皮膚がポロポロと剥けたりはがれたりする場合、他にかゆみや腫れなどの症状がなくても、何らかの病気にかかっている可能性があります。放置することで悪化したり治りにくくなったりしてしまう場合も少なくありません。皮膚が剥けたりはがれたりする症状をメインとする疾患にはどのようなものがあるのか、その特徴や治療、受診の目安について解説します。
皮膚が剥けたりはがれたりする疾患
皮膚の剥けやはがれの症状をメインとする疾患には以下のようなものがあります。
- 乾燥肌(乾皮症)
- 水虫(白癬)
- 汗疱(かんぽう)
- 接触皮膚炎
- 尋常性乾癬
乾燥肌(乾皮症)
乾燥肌はその名のとおり肌が乾燥している状態で、皮膚のバリア機能が低下し、肌がカサカサしたり、粉をふいたような状態になったりします。肌の乾燥がさらに進むと乾皮症(かんぴしょう)と呼ばれる状態になり、皮膚にひび割れが起きたり皮が剥けたりします。強いかゆみが出る場合もあり、掻くことで皮膚炎を起こす可能性もあります。乾皮症を起こしやすい部位は「すね」です。太もも、腰回り、脇腹などにも見られます。
予防や治療には、保湿剤を塗ることが一番です。その他、高温のお風呂に入らない、洗浄力の強い石けんで体を洗わない、加湿器を使うなど、乾燥を招く要因を極力排除する工夫が必要になります。
十分な保湿を行っても症状が改善されない場合や、かゆみや皮剥けを伴うなど症状が強い場合には、皮膚科を受診して治療を受けるようにしましょう。
水虫(白癬)
白癬菌(はくせんきん)というカビの一種による皮膚の感染症です。水虫は足に多いですが、手や爪、頭、体、股にも発症します。
足にできる水虫には3タイプあり、そのうち最も多いのは趾間(しかん)型で、足の指と指の間が白くふやけて皮が剥けます。薬指と小指の間から症状が始まる場合が多いです。小水疱(しょうすいほう)型では、足の側面や土踏まずに赤みのある小さなみずぶくれができ、1週間ほどすると乾燥して皮が剥がれてきます。その他、かかとの角質が厚くなり、ざらざらした皮膚が剥がれてくる角質増殖型もあります。
治療には抗真菌薬の塗り薬を使います。爪は塗り薬の浸透が良くないため、爪に水虫ができた場合は爪専用の塗り薬、もしくは内服薬を使用します。また、水虫は他の人にうつるため、家族間で感染を広げないように、お風呂の足ふきマットやタオル、スリッパの共用をやめるなどの対応が必要です。
水虫にはかゆみを伴うものもあれば、皮膚の変化以外の症状が見られない場合もあります。症状がないからと放置していると、白癬菌はどんどん増殖し悪化します。皮膚の変化に心当たりがある場合には皮膚科を受診するようにしましょう。
汗疱(かんぽう)
手足の指、てのひら、足の裏にできる水ぶくれ、皮むけのことです。小さな水ぶくれができ、水ぶくれ同士がくっついて、大豆くらいの大きさになる場合もあります。痒みを伴うこともあります。水ぶくれは2~3週間で吸収され、皮膚の表面から剥がれ落ち、自然に治っていきます。
汗をかきやすい時期に発症しやく、汗が原因であるように思えますが、はっきりしたことは分かっていません。化粧品や金属に対するアレルギーが原因となる場合もあるといわれています。
汗をこまめにふき取る、水仕事を避ける、水ぶくれを刺激しないなどの対策を行うことで自然に治ることもありますが、かゆみが強い場合や症状が悪化していく場合などは、受診をして治療をするようにしましょう。
接触皮膚炎
皮膚に何らかの原因物質が触れることで、発疹やかゆみが現れます。発疹の様子や程度はさまざまで、赤くなる程度ですぐに消失する軽度のものから、腫れや大きな水疱を伴う重症のものまであります。水疱は乾燥した後、皮膚の表面から剥がれ落ちていきます。
接触皮膚炎は、触れた物質の刺激が強いために起こる「刺激性皮膚炎」、触れた物質へのアレルギーが原因で起こる「アレルギー性皮膚炎」、紫外線が原因となる「光接触皮膚炎」の3つに分類されます。どのタイプであれ、原因物質を特定することが治療に直結するため医師によく相談するようにしましょう。炎症やかゆみに対しては、ステロイド外用薬やかゆみ止めの内服を使用します。
尋常性乾癬
尋常性乾癬は、皮膚に赤い発疹や紅斑ができ、皮膚が盛り上がる病気です。発疹には次第に銀白色のカサブタのようなものがつき、やがてフケのようにボロボロと剥がれていきます。約半数の方にかゆみがみられますが、比較的軽度です。感染症ではないため、他の人にうつる心配はありません。
皮膚では常に新しい細胞が作られており、古い細胞は垢として剥がれ落ちていきます。これをターンオーバーといいます。ターンオーバーは通常28~40日周期で行われていますが、尋常性乾癬の患者さんではこの周期が4~5日と極端に短縮されているのです。尋常性乾癬の原因はまだ解明されていませんが、遺伝や生活習慣、免疫機能の異常やストレスなど、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症するといわれています。
治療にはステロイド外用薬や免疫抑制剤などの内服薬、生物的製剤などを使用します。また、紫外線療法を行う場合もあります。患者さんの状態に合わせた治療選択が必要になるため、早めに受診をし、治療を開始するようにしてください。
気になる症状があれば悩まず受診を
皮膚が剥けたりはがれたりする場合、何かしらの病気を発症している可能性があります。他に症状がないからと放置することで悪化していく場合もあります。気になる症状がある場合には一度受診し、医師に相談するようにしましょう。