日差しが強くなると日焼けが気になります。日焼けは医学的にはやけど、熱傷に分類され、時には医療機関の受診が必要なケースもあります。日焼けの予防法、対処法について詳しく解説していきます。
日焼けとは
日差しが強い中で過ごすと、すぐに日焼けしてしまうのは多くの方が実感していることと思います。日焼けとは、紫外線を浴びることで皮膚に炎症が起きて落ち着くまでの状態を指します。
皮膚の色にもよりますが、日本人の多くは紫外線を浴びると皮膚はかゆみや痛みを伴って赤くなり、その後、色素沈着により黒くなります。
日焼けの症状
皮膚が紫外線をあびることにより炎症を起こし赤くなることをサンバーン、その後メラニン色素が皮膚に色素沈着することをサンタンといいます。
炎症が重度になると皮膚が腫れて水泡ができてしまうこともあります。
一連の経過について詳しく見ていきます。
サンバーン
サンバーンは皮膚が紫外線の影響を受けて炎症を起こすことをいいます。紫外線を浴びた直後には変化はありませんが、2~6時間後に皮膚が赤くなり、火照(ほて)りやヒリヒリした痛みが生じ、6~48時間にそうした症状がピークになります。
サンタン
サンタンは紫外線により皮膚が炎症を起こすサンバーンで赤くなった後、黒くなる状態のことをいいます。
紫外線の影響を受けたのち24~72時間で色素沈着しますが、それがサンタンです。
さらに、日焼けをしてから3~8日程度で死んだ皮膚細胞が脱落するため、皮膚がはがれ落ちます。
熱傷
医学的には日焼けはやけどの一種。赤くなるだけの状態は、日焼けの程度としてはⅠ度熱傷です。もう少し程度がひどくなると日焼けの場所に水泡ができ、この状態はⅡ度熱傷といわれます。
さらに重度の熱傷はⅢ度熱傷と呼ばれ、Ⅲ度熱傷は少しの範囲でも重症です。やけどの重症度はやけどの深さと範囲できまります。Ⅰ~Ⅱ度熱傷で、やけどの深さがそこまで深く無くても広範囲であれば重症となるため、注意が必要です。皮膚が火照り、ヒリヒリとした状態が続く、水ぶくれができている、吐き気や発熱などの症状がある場合には速やかに医療機関を受診するようにしてください。
日焼けの原因
紫外線が原因で起きる皮膚の炎症が日焼けです。紫外線の影響を受けやすいケースなども含めて解説していきます。
紫外線
日焼けの原因は「紫外線」。日焼け以外にも紫外線による人体への影響は様々あり、良い面、悪い面があります。
紫外線に当たることで骨を作るのに必要なビタミンDが生成されたり、アトピー性皮膚炎や乾癬などでは紫外線を浴びることが治療方法の一つになっていたりします。一方で、皮膚の日焼けだけでなく皮膚がんやシミ、しわなどの原因にもなります。
紫外線の強い時間帯、場所
真夏の、日差しが強いときに最も紫外線が強くなる、というイメージがあるかもしれませんが、実際には春の時期の紫外線のほうが強いことが分かっています。3月頃から急に紫外線が強くなり、5~7月にピークを迎えます。
時間帯としては10時頃から14時頃の紫外線が最も強いとされます。
日本では紫外線は南に行くほど強くなりますので、それに合わせて対策をおこなってください。
雪焼け
雪の時期も紫外線による影響は無視できません。紫外線が雪に反射して起きる日焼けを雪焼けといいます。
雪は紫外線を反射しやすいため、肌は太陽からの紫外線と雪が反射した紫外線の影響を受けることになります。直射日光の紫外線が少ない時期でも、雪に囲まれていると紫外線量が多く、雪焼けしてしまうのです。
フォトスキンタイプ
人種によって肌の色が異なりますが、それをフォトスキンタイプといいます。フォトスキンタイプにより紫外線による皮膚の反応が異なります。
メラニン色素が少ないと赤くなるだけで黒くならず、もともとメラニンが大量にある肌は日焼けをしません。黄色人種の日本人はフォトスキンタイプⅡ~Ⅳが多く、赤くなった後に黒くなる人が大半です。
Ⅰ 常に赤くなり、決して皮膚色が濃くならない
Ⅱ 常に赤くなり、その後少し皮膚色が濃くなる
