「フケが増えた」「顔や髪の生え際の皮が剥ける」といった症状にお悩みの方はいませんか?
その症状は、もしかすると「脂漏性皮膚炎」かもしれません。
脂漏性皮膚炎は「フケ症」とも呼ばれ、軽症も含めれば日本に500万人ほどの患者さんがいます。
今回は、脂漏性皮膚炎の原因や対処法について解説します。
脂漏性皮膚炎とは
脂漏性皮膚炎は、あまり聞き馴染みのない疾患かもしれません。
どのような症状が出るのか、また、発症の原因について解説します。
脂漏性皮膚炎の症状
皮脂の分泌が多い部分に、かゆみを伴う赤い湿疹やフケが生じる病気です。
フケの量が増えると、かさぶたのような見た目になります。
細かく皮が剥けて粉を吹いたようになったり、ウロコのように皮膚が剥がれたりすることも少なくありません。
脂漏性皮膚炎の種類
脂漏性皮膚炎は、子どもから大人まで発症する可能性のある皮膚疾患で、大きく2種類に分けられます。
●乳児型脂漏性皮膚炎
乳児型脂漏性皮膚炎は、生後2~3週目ごろから発症します。
乳児のうち5%ほどが発症するといわれており、それほど珍しい病気ではありません。
生後半年~1年までの間に自然に治ることが多いので、心配しすぎなくても大丈夫です。
ただし、かゆみによって肌を搔いてしまうと悪化することもあるため、しっかりスキンケアを行いましょう。
●成人型脂漏性皮膚炎
成人型脂漏性皮膚炎は、30~40代に最も多く、女性よりも男性の方に多く発症します。
乳児型と異なり、成人型の脂漏性皮膚炎は自然に治ることはまれです。
乾燥で皮脂の分泌が増えたり、ストレスがかかったりすると悪化します。
顔や髪の生え際などの皮脂分泌が多い部分に症状が出やすいのが特徴です。
脂漏性皮膚炎の原因
脂漏性皮膚炎の原因ははっきりと分かっていません。
ただ、以下のようなことも一因と考えられています。
乳児型脂漏性皮膚炎は、妊娠中にへその緒を通してお母さんからもらった女性ホルモンの影響で、皮脂の分泌が増えます。
赤ちゃんはまだ毛穴が十分に発達していないので、皮脂をしっかり分泌しきれず、炎症を起こすのです。
乳児型脂漏性皮膚炎の一部と成人型脂漏性皮膚炎は、カビの「マラセチア」が一因と言われています。
マラセチアは、皮膚の脂を栄養にして増える真菌です。
マラセチアが脂を分解したときにできる物質が、肌の炎症を起こします。
脂漏性皮膚炎の検査・治療
脂漏性皮膚炎を疑ったら、どのように診断や治療を行うのかご紹介します。
脂漏性皮膚炎の検査
特別な検査は不要です。
皮膚の状態を見せていただき、ほかの病気の可能性がなければ、脂漏性皮膚炎として治療を開始します。
脂漏性皮膚炎の治療
乳児型脂漏性皮膚炎は、石けんやシャンプーでの洗顔・洗髪を行い、必要に応じて弱めのステロイド外用薬を使用します。
炎症を起こしている部位を清潔に保ち、生活リズムを整えることも大切です。
かさぶたになった部分は、オリーブ油や軟膏を塗ってやわらかくし、石けんでやさしく洗いながら取り除くなど、丁寧に扱います。
成人型脂漏性皮膚炎の場合は、マラセチアの増殖を抑えるために、カビに効果のある「抗真菌薬」の外用薬が効果的です。
頭皮の症状には、抗真菌薬を含んだ市販のシャンプーを使うのもよいでしょう。
炎症が強い場合は、ステロイドの外用薬を併用することもあります。
脂漏性皮膚炎の再発を防ぐには
大人の脂漏性皮膚炎はよくなったり悪くなったりを繰り返しやすいため、長い期間悩まされている方が多いです。
自身で行える対策を紹介しますので、ぜひ取り入れてください。
生活習慣を見直す
何気ない生活習慣が、脂漏性皮膚炎を悪化させている可能性があります。
生活リズムをなるべく一定にし、しっかり睡眠を取りましょう。
男性の方はあまり意識しない方も多いかもしれませんが、紫外線対策も大切です。
心身のストレスは皮脂分泌を増やします。
運動をしたり、ストレスになっている原因を解消するために環境を変えたりするのもよいかもしれません。
食事内容を見直す
皮脂の分泌が増えるような、脂っこい食事は控えめにしましょう。
ビタミンBがよく含まれる赤身の肉・玄米・さつまいも・バナナなどを取り入れる、加工食品を減らす、などもおすすめです。
最近では、果物を食べることが有効かもしれないといわれています。
脂漏性皮膚炎と似た皮膚疾患
脂漏性皮膚炎と見た目が似た皮膚疾患を3つご紹介します。
カンジダ皮膚炎
カンジダ皮膚炎も、脂漏性皮膚炎と同じくカビが原因の皮膚疾患です。
原因のカビは「カンジダ」という別の種類のものですが、同じように抗真菌薬で治療します。
カンジダ皮膚炎は、蒸れやすい場所に症状が出るのが特徴で、脇、内股、おむつ内などに多く症状が出ます。
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
尋常性乾癬は、全身に赤く盛り上がった湿疹の出る病気で、その症状が頭から始まることが多いです。
そのため、脂漏性皮膚炎と見分けが難しいことも少なくありません。
また、脂漏性皮膚炎に尋常性乾癬が合併するケースもあります。
尋常性乾癬は、衣服が擦れやすい部分・圧迫されている部分などに症状が出るという点が特徴的です。
たとえば、長時間のデスクワークをする方では、太ももの後ろに症状が出やすいことがわかっています。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、非常に患者さんの多い疾患で、皮膚に赤みが出てカサカサするという点では、脂漏性皮膚炎と見た目が似ています。
顔や髪の生え際などにも症状が出るのも同様ですが、アトピーは皮脂の分泌とは無関係で、全身に症状が出るのが特徴です。
アトピー性皮膚炎は子どものうちに発症することが多いですが、まれに大人になってから発症することもあります。
クリニックプラスでの脂漏性皮膚炎の診療の流れ
①問診
症状などの病歴について話を聞きます。LINEの事前問診にお答えいただくと、診療がスムーズに行われます。
②診察
患部の診察を行います。皮膚疾患の診断は視診が重要です。医師が丁寧に診察を行っていきます。
③治療
外用薬や内服薬を用いて治療を行っていくと同時に、症状を増悪させないための生活指導も行っていきます。
脂漏性皮膚炎は、定期的な通院が重要です。
クリニックプラスは、日々お忙しい方でも通院しやすいように、事前LINE問診や事前クレジットカード決済システムなど、テクノロジーを活用することで待ち時間を少しでも短くする取り組みを行っています。
また、平日は20時まで、土日祝日も毎日診療することで、通院しやすい体制を整えています。
脂漏性皮膚炎でお困りの方は、是非一度ご相談にいらしてください。