健康診断でコレステロールや中性脂肪が高いと指摘されたことはありませんか?
そのような状態を脂質異常症(高脂血症)といいます。
脂質異常症は自覚症状がないため放置されがちですが、そのままにしておくと動脈硬化(どうみゃくこうか)、さらには心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく)などの重大な病気を引き起こしてしまうリスクがあり、改善には生活習慣の見直しが大切です。
ここでは、脂質異常症の特徴やその改善方法について解説します。
脂質異常症(高脂血症)とは
脂質異常症は、以前は高脂血症と呼ばれていました。脂質異常症はどのような病気なのでしょうか。
まず初めに、脂質異常症の特徴や放置した場合のリスクについて解説します。
脂質異常症(高脂血症)
脂質異常症は、脂質の代謝に異常が生じ、血液中の脂肪分が増えすぎている状態のことをいいます。
いわゆる「血液がドロドロ」の状態です。
この状態が続くと、さまざまな病気の発症リスクが高まるため注意が必要になります。
脂質異常症(高脂血症)の原因は?
原因の多くは、食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足とそれに伴う肥満やストレスです。
脂質異常症の原因の8割がこうした生活習慣によるものだといわれています。
その他、遺伝や他の疾患が原因となっている場合もあります。
脂質異常症(高脂血症)の症状は?
脂質異常症には自覚症状はほとんどありません。
日常生活に支障がないため、つい放置してしまいがちです。
放置するとどうなりますか?
脂質異常症を放置すると、増えすぎた血液中の脂肪が血管の内側に少しずつたまっていき、血管が硬くもろくなる動脈硬化を引き起こしてしまいます。
動脈硬化になっても自覚症状はほとんどありません。
知らないうちに進行し、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞のような命に関わる病気を発症して、その重大さに気づくという場合も少なくないのです。
脂質異常症(高脂血症)のタイプと診断基準
脂質異常症は、数値に異常のある脂質の種類によってタイプが分かれます。
タイプ別の診断基準と特徴について解説します。
血液中の脂質の種類
血液中の脂質は大きく「コレステロール」と「中性脂肪(トリグリセライド)」の2種類に分けられます。
コレステロールはさらに、善玉コレステロールであるHDLコレステロールと、悪玉コレステロールであるLDLコレステロールに分けられます。
動脈硬化の原因となるのは、悪玉のLDLコレステロールです。
逆に、善玉のHDLコレステロールには、余分なコレステロールを回収してくれる働きがあるため、多い方が動脈硬化の予防になるといわれています。
脂質異常症(高脂血症)の診断基準
脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪の値を測定することで診断します。
診断基準は、以下の表のとおりです。
高LDLコレステロール血症
血液中に悪玉のLDLコレステロールが増えすぎている状態を、高LDLコレステロール血症といいます。
脂質異常症の中で、もっとも動脈硬化につながりやすいのがこのタイプです。
高LDLコレステロール血症の患者さんの中には、生まれつき血液中のLDLコレステロールが増加してしまう「家族性高コレステロール血症」の方もいます。
高LDLコレステロール血症の中でも特に重症で、動脈硬化が進みやすく心臓病を発症しやすいことから、早めの治療が推奨されています。
低HDLコレステロール血症
HDLコレステロールは、動脈硬化の原因となるLDLコレステロールが血液中に増えすぎたとき、余分なコレステロールを吸い取ってくれる掃除機のような働きがあります。
そのため、HDLコレステロールの値は高い方が良いのです。
HDLコレステロール値が低い場合を、低HDLコレステロール血症と呼び、保健指導の対象となることがあります。
特に、HDL値が40mg/dl以下になると、心臓病の発症リスクが急激に高まるため注意する必要があります。
高トリグリセライド血症
トリグリセライドは中性脂肪のことで、中性脂肪が血液中に増えすぎている状態のことを、高トリグリセライド血症と呼びます。
高トリグリセライド血症は動脈硬化ばかりでなく、急性膵炎や、糖尿病患者さんの合併症の進行を速める原因になることもあります。
脂質異常症(高脂血症)を改善するには?
脂質異常症を指摘された場合、どのような治療を行えばコレステロールや中性脂肪を下げることができるのでしょうか。
脂質異常症の治療方法について解説します。
まずは生活習慣の見直しから
脂質異常症ではどのタイプであっても、生活習慣の見直しが治療の基本となります。
食生活の改善や適度な運動、節酒や禁煙に取り組むようにしてください。
薬による治療
生活習慣を見直しても脂質の値が高い、どうしても生活習慣の改善が難しいという場合は、薬による治療も考えます。
ただし、コレステロールを下げる薬には副作用もあります。
まずは、できるだけ薬を使わずにコントロールすることを目指すようにしましょう。
生活習慣の改善がうまくいかないなど不安がある場合には、一人で悩まず、医師に相談するようにしてください。
脂質異常症で来院された方の当院での診療の流れ
1. 問診
まず、食事の摂取状況や体重の変動などについてお話を伺います。
初回の場合は、遺伝性に発症していることもあるので、ご家族にも脂質異常症の方はいないかなどを質問します。
2. 身体診察
脂質異常症に伴い、動脈硬化が進行し、心臓や血管に異常をきたしていないか、医師が丁寧に診察を行います。
3. 検査
定期的に血液検査を行い、コレステロールの値の推移を観察します。
血液検査を行う場合は、事前に食事をしないようにご注意ください。
食事をすることで、コレステロールの値が高く出てしまいます。
4. 生活指導および処方
生活習慣病において最も大切なのは、生活習慣の是正です。
普段の食事や運動、嗜好品などを聴取し、改善できる部分に関して指導を行っていきます。
生活習慣の是正だけではコントロールが不十分な場合、薬を処方します。
コレステロール値の推移をみながら薬を調整していきますので、飲み忘れがないようにご注意ください。
クリニックプラスでは、働く世代の方々の脂質異常症(高脂血症)をはじめ、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防、管理に力を入れています。
生活習慣病の治療は、日々の生活習慣の改善と、薬の内服・通院を継続していくことが重要ですが、仕事で忙しい方はそこがなかなか難しいと思います。
クリニックプラスでは、事前LINE問診や事前クレカ決済システムなど、テクノロジーを活用することで待ち時間を少しでも短くする取り組みを行っています。
また、平日20時まで、土日祝日も毎日診療することで、通院しやすい体制を整えています。
脂質異常症は自覚症状があまりないため、なかなか病気という認識を持ちにくいかもしれませんが、重篤な疾患の引き金になり得ます。
健康診断などで脂質異常症を指摘された方は、ぜひ一度相談にいらしてください。