爪まわりに炎症を起こす「ひょうそ」という病気についてご存じですか?
爪の横や根本が腫れて痛み、白黄色〜緑色に膿が溜まっていたら、「ひょうそ」かもしれません。ひょうその症状や原因、対処法についてご紹介します。
ひょうそとは
まずは、ひょうそという病気についてご紹介します。
ひょうその症状
ひょうそは、細菌などによる感染症で、化膿性爪囲炎(かのうせいそういえん)とも呼ばれます。小さな傷から細菌などが侵入し、炎症や腫れ、膿がたまるといった症状を起こします。腫れや炎症が重度になると関節が曲がらなくなったり、発熱する場合もあり、患部は小さいですが注意の必要な感染症です。
ひょうその原因となる状態・習慣
ひょうその原因になるような状態・習慣がいくつかあります。当てはまるものがないか、確認してみましょう。
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深爪、巻き爪である
深爪や巻き爪によって爪周囲の皮膚が傷つき、細菌が侵入してしまう可能性があります。
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ささくれができやすい
ささくれから細菌が侵入してしまう可能性があります。
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ネイルをしている
頻繁な甘皮処理や除光液の使用などで、爪周囲の皮膚がダメージを受け、細菌が侵入してしまうことがあります。
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指しゃぶり、爪噛み
指しゃぶりや爪噛みの癖によって、指の皮膚のバリア機能が低下したり、傷がついたりし、細菌が侵入しやすくなると考えられます。
ひょうその種類
ひょうそを起こす原因となる病原体によって、見た目が少しずつ異なります。
細菌性ひょうそ
最も多いのが、細菌性ひょうそです。黄色ブドウ球菌や連鎖球菌といった、ヒトの皮膚にもとから存在している細菌が原因になります。膿は、皮膚の上からはクリーム色〜黄緑色のように見えます。炎症が強く、痛みも強く出やすいのが特徴的です。
ヘルペス性ひょうそ
ヘルペスウイルスが原因のひょうそです。口唇ヘルペスなどを起こす「単純ヘルペスウイルス」が原因で、皮膚に小さな水疱(水ぶくれ)ができます。症状は爪の周囲だけとは限りません。手湿疹などと見た目が似ている場合もありますが、ヘルペス性ひょうそは水疱が多数できてチクチク、ピリピリとした痛みを伴う点が大きな相違点です。
カンジダ性ひょうそ
カンジダという真菌(カビ)が原因のひょうそです。カンジダは湿った環境を好むので、水仕事が多い方に生じやすいといわれています。皮膚の赤みのほか爪が白く濁ったりデコボコと変形したりといった症状があれば、カンジダ性ひょうそかもしれません。
ひょうその診断・治療
ひょうその診断方法、治療方法についてご紹介します。
ひょうその診断
患部の状態をみて診断します。腫れや膿の状態、痛みといった症状を確認するほか、必要に応じて水仕事の有無など生活状況をお伺いします。
ひょうそを繰り返す方や治療が奏功しない方などは、原因の細菌や真菌を調べるために膿をとって培養検査することもあります。
ひょうその治療
ひょうその治療には、原因の病原体に合わせた外用薬や内服薬を使います。医師の指示通りに使ってください。膿が溜まっている場合は、皮膚を少し切開して膿を出す処置も効果的です。爪の下に膿が溜まってしまっている場合は、爪を切除して膿を出す必要があるかもしれません。
巻き爪が皮膚に食い込んでいてひょうその原因になっている場合は、巻き爪の処置をおこないましょう。
ひょうその対処法・予防法
ひょうそを悪化させないため、また、ひょうそにならないために、できる対策をお伝えします。
自分で膿を出すのはNG
ほんの少しの膿であれば、「自分で出してしまおう」と考える場合もあるでしょう。ですが、膿の処置をご自身でおこなうのは控えてください。
針や爪切りなどで傷をつけると、そこから細菌が入り、さらに炎症が悪化してしまう可能性があります。とくに、糖尿病の方や免疫抑制剤や抗がん剤などを使用している方は、そうでない方よりも細菌感染に弱いです。膿をご自身で処理せず、病院で処置を受けるようにしましょう。
深爪しない
深爪をする習慣のある方は、切りすぎないように意識しましょう。
爪の角が皮膚よりも前に出るように切るとよいです。全体的な長さだけでなく、爪の角を切りすぎないように注意してください。爪が皮膚に食い込むようであれば、巻き爪の可能性がありますので、ご相談ください。
巻き爪治療をする
巻き爪によって爪が皮膚に食い込んでしまうと、ひょうその原因になるほか、痛みで歩きにくさが出てしまう可能性もあります。巻き爪は皮膚科で継続的に処置をすることで改善が期待できるものです。巻き爪の方はご相談ください。
水虫治療をする
水虫の原因である「白癬菌」が原因でひょうそを起こすこともあります。
爪に症状の出る「爪水虫」の場合は市販薬で治療ができません。水虫は治りにくく、治療が長期にわたるため、途中で中断してしまう方も多いです。同居のご家族にうつることも十分に考えられますので、悪化する前に、ぜひ皮膚科にご相談ください。
スキンケアをしっかり
手荒れやささくれなどの小さな傷からも、細菌が侵入する可能性があります。指先までしっかりとスキンケアをおこない、皮膚のバリア機能を保つことが大切です。
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キズのあるときは砂遊びなどを控える
お子さまの場合、指先にキズがあるときは砂遊びなど汚れやすい遊びは控えるようにしましょう。汚いものに触れてしまったときは、消毒薬を使う必要はありませんが、石けんで丁寧に手を洗ってください。
クリニックプラスでのひょうその診療の流れ
①問診
症状などの病歴について話を聞きます。LINEの事前問診にお答えいただくと、診療がスムーズに行われます。
②診察
患部の診察を行います。皮膚疾患の診断は視診が重要です。医師が丁寧に診察を行っていきます。
③検査
必要に応じ患部の皮膚を数か所採取し、細菌や真菌の顕微鏡検査や培養検査をします。
④治療
皮膚の下に膿が溜まって居るようであれば、表面を切開して排膿します。膿が皮膚の奥で切開が難しい場合は行いません。抗生物質の内服薬を数日間使用します。
ひょうそはごくありふれた疾患です。お悩みの方は、医療機関を受診することで、解決するかもしれません。クリニックプラスでは、皮膚科専門医による診断治療が受けられます。是非一度ご相談にいらしてください。