生活習慣に特に問題が無いのに血糖値が高いという場合、「二次性糖尿病(にじせいとうにょうびょう)」の可能性があるかもしれません。他に治療中の病気があったり、ステロイドなどの薬剤を投与している場合には、その病気や薬剤が糖尿病を引き起こすことがあります。このように、病気や薬によって引き起こされる糖尿病のことを二次性糖尿病といいます。二次性糖尿病は、糖尿病を引き起こしている原因に対し、早期に適切な対応を行うことで多くの場合改善させることができます。ここでは二次性糖尿病の特徴や原因、治療について解説します。
二次性糖尿病とは
糖尿病には1型糖尿病や2型糖尿病の他に、二次性糖尿病と呼ばれるタイプのものがあります。まず初めに二次性糖尿病の特徴について解説します。
二次性糖尿病とは?
二次性糖尿病は、なんらかの病気や薬剤の投与が原因となって起こる糖尿病のことをいいます。血糖値は、血糖を下げるホルモンであるインスリンと、血糖を上げる多くのホルモンのバランスによって正常に保たれています。二次性糖尿病は病気や薬剤投与によって、そのバランスが崩れることで発症します。
どんな人がなりやすいの?
詳しいことは分かってはいませんが、2型糖尿病と同様に、肥満の方や遺伝的に糖尿病になりやすい方は注意が必要であるといわれています。
二次性糖尿病の原因は?
どのような病気や薬剤が二次性糖尿病の原因となるのでしょうか。ここでは二次性糖尿病の原因となる病気や薬剤について解説します。
二次性糖尿病の原因となる病気
二次性糖尿病の原因となる病気には次のようなものがあります。
①内分泌系(ないぶんぴつけい)の病気
次のような内分泌系の病気になると、血糖を上げるホルモンが多く出てしまうことから高血糖を起こし、糖尿病になってしまうことがあります。
・クッシング症候群
・先端巨大症(せんたんきょだいしょう)
・グルカゴノーマ
・アルドステロン症
・甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
・褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)
②膵炎(すいえん)
すい臓からインスリンが分泌できなくなるために糖尿病を引き起こすことがあります。
③肝臓の病気
肝臓での血糖コントロール機能がうまく働かなくなり、糖尿病を引き起こすことがあります。
・慢性肝炎(まんせいかんえん)
・肝硬変(かんこうへん)
④感染症
感染症にかかると、サイトカインという、インスリンが効きにくくなる物質が体の中に増え、血糖値が上がって糖尿病を引き起こすことがあります。
二次性糖尿病の原因となる薬剤
二次性糖尿病の原因となる薬剤には次のようなものがあります。
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ステロイド
飲み薬だけではなく、注射剤や吸入ステロイドでも起こるため注意が必要です。 -
インターフェロン
ウイルス性肝炎などの治療に使用される薬です。 -
一部の抗がん剤
二次性糖尿病の症状は?どのような検査が必要?
2型糖尿病と同じく、二次性糖尿病の場合も初期には自覚症状がありません。原因となっている病気や薬剤によっては、空腹時の血糖値が高くなくても食後に高血糖となる場合があります。空腹時血糖だけでなく、食後の血糖値や、過去1~2ヶ月の血糖の平均が分かるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の測定、尿糖(にょうとう)が出ていないかの検査などにより、早期に発見することが大切です。
二次性糖尿病の治療
二次性糖尿病はどのように治療していくのでしょうか。ここでは二次性糖尿病の治療や経過について解説します。
二次性糖尿病はどうやって治療するの?
何らかの病気が原因で二次性糖尿病が引き起こされている場合には、糖尿病の治療と同時に原因となっている病気の治療を行います。薬剤の投与によって引き起こされている場合には、原因となっている薬剤の投与を中止するか、中止できない場合にはインスリン注射などによる治療を行います。
二次性糖尿病は治るの?
原因となっている病気の状態が治療によって改善すると、多くの場合、糖尿病は治ります。しかし、原因となる病気が改善しない状態が長く続くと、治療後も糖尿病が残ってしまうことがあります。薬剤によって糖尿病が起きている場合、その薬剤を中止できなくても、インスリン注射などで血糖のコントロールがしっかりとできている場合には合併症も起こしにくく、それほど心配はありません。しかし、血糖が高いまま放置されたり、原因となる薬剤の投与が長期間続いたりした場合には、合併症を起こしてしまったり、薬剤を中止した後も糖尿病が残ったりすることがあります。二次性糖尿病は早期に発見し、原因に応じて適切な対応をしていくことが大切です。
クリニックプラスでの二次性糖尿病の診療の流れ
①問診
お困りの症状の他に、現在治療中の病気や、内服している薬などがないかを伺います。その中で二次性糖尿病のリスクがないかを判断していきます。既に他院で二次性糖尿病の治療を開始されている方もいるかと思います。そういった方は、事前に発症の経緯や、治療の経過について記載された紹介状をご持参いただけると診療がスムーズです。
②検査
血液検査を行います。空腹時の血液検査が必要なので、食事は召し上がらないでいらしてください。
③生活指導及び処方(経口糖尿病薬やインスリン注射製剤)
二次性糖尿病においても、2型糖尿病と同様に生活習慣の管理が重要です。普段とっている食事や運動、嗜好品などを聴取し、改善できる部分に関して指導を行っていきます。生活習慣の是正だけではコントロールが不十分な場合、飲み薬やインスリン注射製剤による治療を行っていきます。インスリン療法を施行中の方は、血糖測定記録表や低血糖症状の有無などを確認しながら、インスリン量の調整を行います。
また、原因となっている疾患や薬剤に対しても治療のアプローチをすることで、糖尿病の改善をはかります。
④専門病院への紹介
当院外来診療のみでは血糖のコントロールが不十分な場合や、原因となっている病気がまだ不安定な状態であれば、入院の上専門的な治療を要します。その際には速やかに提携している専門病院へご紹介させていただきます。また、糖尿病三大合併症が出現した際にも、必要に応じて、更なる専門的な検査を行ってもらうために、しかるべき医療機関をご紹介させていただきます。
糖尿病の治療をしていく上で、日々の生活習慣の管理と、クリニックへの通院が非常に重要です。クリニックプラスは、日々お忙しい方でも通院しやすいように、事前LINE問診や、事前クレカ決済システムなど、テクノロジーを活用することで待ち時間を少しでも短くする取り組みを行っています。また、平日は夜の8時まで、さらには土日祝日も毎日営業することで、通院しやすい体制を整えています。二次性糖尿病でお困りの方は、是非一度ご相談にいらしてください。