Ⅲ 時々赤くなり、必ず皮膚色が濃くなる
Ⅳ 決して赤くならず、必ず皮膚色が濃くなる
Ⅴ 皮膚色がとても濃い
Ⅵ 黒人
(上記、皮膚科学会Q&A 日焼け より引用)
日焼けによるリスク
日焼けは一時的に皮膚が赤くなったり、黒くなったりするだけのように思われるかもしれませんが、長期的には光老化や皮膚がんなどの紫外線による悪影響がでてくることが分かっています。
光老化
年を重ねるとしわ、シミが増えてきますが、体の部位によって出方が異なります。
これは紫外線が当たる場所、当たらない場所で変わってくるものだからです。どの部位、どの場所でも老化は起こりますが、紫外線が当たることで深いしわやシミ、そばかす、肌のハリの低下、肌荒れや乾燥が起こります。
皮膚がん
紫外線は皮膚がんのリスクにもなることが知られています。紫外線はDNAを直接傷つけてしまうため、日光を長期間にわたって浴び続けることで有棘(ゆうきょく)細胞がんやメラノーマ、基底細胞がんといった皮膚がんを発症する可能性があるのです。
日焼けの治療法
日焼けをしてしまったらアフターケアが大切です。セルフケアを含めた治療法について解説していきます。
冷却
日焼けしてしまった場合、まずは、冷やすことです。赤くヒリヒリとしているときには、やけどしている状態なので、まずは冷たいシャワーや保冷剤、ぬれタオルなどで冷却するようにしてください。
保湿
冷却し、火照りがひいたら保湿をします。やけどにより、皮膚バリアが弱っている状態なので保湿が大切です。
肌が傷ついている状態なので、化粧水、乳液など基礎化粧品などを使用する際には、敏感肌用の刺激の弱いものを使用し、やさしく肌を押さえるように塗って保湿するようにしましょう。
美白化粧品などは刺激が強すぎるため、日焼けが落ち着いた後に使うようにしてください。日焼けした肌をこすったり、たたいたりということをしないように気をつけ、日焼けで肌がむけてきた場合には、無理にむかず、自然にむけてくるのを待つようにしましょう。
症状がひどいときには
痛みが強い場合には鎮痛剤を使用し、かゆみがある場合にはかゆみ止めを使うことをお勧めします。また、症状がひどい場合にはステロイドの外用剤を使用することもあります。
日焼けをしないために
長い間、皮膚が紫外線にさらされることで皮膚に少しずつダメージが蓄積されていきます。日ごろの日焼け対策が重要です。
紫外線を避ける
屋外での散歩やスポーツなどは、心にも体にも有意義な活動です。しかし敢えて肌を焼くような行動は避けましょう。紫外線を浴びる量が増えそうな場所に旅行したり、スキー旅行に出かけたりするときは、入念な日焼け対策をすることをお勧めします。
日焼け対策
日焼けを避けるためには帽子、日傘、肌を出さない服装といった物理的に日焼けを避ける対策があります。
そのほかにも日焼け止めクリームを肌に直接塗ることで紫外線の影響を軽減することができます。サンバーンを避けるための日焼け止めはSPF10、PA++以上のものが適切です。山や海などのレジャーではより強い日焼け止めを使うとよいでしょう。光老化を予防するためであれば、弱いもので問題ありません。
顔だけでなく、紫外線に当たる部分すべてに日焼け止めを塗ることが好ましく、忘れやすい場所としては手の甲や首、耳たぶ、胸などがあります。こうした場所にも忘れずに日焼け止めを塗り、帰宅後にはしっかりと専用のクレンジングで洗い流すようにしてください。
クリニックプラスでの日焼けの診療の流れ
①問診
症状などの病歴について話を聞きます。LINEの事前問診にお答えいただくと、診療がスムーズに行われます。
②診察
患部の診察を行います。皮膚疾患の診断は視診が重要です。医師が丁寧に診察を行っていきます。
③治療
日焼けの程度に応じて外用薬、内服薬を用いて治療します。
日焼けはごくありふれた症状です。クリニックプラスは、平日は夜の8時まで、土日祝日も毎日営業しております。是非一度ご相談にいらしてください。