尋常性疣贅(イボ)とは
イボは、「皮膚から盛り上がってできる小さなできもの」のことを指します。
イボの原因は、ウイルス感染、紫外線、摩擦、加齢性の変化などさまざまです。
これらの原因のうち、特にヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって生じるイボを尋常性疣贅といい、最も一般的なイボがこれにあたります。
HPVには実に150種類以上の型があり、どの型のHPVに感染するかで病名が違い、それぞれ感染しやすい場所や、イボの見た目が変わってきます。
尋常性疣贅以外にも、代表的なウイルス性イボのできやすい場所をまとめてみました。
◆尋常性疣贅…手足の指、手の平、足の裏、爪の周囲や爪の下
◆扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)…手の甲、顔(額や頬)
◆尖圭(せんけい)コンジローマ…陰部(デリケートゾーン)
これらウイルス性のイボは感染します。感染経路は、人から人に直接接触することで感染していきます。
自分の身体の中でも直接接触することで、手から足など飛ぶように感染していく場合もあります。
他にも、銭湯や温泉施設、ジム、プールなどの公共施設で感染することもあります。
尋常性疣贅(イボ)の検査
イボの検査はダーモスコピーという拡大鏡で、ウイルスによって増殖した毛細血管を確認することで診断が可能です。
表面を削り取った時に、毛細血管から生じる点状出血を確認することでも診断につながります。
尋常性疣贅(イボ)の治療
当院で行っているイボの治療法としては、以下のようなものがあります。
①液体窒素療法
最新のガイドラインでも強く推奨されている治療法が、液体窒素療法です。
当院では皮膚科専門外来で液体窒素療法を行っております。
-196℃の液体窒素をイボとその周辺に、綿棒やスプレーで当てることで、ウイルスを殺していきます。
液体窒素を当てるときに多少の痛みを伴いますが、痛みは数日で自然に引いていくことがほとんどです。
ガイドラインでは「イボの周囲を含めて凍結を3回繰り返すことを1〜2週間ごとに行うこと」が推奨されており、定期的な通院が必要になります。
治療期間は、イボの場所・深さ・痛みにどこまで耐えられるかなどによって個人差があり、一概には言えませんが、「3~6か月程度」が1つの目安になります。
また、イボは再発しやすいので、拡大鏡で入念に再発していないことを確認しながら治療を行っていきます。
②サリチル酸(塗り薬・貼り薬)
硬くなっているイボなどに使用します。これにより、イボが柔らかくなって取れやすくなります。
サリチル酸単独の治療では、液体窒素療法に比べ効果は劣りますので、皮膚の状態に合わせて使用していきます。
③ヨクイニンエキス内服
ヨクイニンとは、ハトムギの皮を除いた種で、イボの治療が期待できますが、数か月〜数年の長期内服が必要です。
副作用としては、胃のむかつきや下痢症状などを認める方がいますが、比較的軽度のことが多いです。
イボが多発している時などに、液体窒素療法と併用していくのがおすすめです。
尋常性疣贅(イボ)で来院された方の当院での診療の流れ(診察所要時間目安:10〜15分)
1. 問診・診察
皮膚疾患は、見た目の診察と患者さんからのお話が診療のほとんどをしめます。
事前問診でお答えいただいた内容に加えて、診断に必要な情報や所見を集めます。
2. 検査
場合によっては、イボをメス刃で削った上で、ダーモスコピーを用いて診察します。
3. 治療
イボの治療は多くの場合、液体窒素療法を必要とすることが多いです。
患者さんと相談しながら、可能な限り患部に液体窒素を当てて、治療を行っていきます。
必要に応じて薬の処方なども併せて行います。
液体窒素療法は1〜2週間ごとに繰り返し行っていく必要がありますので、定期的な通院が必要になります。