円形脱毛症は、髪がよく抜ける、気づいたら円く脱毛している、といった容姿に関わる症状が出る上、治療に時間がかかることもあるため、発症した方にとっては辛い病気のひとつです。
抜け毛の症状が出る病気は他にもあり、円形脱毛症とは症状や治療が異なってくるので、あわせて説明します。
円形脱毛症について正しく理解し、適切な治療を受けましょう。
円形脱毛症とは
円形脱毛症の特徴と、抜け毛の症状が出るその他の病気について、解説していきます。
円形脱毛症の特徴
「円形脱毛症」は突然、楕円形ないしは円形の脱毛が起きることをいいます。
実際にはさまざまなタイプがあり、脱毛が多部位、広範囲に起きることもあります。
アトピー性皮膚炎や甲状腺などの病気を患っている方は、健常な方に比べて円形脱毛症の罹患率(りかんりつ)が高いという報告もあります。
脱毛症はほかにもある
円形脱毛症と同じように毛が抜ける病気には、さまざまなものがあります。
男性では男性型脱毛症(AGA:Androgenetic Alopecia)、女性では女性型脱毛症(FAGA:Female Androgenetic Alopecia)、びまん性脱毛症、産後脱毛などが知られています。
子どもで脱毛症を見たときには、抜毛症も疑わなければなりません。
それぞれ特徴、治療が異なるので、正確な診断と適切な治療が必要となります。
円形脱毛症の原因
円形脱毛症の原因は不明です。
最近では、円形脱毛症は自己免疫学的機序が関わっているのではないかと考えられています。
通常、外部からの異物・侵入物に対して攻撃し、身体を守る機能を免疫反応といいますが、自己免疫疾患では自身の身体の一部に対して、免疫反応が働いてしまうことで症状が起こります。
円形脱毛症は、リンパ球が毛根を異物と間違え攻撃してしまうことで、毛根に炎症が起きて髪が抜け落ちてしまうのです。
突然、元気な髪が抜け落ちてしまうのですが、なぜそのようなことが起こるのかは明らかになっていません。
遺伝的な素因や、精神的ストレスが関わっているともいわれています。
例えば、家族に円形脱毛症の人がいると発症しやすく、遺伝との関連がいわれています。
また、円形脱毛症はアトピー性皮膚炎に罹患している人に多いことが報告されています。
自己免疫反応を起こすきっかけとしては、ストレスなど精神的なもの、感染症や疲労といった肉体的な要因がいわれています。
寝不足や出産、ケガなどもきっかけになるかもしれません。
しかし、実際にはきっかけがはっきりとしないケースも多いようです。
ストレスがあまり強くないと考えられる乳児や幼児でも、円形脱毛症が重症化することがあるからです。
円形脱毛症の症状は?どんなタイプがある?
円形脱毛症という名称がついていますが、脱毛の部分が円形とは限りません。
円形脱毛症のタイプと自然経過について解説します。
5つのタイプに分類される
円形脱毛症は、脱毛の範囲や髪の抜けた部分、脱毛斑の数などにより5つに分類されています。
また、一般的に脱毛の範囲が広いほど重症で治りにくい状態といわれています。
脱毛部分が頭部全体の25%以上にみられる場合を重症としています。
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単発性通常型:脱毛斑が1か所のもの
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多発性通常型:脱毛斑が何か所かある
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全頭型:頭全体に脱毛が広がっている
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汎発型:脱毛の範囲が全身に及ぶ
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蛇行型:髪の生え際が帯状に抜けてしまう
円形脱毛症の自然経過
数か月の経過で自然治癒することがほとんどです。
しかし、脱毛が広範囲に及ぶ場合や、再発した場合には治りにくいこともあります。
その場合は医療機関へ通院しながら、根気よく治療を続けていかなければなりません。
