始していきます。頭痛を繰り返すような方は定期的な通院も必要になります。