以前から痣があるのが気になっている、ぶつけてもいないのに気づいたら痣ができていて気になっている、ということはないでしょうか。痣ができる原因や痣ができる疾患について解説していきます。
痣ができる疾患
痣ができる疾患には以下のようなものがあります。
- 乳児血管腫(いちご状血管腫)
- 皮下出血
- 扁平母斑
乳児血管腫(いちご状血管腫)
乳児血管腫はイチゴ状血管腫ともよばれます。生後2~3週間でできることが多く、1~2週間で急激に大きく盛り上がるものです。生後半年~1歳をピークに徐々に小さくなっていくことがほとんどです。
このように自然に良くなるため、治療が必要になることは多くないのですが、血管腫がまぶたにできている、鼻や口、耳など視界をさえぎる、気道を塞ぐ、摂食に支障がでる、等の場合にはすぐに治療を受ける必要があります。
血管腫が大きくなるタイミングで治療が必要な場合には、飲み薬の治療が有効とされています。そのほか、痣が小さくなった後も、一部では細かい血管が浮き出ていたり痕が残ったりすることもあり、目安として7歳以降まで残ってしまったものは、痣を消す治療を行うこともあります。
治療方法としては、病変(痣の部分)を切り取って縫い合わせる手術、植皮、レーザー治療があります。植皮は手術痕が残る可能性がありますが、血管が浮いて見えるような痕の場合には、レーザー治療できれいに治ることもあります。
皮下出血(痣ができやすい状態)
皮下出血は皮膚の下で出血が起こることをいい、典型的なのが「ぶつけてできる痣」です。出血量が多く、皮膚の下で盛り上がった状態は皮下血腫(ひかけっしゅ)といいます。
ぶつけていないにもかかわらず、痣ができてしまうこともあります。そのような場合は、出血しやすい病気が隠れていることがありますので注意が必要です。また、血をサラサラにする薬を飲んでいると、皮下出血が起きやすく、痣ができやすいといわれています。
皮下出血、内出血が起きるとまずは皮膚の色が紫色になります。数日から数週間かけて吸収されてなくなりますが、その間に紫色から少し黄色味がかった色に変化したり、出血の部分が広がったようにみえたりすることもあります。
皮下血腫の程度が大きいときは貧血を起こすこともあるので、採血検査をすることがあります。血腫の程度をみるために画像検査を行う場合もあります。気づかないうちに痣ができてしまうことが多い場合、出血しやすい疾患が隠れているケースがあるため、精密検査が必要となることがあります。
扁平母斑(へんぺいぼはん)
扁平母斑は過剰に色素が沈着することによって皮膚にできる茶色い痣のことをいいます。ほくろのように盛り上がらず、色はミルクコーヒーのような淡い黒色であることからカフェオレ斑ともよばれます。
生まれつきできていることが多い扁平母斑ですが、なかには思春期になってから現れるものもあり、遅発性扁平母斑と呼ばれます。
先天性、遅発性いずれも通常は悪性化することはありません。そのため、審美的な点からの治療を検討することになります。最近の治療の主流はレーザー治療です。成人してからのレーザー治療は再発しやすく、0歳児の時点で治療したほうが効果が得やすいとされています。生まれつき痣がある場合には早めに医療機関に相談してください。
気になる症状があれば悩まず受診を
痣とひとことでいっても症状や原因は様々です。経過をみている間に治るものもあれば治療をしなければ治らないもの、早めに治す方がいいものもあれば数年経ってから治療を考えてもよいものもあります。
治療を考えるのであれば効果的に効果的なタイミングで治療を受けるために、早めに医療機関で受診し、方針を決めておくことをおすすめします。