また、再発が比較的多いことも特徴で、5年で40%程度の方が症状を繰り返すと言われています。
円形脱毛症の検査
円形脱毛症の診断は主に病歴から行いますが、合併症の検査を行うこともあります。
円形脱毛症の診断は病歴が重要
数か月の経過で自然治癒することが多い円形脱毛症ですが、診断の際には、家族に円形脱毛症の方がいるかといった、遺伝的な傾向や病歴が大切な情報になってきます。
医師は、症状の経過や合併症がないかよく観察し、必要に応じて適切な検査を行います。
円形脱毛症と診断された場合は、重症度も見ていきます。
髪を引っ張る牽引試験(プルテスト pull test)は、円形脱毛症の特異的な試験です。
ダーモスコピーという特殊な拡大鏡も診断の一助になります。
採血検査を行うこともある
アトピー性皮膚炎や甲状腺疾患など、円形脱毛症を発症しやすい合併症の有無などを確認するために、必要に応じて採血検査などを行います。
円形脱毛症の治療
円形脱毛症は程度により推奨される治療は異なります。
軽症の単純性通常型の場合には、自然に治ることもあるため主に塗り薬で経過をみますが、範囲が広くなるとより高度な治療が必要になっていきます。
ひとつの治療で効果をみるのに数か月かかり、効果がなければ次の治療へと進んでいくため、とても根気のいる治療です。
外用薬(塗り薬)
円形脱毛症で広く使われている塗り薬は、免疫を抑制する作用のあるステロイドの外用、それから血流をよくすることで脱毛部を小さくするカルプロニウム塩化物の外用などがあります。
内服薬
飲み薬で使われるのは、セファランチンやグリチルリチン、抗アレルギー薬などです。
いずれもアレルギー反応を抑える作用のある薬で、脱毛部位が小さくなるといわれています。
成人で円形脱毛症の重症例では、ステロイドの内服薬が使われることもあります。
その他の治療法
その他の治療法としては、ステロイドを局所に注射する方法、脱毛部位に紫外線をあてる紫外線療法や液体窒素などで冷却する治療を行うこともあります。
子どもの円形脱毛症
円形脱毛の方のうち、15歳以下が1/4程度を占めるといいます。
乳児や幼児でも重症の円形脱毛症を発症することがあります。
どのくらいで治るか
子どもの円形脱毛症の多くは単純性通常型で、多くが1年以内に治癒するといわれています。
しかし、まれではあるものの、重症例では治療が難しく、治るまでに長い時間を費やすケースもあります。
ストレスケアを大切に
脱毛による容姿の変化が大きなストレスとなることもあるため、整容的にウィッグ使用を勧めることもあります。
円形脱毛症は皮膚科の診察を
軽症の円形脱毛症は自然軽快することも多いですが、一朝一夕で治癒するものでもありません。
容姿に関することなので、ストレスを感じることも多いでしょう。
皮膚科を受診し、的確な診断と治療を受けながら、必要であれば髪型の工夫やウィッグ、スカーフなどを生活のなかに取り入れてみてください。
クリニックプラスでの円形脱毛症の診療の流れ
①問診
円形脱毛症の診断には病歴が重要です。
家族に円形脱毛症の方がいないか、円形脱毛症の原因となるような病気がないか、などを聞いていきます。
LINEの事前問診にお答えいただくと、診療がスムーズに行われます。
②診察
患部の診察を行います。皮膚疾患の診断は視診が非常に重要です。医師が丁寧に診察を行っていきます。
③検査
髪を引っ張る牽引試験や、ダーモスコピーという拡大鏡を用いた検査を行い、診断を行っていきます。
円形脱毛症を発症しやすい合併症が隠れていないか、必要に応じて血液検査で確認を行います。
④治療
当院では、外用薬や内服薬を用いて治療を行っていきます。
⑤専門病院への紹介
重症の方は専門病院へ紹介することもあります。
当院は、多くの専門医療機関と連携をとっておりますので、スムーズに紹介することが可能です。
円形脱毛症は定期的な通院が重要です。
クリニックプラスは、日々お忙しい方でも通院しやすいように、事前LINE問診や事前クレカ決済システムなど、テクノロジーを活用することで待ち時間を少しでも短くする取り組みを行っています。
また、平日は20時まで、土日祝日も毎日診療することで、通院しやすい体制を整えています。
円形脱毛症でお困りの方は、是非一度ご相談にいらしてください。