性器周辺の症状で「性感染症なのかな」と不安に思っている方はいませんか?
なんとなく病院に行きにくい、パートナーに言いにくいという気持ちから、受診を先延ばしにしたくなるかもしれません。
しかし、性感染症は、早めに治療を開始したほうがよい場合が多いです。不妊の原因になったり、母子感染で胎児に影響したりすることもあります。思い当たる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。
性感染症と自覚症状・治療
代表的な6つの性感染症について、自覚症状と治療期間の目安をご紹介します。
梅毒
梅毒トレポネーマという細菌による感染症です。潜伏期間が長いだけでなく、症状が現れたり消えたりするという特徴があり、診断が遅れてしまうことが少なくありません。
【症状】
・第I期
感染から3週間ほどで、性器周辺や口、肛門などに小さな発疹ができ、1か月ほどで自然に消えます。
・第II期
感染から3か月ほど経つと、手のひらや足の裏、体などに「バラ疹」と呼ばれる赤い発疹が生じます。発熱やリンパ節の腫れ、倦怠感などの症状も出現します。この症状も、数か月で自然と消失しますが、梅毒が治ったわけではありません。
・第III期、第IV期
感染から3年目以降で、「ゴム腫」と呼ばれるできものが、骨・筋肉・内臓に広がります。
【治療】
ペニシリン系の抗菌薬の内服、あるいは注射で治療をおこないます。
L小見出し 尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因の感染症です。HPVには80種類以上の型がありますが、中でもHPV6型、11型、16型に感染すると尖圭コンジローマを発症します。
【症状】
男性なら陰茎や陰嚢、女性なら大小陰唇や腟に、表面がとげとげとしたイボができます。イボによる違和感やかゆみ、痛みを感じる場合もありますが、自覚症状はあまりないことも多いです。
【治療】
自然に消退することもありますが、パートナーへ感染を広げたり、稀にがん化したりすることもあるため、治療を受けましょう。外科的に切除するほか、液体窒素で凍らせる方法やレーザー治療も選択肢です。かぶれの副作用が強いですが、外用薬もあります。
性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルスによる感染症です。
【症状】
性器や肛門の周辺に、小さな水ぶくれが多数できます。水ぶくれが破れると強い痛みが生じるだけでなく、排尿や歩行も難しくなることが多いです。男性よりも女性の方が症状が悪化しやすく、再発を繰り返してしまう場合もあります。
【治療】
抗ウイルス作用のある外用薬か内服薬で治療をおこないます。初発の場合、内服薬は5日間服用します。
淋菌感染症
淋菌という細菌が原因の感染症です。次に紹介する「クラミジア」と同時に感染していることが多く、区別も難しいです。
【症状】
男性は排尿時の痛み、尿道から膿やねばついた分泌物が出るといった症状が多いです。症状が進むと、全身の発熱や陰嚢の腫れを生じます。
女性は自覚症状がない場合が多いですが、下腹部痛やオリモノの増加を感じることがあります。
【治療】
点滴抗菌薬で対応します。
L小見出し 性器クラミジア感染症
感染者数が最も多い性感染症で、不妊の原因になることもあります。
【症状】
男性は軽度の排尿時の痛み、尿道からサラッとした膿が出るといった症状が中心です。女性は、排尿時の痛みのほか、オリモノの増加、性交渉時の痛みなどを感じます。
目が赤くなる、目ヤニが出るなど、目の症状が出る場合もあります。
【治療】
クラミジアに効果のある抗菌薬で対応します。
HIV感染症
エイズウイルスによる感染症です。いったん風邪などの症状が出たあと、しばらくは無症状の期間が続きます。治療をしなければ、数年〜数十年の無症状期間を経てAIDS(後天性免疫不全症候群)を発症します。
【症状】
感染から2〜6週間で、発熱やだるさ、下痢など風邪のような症状があらわれ、自然に消退します。その後、AIDSを発症すると、体の免疫が大きく低下します。そのため、健康な人ならかからないような感染症を発症したり、悪性腫瘍を生じたりするようになります。
【治療】
エイズウイルスを、体内から完全に排除する薬は開発されていません。HIV感染症がわかったら、ウイルスの増殖を抑える薬を服用し、AIDSの発症を予防することが大切です。
現時点では、治療として抗ウイルス薬を生涯内服します。
性感染症を予防するには?
性感染症にならないために、注意したい点は2つです。
コンドームを使用する
性交渉の際は、コンドームを着用しましょう。避妊方法として低用量ピルも普及してきていますが、性感染症の予防にはなりません。
また、コンドームは正しく着用できているかどうかも重要です。使用方法が間違っていないか、今一度たしかめましょう。
<コンドームの使用方法>
- 爪などで傷つけないように袋から出す。
- 陰茎が完全に勃起してから、パートナーの性器に触れる前に着用する。
- コンドームを陰茎の根本までしっかりとおろす。
- 射精したら、コンドームの根元をおさえながら、精液が漏れないように抜く。
パートナーを限定する
性感染症予防のためには、性的なパートナーは限定したほうがよいです。
お互い以外との性交渉がなければ、基本的には性感染症には罹患しません。多数のパートナーがいれば、それだけ感染のリスクは高くなります。
性感染症かもと思ったら
性感染症かもと思ったら、どこで検査を受ければよいのでしょうか。2つのパターンをご紹介します。
婦人科・泌尿器科を受診
性感染症かもと思ったとき、基本的に女性は婦人科、男性は泌尿器科を受診しましょう。
一般的な内科や皮膚科でも検査・治療ができる場合もあります。婦人科・泌尿器科以外を受診したい場合は、事前にどのような症状なのか、受診可能かどうかを問い合わせるとスムーズでしょう。
保健所でも検査可能
各地域の保健所で、HIVに関して無料・匿名で検査を受けることができます。心配なできごとがあったときなど、活用してください。地域によっては、梅毒などその他の性感染症についても検査できる日程を設定していることがあります。
ただし、保健所で治療はできませんので、感染がわかった場合には婦人科や泌尿器科を受診しましょう。
クリニックプラスでの性感染症の診療の流れ
※性感染症の対応は高円寺院のみになります。あらかじめご了承ください。
①問診
症状についてお話をききます。事前にLINE問診であらかじめお答えいただくと、診察がスムーズに行われます。
②身体診察
症状の部位に合わせて、黄疸の有無や皮疹の有無及び咽頭や陰部に異常がないかを確認します。なお、女性の場合は陰部の診察はしません。
③検査
疑わしい疾患により採血や咽頭うがい液・尿検査など施行いたします。
④内服薬や点滴による治療
検査結果により、点滴や内服薬による抗菌薬加療をします。
⑤専門病院への紹介
B型肝炎やC型肝炎の治療が必要なときは近医消化器内科に紹介を、またHIV感染症の治療が必要な場合はHIV拠点病院に紹介いたします。
クリニックプラス高円寺では性感染症の診療を行っております。事前LINE問診や、事前クレカ決済システムなど、テクノロジーを活用することで待ち時間を少しでも短くし、通院しやすい体制を整えています。ご心配な方はぜひ一度相談にいらしてください。