天候の変化に伴って、もともと持っている頭痛や肩こり、腰痛などの持病が悪化することを「天気痛」といいます。
天気痛は天候の変化のどのタイミングで、どのような症状が悪化するかを予測して、予測に応じた対処をするのが大切です。
ここでは、天気痛の概要から原因、症状、診察内容、治療方法などを解説します。
頭痛を例にした受診の目安も記載していますので、天候の変化で頭痛が悪化する方は参考にしてください。
天気痛とは、天候(気圧)変動に伴う体調不良
天気痛とは、天候の変化に伴って生じる体調不良のことです。
「気象病」や「気象関連痛」とも呼ばれており、頭痛や肩こり、腰痛などその人がもともと持っている持病が悪化します。
天気痛の人の割合は、女性のほうが多いです。
天気痛により悪化する症状は、全体の50〜60%が頭痛です。
ここでは、最も割合の多い頭痛を主題として解説します。
天気痛が起きる原因は気圧の変化
天気痛が起きるメカニズムは、はっきりとしていません。
気圧・気温・湿度などの気象の中で、特に気圧の変化が関係するといわれており、中でも頭痛には気圧の変化が大きく影響しているようです。
気圧の変化により頭痛が悪化する流れは、次のとおりです。
- 気圧の変化を内耳(身体のバランスや聴覚に関係する器官)が受け取る
- 内耳から脳に伝わり、自律神経(生命維持に必要な機能を調整している神経)に影響を与える
- 自律神経が活性化してしまい、痛みを発生させる
このようなメカニズムのため、内耳が繊細な人は天気痛を起こしやすいといえるでしょう。
同様に、自律神経が繊細な人は、温度や湿度の変化により体調不良を起こしがちです。
季節の変わり目や寒暖差で体調を崩す原因は、自律神経による影響が大きいといえます。
天気痛の症状は頭痛が多い
天気痛の症状で多いのは、頭痛といわれています。
特に多いのは、ズキンズキンとした痛みを伴う片頭痛や、筋肉の緊張により生じる緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)の悪化です。
天気痛の他の症状は、次のとおりです。
- 関節痛
- 全身のだるさ
- 低血圧
- めまい
- 動悸
- 耳鳴り
- 肩こり・首のこり
- 古傷の痛み
関節リウマチや腰痛症など、天候の影響を受けやすいといわれている病気を持っている方は、天気痛が出現しやすいでしょう。
天気痛が続くと、気分が落ち込んで何もする気になれない抑うつ状態になる方もいます。
これらの状態も総称して天気痛と呼ばれています。
天気痛の診察は問診がメイン
天気痛に明確な診断基準はありません。
受診の際に天気痛を疑われた場合は、チェックリストなどを用いて診察します。
チェックリストは複数考案されていますが、一部を紹介すると次のとおりです。
- もともと頭痛を持っている
- なんとなく「雨が降りそうだ」とわかる
- 耳鳴りがしやすい
- 乗り物酔いをしやすい
- 骨折や捻挫をしたことがある
- 普段から肩こりや腰痛、膝の痛みがある
症状によっては問診以外の検査が行われます。
例えば、危険な頭痛症状が見られた場合は、頭部CTや頭部MRIなどの検査を実施します。
天気痛の症状はその人により様々ですので、頭痛なら頭痛外来、めまいなら耳鼻科、など症状に合わせて受診先を決めましょう。
天気痛の治療方法と解消法
ここでは、天気痛の治療方法と解消法を解説します。
天気痛の治療は、3Y療法が提唱されている
「3Y療法」とは、予測・予兆・予防を組み合わせた療法です。
3Y療法の具体的な内容は次の通りです。
- 天候の変化による天気痛の症状を「予測」する
- 予測している症状の「予兆」があるときに対策を実施する
- 対策により症状を「予防」する
特に予測が重要です。天気痛の症状を予測しなければ、適切な対処ができないためです。
症状の予測を正確にするためにも、天気痛日記の記録方法の指導を行います。
天気痛が、天候(気圧・温度・湿度・空模様など)の変化のどのタイミングで出現、または改善するかを確認して記載します。
3Y療法は有効な治療方法と提唱されていますが、片頭痛や緊張型頭痛など、もともと持っている病気や症状の改善も重要です。
天気痛は生活習慣の改善が大切
天気痛を持つ方は、生活習慣が乱れていることがあります。
生活リズムを整えるためには、朝起きたら太陽の光を浴びて朝食を摂るなどが有効です。
天候の変化により頭痛が悪化した場合は、首や肩甲骨のストレッチ、内耳の血行をよくする耳のマッサージなどが効果的です。
暖かいペットボトルやホットタオルなどで、耳を温めるだけでも症状を和らげることができるでしょう。
天気痛の受診の目安
天気痛の受診の目安は「日常生活に支障が出ているか」「これまでとは違う症状であるのか」などです。
例えば、頭痛の受診の目安は次のとおりです
- 強い頭痛が現れる時や頭痛の頻度が高く、日常生活に支障をきたす場合
- 頭痛に対する不安感が強い場合
- 市販の鎮痛薬を内服しているのに、頭痛が改善しない場合
- これまでの頭痛とは様子が違う場合、特に40歳以上の方
- 強い頭痛があり、目が充血している場合(頭痛の内容によっては緊急性が高い場合があります)
次のような普段とは違う症状が出ている場合は、受診を検討しましょう。
- 突然の激しい頭痛
- 今までにない頭痛
- 持続するまたは悪化する頭痛
- 発熱や首の硬直を伴う頭痛
- 視力障害、言語障害、麻痺、しびれなどの症状が伴う場合
- 意識が朦朧(もうろう)とする、混乱する、または意識を失う場合
天気痛が疑われた方の当院での診療の流れ
1. 問診
頭痛の方を診断する場合、患者さんのお話が最も重要になってきます。
事前問診の内容に加えて、必要な情報を細かく聞いていきます。
2. 身体診察
頭痛の原因として、重篤な病気が隠れていないかなど診察を行います。
この時点で、髄膜炎や脳出血などの重篤な病気が疑われた場合には、すぐに専門の医療機関をご紹介します。
3. 薬の処方
特に検査が必要になることは少ないです。重症度にあった飲み薬の治療を開始していきます。
頭痛を繰り返すような方は定期的な通院も必要になります。
頭痛でお悩みの方は我慢をせずに受診しましょう。
クリニックプラスは平日20時まで、土日祝日も毎日診療しています。お気軽に相談にいらしてください。