健康診断で「中性脂肪が高い」と言われたことはありませんか?血液の中の中性脂肪の量が多い状態のことを「高トリグリセライド血症(こうトリグリセライドけっしょう)」といいます。放っておくと動脈硬化(どうみゃくこうか)などの危険な病気の原因となる可能性があるため注意が必要です。中性脂肪の高さを指摘されたらどうすればよいのか、高トリグリセライド血症の特徴や治療について解説します。
高トリグリセライド血症とは
高トリグリセライド血症とはどのような状態のことをいうのでしょうか。まず初めに、高トリグリセライド血症の特徴や症状について解説します。
高トリグリセライド血症ってどんな状態?
トリグリセライドは、血液の中の脂肪の1つである中性脂肪のことです。高トリグリセライド血症は、血液の中の中性脂肪の量が基準より多い状態のことをいいます。血液中の中性脂肪の量が増えると、血液がドロドロの状態になってしまい、放っておくと動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞などの原因になったり、急性膵炎(すいえん)の原因になるといわれています。
脂肪の摂りすぎと高トリグリセライド血症
中性脂肪は、食べ物の中に含まれているいわゆる「脂肪」です。脂肪はエネルギー源として大切ではありますが、摂りすぎると高トリグリセライド血症になったり、体脂肪として蓄えられて肥満の原因となったりします。痩せている人でも高トリグリセライド血症を指摘されることがあります。そういう方は、食事から摂った脂肪が血液の中にたまりやすい体質である可能性があります。
どんな症状が出ますか?
中性脂肪が血液の中に増えすぎても、それだけで何かの症状が出ることはありません。健康診断を定期的に受けて検査をすることが大切です。
高トリグリセライド血症の原因
高トリグリセライド血症は遺伝が原因となる場合もありますが、多くの場合、次のような生活習慣の乱れが原因となって起こります。
- 炭水化物やの摂りすぎ
- お酒の飲みすぎ
- 運動不足
このことから、高トリグリセライド血症を改善させるためには生活習慣の見直しが不可欠であることが分かります。
高トリグリセライド血症の診断基準
高トリグリセライド血症は血液検査の結果によって診断されます。ここでは高トリグリセライド血症の診断基準について解説します。
診断基準
トリグリセライド(中性脂肪)の基準値は30~149mg/dLです。そのため、150mg/dL以上あると高トリグリセライド血症と診断されます。
検査結果は食事の影響を受けやすい
トリグリセライドの値は食事の影響を受けやすく、検査の前に脂肪分の多い食事を摂ったりお酒を飲んだりすると高値になりやすくなります。健康診断を受ける場合、前日の夜から食事やお酒を摂取しないようにすることが一般的です。検査は医療機関の指示を守って受けるようにしましょう。
高トリグリセライド血症の治療
高トリグリセリド血症の治療は、食事や運動などの生活習慣の見直しが基本です。ここでは食事療法や運動療法の方法と、それらを行っても改善しない場合の薬による治療について解説します。
食事療法
日々の食事では次のようなことに気を付けるようにしましょう。食生活の見直しは高トリグリセリド血症の改善に直結しやすいです。
- 腹八分目を心がける
- 脂質だけでなく、糖質の摂りすぎにも気を付ける
- 間食や飲酒を控える
- 肉より魚をメインとした食事にする
- 食物繊維を多く摂る。野菜や海藻、きのこなどがおすすめ
また、寝る前に食事を摂るとエネルギーとして消費されず、中性脂肪になりやすくなります。食事は寝る2時間前までには済ませ、食事の量も軽めにすることを心がけると良いでしょう。
運動療法
余分なエネルギー源を体にためこまないよう、生活の中に運動を取り入れてエネルギーを消費させることも大切です。ウォーキングや軽いジョギングなど、取り組みやすいものから始めましょう。駅ではエスカレーターを使わず階段を使う、歩ける距離ならば車を使わずに徒歩で行くようにするなど、ちょっとした工夫で運動量を増やすことも可能です。
薬による治療
食事や運動の習慣を見直しても検査値が正常化しない場合には、トリグリセライドを減らす働きのあるフィブラート系の薬を使って治療する場合もあります。ただし、腎臓の機能の悪い人には使えなかったり、飲み合わせに注意が必要な薬があったりするため、治療が必要かどうかも含めてまずは主治医に相談することをおすすめします。
クリニックプラスでの高トリグリセライド血症の診療の流れ
①問診
高トリグリセライド血症が疑われる方には、普段どのような食生活をされているかや運動習慣の有無などを聴取させていただきます。あらかじめLINE問診票でお答えいただけますといくらかスムーズに診療が進みます。また、健康診断で既に高トリグリセライド血症を指摘されている方は、結果を持参ください。
②身体診察
高トリグリセライド血症に関連して、合併症を疑うような所見がないかなど、医師が丁寧に診察を行います。
③検査
血液検査でトリグリセライド値を測定します。既に健診で指摘されている方も、再検査を行いますので、当日は食事をとらないで受診ください。食後採血だと正しいトリグリセライド値が出ないため、日を改めて再検査になることがありますので、ご注意ください。
④生活指導および処方
生活習慣病において最も大切なのは、生活習慣の是正です。普段とっている食事や運動、嗜好品などを聴取し、改善できる部分に関して指導を行っていきます。生活習慣の是正だけではコントロールが不十分な場合、薬を処方します。定期的に採血を行い、トリグリセライド値の推移をみながら、薬の量を調整していきますので、飲み忘れがない様にご注意ください。
クリニックプラスでは働く世代の方々の高トリグリセライド血症をはじめ糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防、管理に力を入れています。生活習慣病の治療は、日々の生活習慣の改善と、薬の内服・通院を継続していくことが重要ですが、仕事でお忙しい方々はそこがなかなか難しいかと思います。クリニックプラスでは、事前LINE問診や、事前クレカ決済システムなど、テクノロジーを活用することで待ち時間を少しでも短くする取り組みを行っています。また、平日は夜の8時まで、さらには土日祝日も毎日営業することで、通院しやすい体制を整えています。高トリグリセライド血症は自覚症状があまり出ないため、なかなか病気という認識を持ちにくいかもしれませんが、重篤な疾患の引き金になり得ます。健康診断などでトリグリセライド値が高いといわれた方はぜひ一度相談に来てください。